選択する場面では、かならずといってよいほど「決められない壁」が立ち塞がります。
悩みすぎてしまい、行動を止めてしまった経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。
この記事では、悩む時間を減らす方法についてお伝えしていきます。
ついつい悩みがちで、実行が疎かになっているときは、ここでお伝えする情報を取り入れてみてください。
悩むとは?
ここでは、悩む行為について掘り下げていきます。
悩む①:悩むと考えるの違い
「悩む」と「考える」の違いは、思考の動きにあります。
- 悩む思考:何かしらの答えを出そうして思考が停滞した状態
- 考える思考:何かしらの答えを出そうとして思考を進められている状態
答えを出そうとする姿勢は同じですが、問題を前に立ち止まっている状態が「悩む」です。
何を考えれば答えが見つかるかの見当もつかないため、あれこれ検討して時間ばかりが経過してしまいます。
対して「考える」では、求めている答えを見つけるために、小さな答えを出しながら思考を前に進めています。
その前進が正しいか否かではなく、答えに向かって仮説を検証していく態度が「考える」です。
- 悩む:仮説がない、または1つの大きな問いしかない
- 考える:仮説があり、大きな問いを細分化した問いがある
例.悩むと考えるの違い
・悩む①:この問題の解き方が分からない
・考える①:この問題はこうやって解けばいいのかもしれない
・悩む②:私の人生の意味はなんだろう…
・考える②:私の人生の意味を見つけるために過去を振り返ってみよう
悩む②:悩むことのデメリット
悩む時間はできる限り短いほうがよいでしょう。
いくら悩んでも今持っている情報では答えを見つけられず、時間ばかりが失われてしまうためです。
また、次のような状態を招き、不快な感情が強まることにもつながります。
- 計画の停滞:いつまで経っても計画が進まない
- 自己効力感の低下:私は決められない、私は前に進む勇気がない
悩みが生じたら、それに悩む必要があるのか否かを検討してみてください。
そして、悩む必要がある場合は、「悩む」のではなく「考える」ための方法を模索することで悩む時間を減らせるようになります。
悩む③:悩みが生じやすいタイミング
悩みが生じやすいタイミングは、日常に変化を起こそうとしたときです。
新しいことに挑戦しようとコンフォートゾーンから出ることに対して、次のような思考が駆け巡るためです。
- どっちの方がお得かな
- 本当にこの道は正しいのかな
- もっとラクな道はないのかな
- 周りからどう思われるのかな
- 最悪の未来になったらどうしよう…
そういう意味では、悩みとは人生の転換点のサインとも言い換えられるかもしれません。
悩むことが苦しいと感じたら、次のように捉えることで前向きに問題と向き合えるようになるでしょう。
- 人生を前進するためのチャンスなのかも
- 新しい自分へと成長するためのチャンスなのかも
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
悩む④:ファーストチェス理論の注意点
悩む時間に関する話をするとき、「悩む時間は無駄で直感で決めればよい」という意見が出てきます。
この主張はファーストチェス理論を根拠としており、少々注意が必要です。
★ファーストチェス理論
ファーストチェス理論とは、チェスの名人が「5秒で考えた打ち手」と「30分考えた打ち手」を比べると86%は同じ選択になるという理論のこと。
ファーストチェス理論はあくまでチェスの名人の話であり、その選択に対する並外れた経験値があるからこその一種の達人芸です。
プロ棋士ほどの問題に対する経験値を持たない状態では、あまり有効ではない理論だと考えられます。
これは、ノーベル賞学者ダニエル・カーネマンが執筆した『ファスト&スロー』という書籍が参考になります。
この書籍では人には2つの思考モードがあり、速い思考モードは事実関係を見ずに過去の経験をもとに判断してしまうと主張しています。
- 速い思考モード:直感や感情に基づく自動思考。事実関係ではなく過去の経験をもとに判断するため認知バイアスの影響を受けやすい
- 遅い思考モード:意識的な思考。論理や統計に基づく思考や意思決定を得意とする
ほとんど悩まずに直感だけで選べばよいという主張は、少々楽天的過ぎます。
特に重要な選択をする場面では、直感と論理的思考を活用して十分な時間を検討したほうがよいでしょう。
悩む時間を減らすための4つの分類
悩む時間を減らすときにまず考えたいことは、それは今悩む必要があるのかということです。
悩む必要性を判断するためには、次の2つの軸で悩みを分類することが役立ちます。
- 軸①:今すぐ答えが出る↔今すぐには答えが出ない
- 軸②:答えが出たら活用できる↔答えが出ても活用できない
悩みを抱えたら、その悩みがどの分類に属するのかを検討してみてください。
種類①:今すぐ答えが出る×活用できる
「今すぐ答えが出る×答えが出たら活用できる」は、もっとも思考する価値が高い悩みです。
思考することでよりよい未来を作るための情報が得られるため、むしろ思考しないのは損だといえるかもしれません。
「悩む」から「考える」に移行できれば、コストパフォーマンスの高い思考時間になります。
ただし、確実な答えが見つからなくても、答えを出さなければならない類の悩みもここに分類されます。
いずれにしても締切を意識して、主体的に意思決定する態度を持つことが大切です。
例.今すぐ答えが出る×答えが出たら活用できる
・明日は雨が降るかな
・今日の夕飯は何食べよう
・なぜ相手は私にイラついていたのだろうか
・A案とB案だとどちらのほうが成功確率が高いかな
・今回の経験を踏まえて計画を修正する必要はあるだろうか
種類②:今すぐ答えが出る×活用できない
「今すぐ答えが出る×答えが出ても活用できない」は、思考する優先順位が低い悩みです。
答えを出したとしても日常に反映させることが難しく、答えがあってもなくてもなんら影響はありません。
視野を広げるためのワークとしてはよいかもしれませんが、それ以外の目的は「ただすっきりしたい」ぐらいです。
「趣味的な悩み」であり、他にやるべきことがあるときにあえて考える必要はないでしょう。
例.今すぐ答えが出る×答えが出ても活用できない
・夫が浮気したらどう対処しよう
・あの人はなぜ罪を犯したのだろうか
・大谷翔平は今日ホームランを打ったのかな
・母はなぜカレーライスを作ったのだろうか
・このスーパーはなぜ今日特売をやっているのだろう
種類③:今すぐ答えが出ない×活用できる
「今すぐ答えが出ない×答えが出たら活用できる」は、定期的に思考したい悩みである可能性が高いです。
人生にとって重要な問題は、一生答えを探すものであり、そのときどきに答えが変わるためです。
ただし、今すぐ答えが見つかるわけではないため、重要なタスクにはなりません。
休みの日にじっくりと腰を据えて考えるならよいですが、この種の悩みを何日も何か月も考え続けて実行が疎かになることには注意してください。
例.今すぐ答えが出ない×答えが出たら活用できる
・人生の意味ってなんだろう
・私はどんな人と結婚したいかな
・この計画で目標達成ができるかな
・私の片思い相手はどんな人が好みかな
・10年後の自分はどうなってるのが理想かな
種類④:今すぐ答えが出ない×活用できない
「今すぐ答えが出ない×答えが出ても活用できない」は、思考するだけ無駄になる可能性が高い悩みです。
他者との話のネタとしては有効ですが、これを真剣に考えても自分の人生を好転するきっかけにはなりません。
嫉妬や不安が膨らむ悩みが多く、むしろ思考することでネガティブな影響が生じやすいです。
例.今すぐ答えが出ない×答えが出ても活用できない
・明日会社が倒産しないかな
・あの人はもっとがんばればいいのに
・30年後の私は年金をもらえているだろうか
・なんで私はこんな障害を持っているのだろうか
・なんで社会はこんなにも不平等で満ちているのだろうか
悩む時間を減らす方法手順
悩む時間を減らすには、次の工程をおこなうことが有効です。
- 悩みを取捨選択する
- 答えの判断基準を作る
- 答えの選択肢を検討する
- 答えを選ぶ
ここでは、上記の工程を8つに分けてお伝えしていきます。
頭の中だけで思考すると同じことばかりを考えてしまうため、かならず文字を書き起こしながら進めていきましょう。
ただし、「悩む」を「考える」に転換させて思考を進めるためには、深い内省が求められます。
1人で思考しても一向に悩みが晴れない場合は、内省を促す専門家であるコーチングを受講してみることをおすすめします。
準備中:コーチングとは
手順①:答えを出すまでの締切を決める
悩みが生じたら、その悩みはいつまでに答えを出さなければならないのかを明確にします。
パーキンソンの法則によって、締切にならないときっぱりと答えを出せないものだからです。
★パーキンソンの法則
タスクは締切によって完了する、タスクは締切まで拡張し続ける
具体的には、締切が次のうちのいずれなのかを検討してみてください。
- 今すぐに答えが必要なの:今思考しないと間に合わない
- 今すぐに答えを出す必要はない:後で思考しても間に合う
手順②:悩みを分類して対処方法を決める
答えを出すまでの締切が明確になったら、次の4つにその悩みを分類していきます。
- 今すぐ答えが出る×答えが出たら活用できる
- 今すぐ答えが出る×答えが出ても活用できない
- 今すぐ答えが出ない×答えが出たら活用できる
- 今すぐ答えが出ない×答えが出ても活用できない
この分類と先ほどの締切を踏まえて、今ある悩みをどう取り扱うのかを判断しましょう。
具体的には、次の3つのうちいずれかの判断をしてみてください。
- 今から思考する
- 思考することを手放す
- 思考することを先延ばしにする
思考を先延ばしにするときは、それについて思考するタイミングを決めます。
思考するタイミングを決めておかないと、ついついそのことについて悩んでしまい、目先のタスクに集中できなくなるためです。
手順③:理想の結果を明確にする
「今から思考する」を選択した場合、悩みに対する答えを考えていきます。
悩みにおける成功基準を明らかにすることで、選択肢の良し悪しを判断できるようになるためです。
メリットやデメリットは一旦脇に置き、「どんな結果になったら満足できるか」を考えてみてください。
その理想的な未来により近づける答えであるほど、自分にとって良い選択肢になります。
例.理想の結果を明確にする
・悩み:起業しようか決めかねている
・理想の結果:家族がお金の不安を感じずに私は自由を感じながら働けている
準備中:理想の描き方
手順④:答え候補を洗い出す
理想の結果を明確にしたら、今ある答えの候補を洗い出します。
何と何の葛藤なのかを明らかにすることで、自分は何について悩んでいるのかがはっきりしてくるためです。
答えの候補を出さないと、無限に選択肢があるように感じていつまで経っても思考を進められません。
悩みの種類によってはここで1週間ほどかけて、答えの候補を出すための情報収集をしてもよいでしょう。
例.答えの候補を洗い出す
・悩み:起業しようか決めかねている
・候補1:会社に残る
・候補2:転職する
・候補3:起業する
手順⑤:それぞれの候補を本物の答えだと想定する
出した答えの候補について、それぞれ吟味していきます。
それぞれの候補における情報量を増やすことで、選択に影響を与える認知バイアスを減らすことが目的です。
答えの候補を1つずつ、「これを選択したらどうなるんだろうか」との未来を想像してみてください。
次のような問いは、未来を想像することに役立ちます。
- どのような過程があるのか
- 最高の結果とはどのようなものか
- 最悪の結果とはどのようなものか
- 無難な結果とはどのようなものか
- それぞれの結果では自分や他者にどんな影響をするのか
- この答えの候補は私を理想の結果へと向かわせてくれるのか
例.本物の答えだと想定する
・悩み:起業しようか決めかねている
・候補1:会社に残る
・吟味①:出世できれば年収が150万円ほど増えて生活に余裕ができる
・吟味②:出世できなければ今のまま家族に苦しい想いをさせてしまう
・吟味③:出世できても自分のやりたい仕事ではないため理想の結果とは異なる
・候補2:転職する
・吟味①:やりたい仕事と必要な収入が手に入って人生が充実する
・吟味②:転職先が見つからず会社にもいずらくなり家庭もギスギスする
・吟味③:条件が揃った転職なら理想的だが実際は難しいだろう
・候補3:起業する
・吟味①:お金とやりがいを得られながら家族との想いでも作れている
・吟味②:大して稼げずに家族で路頭に迷う
・吟味③:成功できれば理想的だが自分にできるような気がしない
手順⑥:答えを決めきれない理由を取り除く
それぞれの答え候補を吟味したら、答えを決められない理由を検討していきます。
「〇〇を選ぶとしたら何が気がかりなのだろうか?」と考えることで、直感的に重要だと認識している判断基準が明らかになるためです。
「答えを決められない理由」を答えの候補ごとに洗い出したら、その理由について次の対応を試みます。
- 検証:その理由は本当なのか?
- 模索:その理由は取り除けないのか?
- 妥協:その理由はどの程度なら許せるのか?
- 比較:どの理由の優先順位が高いのか?
それぞれの対応するときは、思い込みを排除するために客観的な意見を取り入れてみてください。
できる限り掘り下げることで、新しい気づきが得られて可能性が広がります。
例.答えを決められない理由を取り除く
・悩み:起業しようか決めかねている
・問い1:会社に残ることを選ぶとしたら何が気がかりなのだろうか?
・理由①:収入に対する不安
・理由②:やりがいに対する不安
・問い2:転職することを選ぶとしたら何が気がかりなのだろうか?
・理由①:条件の合う転職が決まらないことへの不安
・理由②:転職が決まっても即戦力になれないことへの不安
・理由③:転職活動中に会社にバレていづらくなることへの不安
・問い3:起業することを選ぶとしたら何が気がかりなのだろうか?
・理由①:自力でお金を稼ぐことへの不安
・理由②:お金を稼ぐまでの収支面への不安
・理由③:家族からの了承を得ることへの不安
例.理由への対応
・理由1:会社に残っても収入が不安→大学費用が賄えればOK
・検証:今後節約しても赤字になることが分かっている
・模索:出世するか副業すれば取り除ける
・妥協:5年後までに100万円の年収UPが最低基準
・比較:もっとも優先順位が高い
・理由2:会社に残ってもやりがいを得られない→私にとってのやりがいとは…
・検証:やりがいを諦めようとした時期もあったけど無理だった
・模索:後輩指導に関してはやりがいを感じられるかも
・妥協:やりがいをメインとした仕事でなくてもよいかも
・比較:お金が一番だが、次にやりがいが大切
手順⑦:もう一度答え候補を洗い出して選択する
ここまでの一連の流れで、判断基準と優先順位がある程度固まり、選択を阻害していた思い込みに気づき取り除けたと思います。
この視野が広がった状態では新しい選択肢が生まれることがあるため、今一度答え候補を洗い出してみてください。
選択肢を出したら、どの選択した未来が理想に一番近づけそうかを判断していきます。
例.答え候補を洗い出して選択する
・悩み:起業しようか決めかねている
・判断基準①:大学の学費を賄えること
・判断基準②:何かしらの作業でやりがいを感じられること
・新たな選択肢と選択:やりがいを感じられそうな業務ができないか上司に相談して出世は諦めて、やりがいを感じられそうな仕事を副業する
手順⑧:選択した答えと結びつく行動に取り組む
悩みへの答えが出たら、その答えに関連する行動に取り組みましょう。
どんな答えを出しても行動が伴わないと、日常は何も変わりません。
また、行動しないと「本当にこれでいいのかな」と再び思考して、一向にその悩みを手放せないためです。
思考が終わったら、最初に何をする必要があるのかを明確にしてください。
具体的な実行タイミングと実行内容をスケジュールに組み込み、その実行ができたらようやく悩みを取り除けます。
例.行動に取り組む
・悩み:起業しようか決めかねている
・選択:やりがいを感じられそうな業務ができないか上司に相談して出世は諦めて、やりがいを感じられそうな仕事を副業する
・行動①:今週の日曜日までに自己分析をおこなってやりがいの核を探す
・行動②:来週の水曜日に上司にやりがいを感じられそうな仕事ができないかを相談する
・行動③:来週の日曜日までにやりがいを感じられそうな副業を5つ調べる
悩みすぎてしまう7つの原因と対策
ここでは、悩みすぎてしまう原因とその対策についてお伝えしていきます。
悩みがちなときは、どの原因によって思考が止まっているのかを検討してみてください。
原因①:答えを出したくない
問題が複雑だからではなく、答えを出すことで生じる損失を回避したいから悩み続けることがあります。
回避したい損失として、たとえば次のことが挙げられます。
- 行動したくない:行動に伴う不安や恐怖や疲労感
- 責任を負いたくない:失敗することへの罪悪感や実際の損失
自分で答えを出したらリスクある行動に取り組まなければならないとき、意思決定が難しくなります。
悩んでしまったら、「答えを出せない」のか「答えを出したくない」のかを検討してみてください。
もし答えを出したくないのであれば、答えを出すことで生じる損失を検討することが新しい思考のテーマになります。
準備中:決断を促す方法
原因②:悩むことを許可している
他のタスクを止めてまで悩んでしまい、計画が大きく遅れてしまうときがあります。
これは、「悩むことは優先すべきだ」という信念により、悩むことは緊急度や重要度が高いタスクだと考えているためです。
悩むことを許可している場合は、その信念の土台となる思い込みを検証することが有効です。
たとえば次のような思い込みを検証することで、悩むことへの優先順位を下げられる可能性があります。
- 悩むことは楽しいことだ
- 悩むほど思考が洗練されていく
- 些細な悩みも持ち続けるよりも向き合ったほうが生産性が高まる
準備中:計画を後ろ倒しにしないためには
原因③:同じことばかりを悩んでいる
早く答えを出したいのに、思考の無限ループに陥ってしまうことがあります。
たとえば、次のような思考のことです。
- 売上が少ない
- マーケティングをがんばろう
- クチコミが必要だ
- お客様がいないからクチコミを得られない→1に戻る
自分1人で思考していると、問いの少なさから視野が狭まって同じことばかりを考えてしまいます。
思考の無限ループから抜け出せず、同じことばかりを考えて行き詰った感覚を抱き、ネガティブな感情が強まっていくでしょう。
思考の無限ループから抜け出すには、本当の問題を見つけるために視野を広げる必要があります。
次の方法をおこなうことは、視野を広げるきっかけになりやすいです。
- 理想を描く
- 複数の未来を想像する
- 気分転換して悩みを寝かせる
- 思考する前に質問リストを作る
- 悩みに関する新しい情報を得る
- 他者に相談して新しい視点をもらう(アドバイスor問いかけ)
何度も同じサイクルで思考しないためにも、何かしらの決断ができるまで考えきることをおすすめします。
仮の決断でもよいので、そのときの決断と理由を書き留めて、次回同じことを考えるときに見直すようにしてください。
準備中:コンサルとコーチの違い
原因④:自分にとっての正解が分からない
悩みへの答えの良し悪しは人によって異なります。
理想は人それぞれ異なり、良し悪しを決める判断基準が同じではないからです。
どれほど悩んでいたとしても、自分にとっての正解が分からなければ、心から納得して決められません。
メリットとデメリットを比較することも大切ですが、どのメリットとデメリットを重視すべきかの判断基準も見つけることを心がけてみてください。
準備中:価値観の見つけ方
原因⑤:思い込みによって視野が狭まっている
悩みすぎてしまう原因として、思い込みによって選び方が不適切になっているケースが挙げられます。
「選択肢はこれしかない」と白黒思考のように決めつけていたり、客観的には論理が破綻していたりする場合です。
何かを選択するには、前提条件と選択を裏付ける根拠が必要です。
しかし、前提条件と根拠はその人の思い込みに影響を受け、本来のものとは異なった意味として解釈することがあります。
例.前提条件と選択を裏付ける根拠
・悩み:この相手と結婚するか結婚しないか
・前提条件①:結婚生活はお金があれば幸せになれる
・根拠①:相手はお金持ちだから結婚したほうがいいはずだ
・前提条件②:幸せになれるかどうかはお金ではなく結婚後の心がけの問題
・根拠②:私も相手も同じ方向を向いているからきっと幸せな家庭を作れるだろう
・前提条件③:今すぐに結婚しないともう結婚はできない
・根拠③:結婚しない人生なんて考えられないからこの相手と結婚する
前提条件や選択の根拠の意味が変われば、選択肢や選択内容が変わります。
いつまで経っても悩みから抜け出せなかったり、極端な結論を出してしまったりする場合は、前提条件や選択の根拠に潜む思い込みを検証してみてください。
準備中:精神的な成長を遂げる5ステップ
原因⑥:答えを出すための労力を惜しんでいる
考えることがめんどくさいと感じて、いつまでも悩み続けるケースがあります。
悩むよりも考えるほうがエネルギーを使うため、そのエネルギー消費を回避するために悩み続けるということです。
思考が止まっていると気づいたら、今考えるエネルギーは残っているかを確認してみてください。
エネルギーを使いたくないのであれば、その悩みは一旦先延ばしにすることをおすすめします。
エネルギーを使うと決断したならば、次のような行動をおこなって思考を進めるために全力をつくしましょう。
- 頭の中だけで考える→メモ帳を使って考える
- 自分の知識だけで考える→考えるための情報収集をする
- いつもと同じ考え方をする→「悩む時間を減らす方法手順」を実施する
原因⑦:時間をかければよい選択ができると信じている
時間をかければかけるほどよい結果になると信じていると、悩む時間が増えてしまいます。
すぐに答えを出すことは失敗の原因であり、熟考するほど正解に近づくと考えているような場合です。
この信念は、次のような思い込みによって作られます。
- 選択によって結果が決まる:確実な正解を出さなければならない
- 熟考するほどよい選択ができる:直感は当てにならない、考えれば確実な正解を見つけられる
費やす時間と選択の精度は相関関係にあるかもしれませんが、かならず頭打ちするタイミングがあります。
頭打ちするタイミングでは思考がそれ以上進まなくなるため、次のような方法で情報量を増やすことをおすすめします。
- 答えを仮決めして実践してみる
- 書籍やセミナーによって新しい情報を得る
準備中:納得できないと先に進めない
悩む時間を減らすための習慣5選
ここでは、悩みづらい体質になるための習慣をお伝えしていきます。
気づいたら悩んでいるという悩み体質の人は、ぜひとも取り組んでみてください。
習慣①:健全な生活習慣
元気がないほどネガティブな側面に焦点を当てやすくなり、悩みを誘発します。
些細なことに悩んでしまう場合は、心身のエネルギー不足が原因かもしれません。
心身のエネルギーを高めるためには、まずは健全な生活習慣が土台となります。
運動・食事・睡眠の健全な習慣化を、何よりも先に取り組んでみてください。
準備中:元気になる方法
習慣②:有言実行する習慣
悩みやすい性質は、「決めることが難しい」と感じやすいことに起因していることがあります。
決める習慣がないため、いざ決めなければならないときに意思決定をすることや伝えることが難しくなっているようなケースです。
悩みを終えるには、決めて行動することが欠かせません。
まずは日常的な行動を1つずつ決めて、それを宣言してから実行する習慣を身につけてみてください。
その工程が習慣化されると、「自分で決めること」と「決めたことを実行すること」に慣れて意思決定することが容易になります。
準備中:習慣化の方法
習慣③:定期的な振り返り習慣
将来の見通しが立っていないと、現状を不安に感じて悩みやすくなってしまいます。
そのため、定期的に「このまま進めばいい」という実感を持つことが大切です。
将来の見通しを持ちつづけるには、定期的な振り返り習慣を身につけてみてください。
次の3つのことを振り返ることで、建設的に将来について考えられるようになります。
- 私はどこに向かっているのだろうか
- 私はどれだけ歩めたのだろうか
- 私はこのままだとどこにたどり着くのだろうか
準備中:振り返りの方法
習慣④:定期的なリフレッシュ習慣
視野が広い状態で日常を過ごすためにも、視野が広がるような息抜きの習慣を身につけてみてください。
同じ日常の繰り返しによる視野の狭まりは、些細な悩みに囚われる原因になるからです。
よいリフレッシュ習慣とは、次の2つのことを感じられるような体験です。
- 悩みや不安は些細なことだった
- もっとがんばりたいと活力が湧いてきた
人によってリフレッシュ方法にも向き不向きがあります。
自然を楽しんだり、友達と遊んだり、1日中寝たり、いろいろなリフレッシュ方法を試しましょう。
習慣⑤:毎日のマインドフルネス習慣
よくないと分かりつつも悩んでしまう場合は、マインドフルネス瞑想を習慣にすることをおすすめします。
意識を今に戻す能力が高まって、悩んでもすぐに今取り組むべきことに集中できるようになるためです。
マインドフルネス瞑想の具体的な方法は、youtubeなら無料で調べられます。
1日10分程度のマインドフルネスを3週間程度続けると効果が実感できると言われているので、まずはその期間続けることを目標にしてみてください。
準備中:継続の方法
瞬発的に答えを出す必要のある悩みの留意点
上述した「悩む時間を減らす方法手順」は、「悩む」を「考える」に移行するための熟考方法です。
しかし、とっさに答えを出さなければならないときもあるでしょう。
ここでは、瞬時に答えを出すことが必要なタイミングでの留意点をお伝えしていきます。
留意点①:周りは待ってくれているかもしれない
まずは、「瞬時に答えを出さなければならない」という前提が誤りである可能性に注意してください。
「すぐに答えなければ相手に失礼」というような思い込みは、実は単なる幻想でしかないかもしれないためです。
重要な答えを求められているときほど、むしろ瞬時に出す答えは信用されない傾向があります。
答えを出すことに焦ったときは、すぐに答えなかったらどうなるのかを検討してみましょう。
もしもすぐに答えが必要ないのであれば、返答を先延ばしにするフレーズを決めておくことで、その状況で無理に即断即決せずに済みます。
留意点②:瞬発的に意見を言わなければならないときは
今すぐに返答が必要な状況とは、後で答えを出しても意味がない問題のことです。
たとえば、次のようなケースは瞬発的な返答が必要である可能性が高いでしょう。
- 返答する機会がその場限り:面接、オークションなど
- 内容よりリズムが優先される:日常の他愛ない会話
いずれにしても、その場で初めて考える内容は瞬時に答えを出すことが難しいです。
準備をして自分のパターンを作り込むことで、瞬発的に意見を言えるようになります。
留意点③:重すぎず軽すぎない答えを出す
準備をしていても、思いがけない質問をされるときがあります。
たとえば、「今日は焼肉と寿司ならどっちを食べたい?」というような質問です。
とっさに答える必要があり、なおかつ重要な問題でないのであれば、熟考するのではなく直感で答えを見つけてみてください。
答えを出したら、その答えを選ぶ根拠を少し熟考することで、重すぎも軽すぎもしない返答ができます。
ただし、直感による答えを信じられずに「この答えは本当かな?」と悩んでしまうと、根拠を出せずに悩みの無限ループから出られなくなることに注意が必要です。
例.重い決断=精査する情報量が多すぎて処理に時間がかる
・絶対に後悔しないのはどっちだろうか?
・私という人間はどっちの方が好きなのだろうか?
例.軽い決断=精査する情報量の範囲が限られるため早く答えを導き出せる
・最近食べたのはどっちだろう?
・直感的にはどっちを食べたいだろう?
・相手とどっちの話をしたことがあっただろう?
例.直感→熟考
・答え:なんとなく「寿司」が食べたいかも
・根拠:なぜなら、最近テレビでおいしそうな寿司を見たから
個人事業主が悩みやすい5つのケース
ここでは、個人事業主が立ち止まりやすい悩みについてお伝えしていきます。
ケース①:人生の意味
個人事業主は、自分がどのように社会貢献や自己実現していくのかを自由に決められます。
しかし自由であるゆえに、「自分はどんな人生でありたいのだろうか?」と人生の舵取りに悩んで動けなくなってしまうことがあるのです。
「私の人生の意味はこれだ!」と答えを出せる人はそう多くありません。
答えを出せない理想について考え続けても、むしろ現実が疎かになり可能性が狭まってしまいます。
人生の意味を定期的に検討することは大切ですが、仮の答えを持って今を全力で生きることも同じように大切です。
「人生の意味が見つかったけどもう手遅れだった」とならないように、今できることに集中することも忘れないようにしてください。
準備中:理想の人生
ケース②:商品への自信
個人事業主が作った商品で顧客を落胆させたのであれば、それはその個人事業主の看板に泥を塗ることになります。
会社員とは異なり個人事業主は、すべての行動と結果が会社ではなく、自分に反映されるからです。
そのため、個人事業主は自分が作る商品に対して自信を持ちたがります。
しかし、誰にでも絶対喜ばれる商品は存在しないため、「これで本当に喜んでもらえるのか?」と不安になり、いつまでも悩んでリリースできないことがあるのです。
商品への自信のなさに悩んだら、その不安の原因について考えてみてください。
原因の検証と除去方法を検討していくことで、不安の種が取り除かれて商品をリリースできるようになります。
ただし、責任とプライドを持って商品を作り込むことは大切ですが、割り切る覚悟も持たなければなりません。
準備中:お金のブロックの外し方
ケース③:周囲からの評価
個人事業主になると、より多くの人に好かれようとしてしまいます。
「すべての人に好かれなければ恥ずかしいし売上が落ちてしまう」と不安になり、自分の一挙手一投足が評価されていると考えるようになるためです。
しかし、この完璧主義にも似た信念は、むしろ行動を制限して個人事業主としての寿命を縮めてしまいます。
自分の弱さも見せられなくなり、一度躓いたら立ち上がれなくなってしまうでしょう。
周囲の評価に悩み出したら、誰からの評価が大切なのかを明確にしてみてください。
自分が大切にしたい人が絞れれば絞れるほど、悩みの種が減っていき自由に動けるようになります。
準備中:完璧主義を手放す方法
ケース④:SNSへの投稿内容
個人事業主の主要なマーケティング活動としてSNS投稿があります。
ターゲットにフォローしてもらい、商品を知ってもらえる機会を増やすことが目的です。
そのため、ただ情報発信すればよいのではなく、質の高い情報発信をしなければなりません。
「マック食べた」という単なる日常を発信しても、ターゲットは興味を惹かれないでしょう。
しかし、この質の高い情報発信には確実な正解がなく、特に実績の少ない初期の個人事業主は魅力的な発信が難しいと感じてしまいます。
投稿内容を考えては没にしてを繰り返し、結局何も投稿できなくなってしまうのです。
ここで問題となる勘違いは、白黒思考のように「質が低いなら投稿する意味はない」という思い込みです。
その思い込みはあながち間違っていませんが、その思い込みを持っていてはいつまで経っても投稿することができなくなります。
試行錯誤しながら質を高めていくものなのに、その思い込みは試行錯誤自体を難しくさせるためです。
この思い込みを解消するためには、「質を高めるために投稿する」という目的を持ってみてください。
「質の悪い投稿は無駄ではない」と理解することで、悩みすぎずに投稿を続けられるようになります。
準備中:情報発信が怖い理由
ケース⑤:ターゲットとペルソナ設定
個人事業主が商品を作るときやマーケティングをするときは、ターゲットとペルソナ設定をすることが鉄板です。
「誰に対するどんな悩みを解消する商品なのか」が明確でないと、効果のない人に商品を売ってしまい自分への評価が落ちてしまうためです。
このターゲットとペルソナ設定をするとき、人生をかけた決断のごとく悩んでしまうことがあります。
途中でターゲットを変えると、それまでに溜めたファンが無駄になり、また0からスタートしなければならないと感じるからです。
しかし、1つのターゲットを一生継続できる事業主はそう多くありません。
また、1つのターゲットで成果を出せたなら、その成果を活用すれば別のターゲットに変えたとしてもラクにファンを増やせるものです。
ターゲット設定に悩んだら、「一生をかけた選択」ではなく「3年程度継続してみたい」という小さな決断をしてみてください。
特に個人事業主なりたてのときは成果づくりが最初の壁になるため、自分が役に立ちやすい人をターゲットにすることをおすすめします。
準備中:成功や成長に欠かせないマインドとは
まとめ
悩む時間を減らすには、次の手順が必要です。
- 悩みを取捨選択する
- 答えの判断基準を作る
- 答えの選択肢を検討する
- 答えを選ぶ
また、とっさに答えを出すためには、次の手順が有効です。
- 直感で答えを出す
- 熟考して答えの根拠を探す
重要な問題について考えるときは、たいてい視野が狭いことによる情報不足が原因で悩み続けてしまいます。
悩み続けていると感じたら、視野を広めるための工夫と情報を取得する行動をおこなってみてください。
自分の内側の情報が必要だったり、情報を取得する工程を実行しきれない場合は、コーチングを受講してみることをおすすめします。
準備中:目標達成にコーチングが有効な5つの理由