最初は興味があった仕事でも楽しくなくなったり、最初は興味がなかった仕事でも楽しめるようになったりします。
この違いは、その人の楽しむ技術の高さが生み出しています。
楽しむスキルが高ければ、一見するとどれほどつまらなそうな仕事も楽しめるということです。
子供が1つのおもちゃでずっと遊んでいるのも、この楽しむスキルが高いからだといえるでしょう。
この記事では、仕事や挑戦を楽しむための方法をお伝えしていきます。
自分で楽しみを見出すためにも、ここで紹介する方法を取り入れてみてください。
挑戦過程を楽しむ3つの要素
ここでは、日々の仕事を楽しむための土台についてお伝えしていきます。
仕事がつまらないと感じるときは、これらのうち何が足りていないのかを検討してみてください。
要素①:報酬があること
楽しいと感じるには、報酬となる刺激が必要です。
報酬となる刺激として、たとえば次のものが挙げられます。
- 自分の成長感
- 仲間との協力感
- インパクトのある成功感
報酬となる刺激が大きく、かつストレスが小さいとき、私たちは楽しいと感じられます。
日々の仕事がつまらないと感じるときは、次の3つについて検討してみてください。
- 報酬となる刺激はあるか
- 私はどんな報酬を楽しいと感じるのか
- ストレスより報酬のほうが大きくなっているか
準備中:モチベーションの高め方
要素②:希望があること
その瞬間に楽しいと感じる刺激があったとしても、その感覚を十分に堪能するには未来への安心感が求められます。
次のような不安感があると、楽しむことよりも悩むことや打開することに力を入れようとするためです。
- 遠い未来への不安感:出世可能性、賃金問題、自分の可能性の収縮感
- 直近の未来への不安感:仲間との関係性、迫りくるタスクへの心配
私たちが楽しいと感じ続けるためには、未来への希望があり「このままで大丈夫」という安心感が欠かせません。
日々の仕事がつまらないと感じるときは、次の2つについて検討してみてください。
- 未来に対する希望はあるか
- 安心を感じられる環境が整っているか
準備中:成長環境の作り方
要素③:元気であること
どれほど報酬が得られる仕事に従事し、希望と安心を感じられる職場であっても、自分が元気でなければ楽しむ余裕は生まれません。
「そんなこといいから休みたい」と、前進することよりも癒すことを優先したい欲求が強まるためです。
元気であるとは、心身にエネルギーが満ちていて、1つのことにそのエネルギーを十分に使える状態です。
日々の仕事がつまらないと感じるときは、次の3つについて検討してみてください。
- 目先の作業に集中できるか
- ポジティブなことを意図的に思いつけるか
- 朝にすっきりと起きれる睡眠が取れているか
準備中:元気になる方法
仕事を楽しむための3つのスキル
仕事を楽しむとは技術です。
仕事を楽しむ技術が低いほど、ギャンブルやゲームのような分かりやすい刺激でしか楽しめなくなります。
ここでは、仕事を楽しむスキルを構成する3つの要素についてお伝えしていきます。
仕事を楽しむためにも、どのスキルを伸ばすべきかを検討してみてください。
スキル①:報酬を期待する技術
報酬を期待する技術とは、設定する報酬の範囲と調整力に関わるスキルです。
- 報酬の範囲:結果を確かめたい、お金をもらいたい、成長したい、夢を叶えたい
- 報酬の調整力:今の自分がその報酬を得られる可能性はどれほどか
1つの行動において、どんな報酬を期待するかは人によって異なります。
たとえば穴を掘って埋める作業なら、次のような報酬を期待できるかもしれません。
- 筋肉を育てる
- 穴を掘る技術を高める
- 穴を掘って誰かの役に立てる
- 穴を掘った先にある何かを見つける
- 穴を掘ることで給料を得て家族を養う
仕事を楽しめる人ほど、報酬を期待できる範囲が広く調整力が高い傾向にあります。
1つの作業だけに専念できる仕事は少なく、仕事全体を楽しむには作業ごとに報酬を期待できることが必要です。
もしも設定する報酬の調整力が低いと、過度な期待をしてストレスが強まる結果になりやすく、仕事がつまらないと感じる原因になります。
スキル②:報酬を獲得する技術
報酬を獲得する技術とは、目標達成能力のことです。
仕事を楽しむには、報酬を期待すると同時に、その報酬に見合う目標達成能力が求められます。
★期待→必要な目標達成能力
・感謝されたい→相手のニーズが分かり満たせる能力
・結果を試したい→仮説構築と検証計画の立案、その実行ができる能力
・スリムな体を得たい→運動と食事制限を続けられる能力
報酬への期待が大きいほど、それを得られないと強いストレスが生じて仕事を嫌いになります。
仕事を楽しむためにも、次の2つのことを明確にして目標達成能力を高めてみてください。
- 私は何を期待しているのか?
- 期待している成果を得るにはどんな行動やスキルが求められるのか?
スキル③:報酬を見つけて味わう技術
期待した報酬が得られても、それをどのように味わうかで喜びの強さが変わります。
さらっとドライに受け取るよりも、時間をかけて過去を振り返りながら報酬を味わったほうが喜びが強くなるということです。
- 報酬感が弱い:ふぅ終わった。次の仕事に取りかかるか
- 報酬感が強い:やった終わった!この仕事は〇〇とか△△とかいろいろあったなぁ
1つの結果や過程から得られる報酬は、自分が想定していないものもよく含まれています。
次のように報酬は無限に存在しており、それを受け取って味わえるかはその人の能力によるのです。
- 失敗した、けれど実はスキルがとても伸びていた
- お金のためだった、けれどたくさんの人に感謝されて心が満たされた
仕事を楽しめない人は、「得たもの」よりも「得られなかったもの」に注目しやすい傾向があります。
たしかに、得られなかったものに注目することは改善策を生み出すことには有効です。
しかし報酬感を感じることにはつながらないため、まずは得たものを見つけて、喜びを存分に味わうことをおすすめします。
仕事がつまらないと感じる理由6選
ここでは、仕事がつまらないと感じるよくある理由についてお伝えしていきます。
仕事を楽しむためには、つまらないと感じる理由と向き合い解決することが重要です。
仕事がつまらないと感じる理由を明らかにするときは、ここで紹介する情報を参考にしてみてください。
理由①:見通しが立たないから
「これが何につながるのか」と見通しが不明瞭だと、安心して報酬を受け取れなくなります。
たとえば、次のような感覚のことです。
- このタスクに何の意味があるんだろう
- この目標を達成してもどうせ意味はないだろう
- いくらがんばってもどうせ出世も増収もないだろう
見通しを持つ感覚は、目先のことに集中するためには必要な条件です。
しかし、「一直線に目的地までいけないと×」というように効率ばかりを求めると、すべてのことに対して見通しを持てなくなります。
「この行動には意味がある」と感じられることは大切ですが、過度な期待は禁物です。
見通しが立っていないと感じる場合は、見通しを立てる努力と同時に、その期待が無難であるかを確かめてみてください。
★見通しが持てたという感覚は人それぞれ
・Aさん:確実に成功する手順がわかって初めて「見通しが持てた」と思える
・Bさん:なんとなくやることがわかって「見通しが持てた」と思える
準備中:完璧主義を手放す方法
理由②:結果に執着しているから
よりよい成果を出そうとすることは、仕事において大切な心構えです。
しかし、結果への強い執着は次の2つのデメリットが生じます。
- 結果以外の報酬に気づけなくなる
- 結果を出さないことに危機感が生じて楽しむ余裕がなくなる
仕事を楽しむには、結果を出すことに真剣になるだけではなく、ほどよく力を緩ませることも必要です。
結果を出さなければならないという強迫観念がある場合は、「結果を得ようとする一方で結果を手放す」というバランス感覚を身につけてみてください。
まずは、強迫観念の正体を明らかにすることから始めてみるとよいでしょう。
★目標設定の罠
目標設定をすると、結果に焦点が当たり過程を楽しめなくなります。
仕事を楽しむためには、目標に焦点を合わせるフェーズと、実行に焦点を合わせるフェーズを分けることがおすすめです。
A.目標に焦点を合わせるフェーズ(未来に集中する)
・理想や目標の設定
・計画立て
・計画の軌道修正
B.実行に焦点を合わせるフェーズ(今に集中する)
・日々のタスク
理由③:同じ作業の繰り返しだから
自分にとって重要な作業であったとしても、「いつも同じ作業の繰り返し」と感じると退屈感が生じます。
作業を1つのパターンとして認識することで小さな変化を感知できなくなり、刺激を受け取れなくなるためです。
同じ作業の繰り返しとは、たとえば次のような感覚が挙げられます。
- 私ではなく誰がやっても変わらないだろう
- 他者も同じことをやっていて埋もれている
- これから毎日同じことを続けなければならない
厳密には実際はまったく同じ瞬間は存在しませんが、代り映えのしない生活を繰り返していくとその違いが認識できなくなります。
これは無意識的に日常をパターン化してしまい、感性が失われるためです。
同じ作業の繰り返しと感じる場合は、展望レンズから望遠レンズに切り替えて、違いを発見したり生み出したりすることを試してみてください。
- 遠望レンズ:ピンポイントに焦点を合わせる
- 展望レンズ:全体に焦点を合わせて眺める
準備中:退屈な人生
理由④:作業への不安や恐怖が強いから
「大きな損失が生まれるかも」という危機感が強いと、日々の仕事を楽しめません。
危機感によって楽しむ余裕がなくなり、損失から逃れる方法ばかりに意識が向くためです。
作業への損失とは、たとえば次のような感覚が挙げられます。
- また今日も職場で上司に怒鳴られるかも
- プレゼンをしたら他人に低評価されるかも
- SNSに投稿したらクレームがきて炎上するかも
不安や恐怖によって作業そのものをやりたくない場合は、その不安や恐怖を生み出している原因と向き合うことが必要です。
すべての原因を取り除けるわけではありませんが、何かしらの手段で折り合いをつけるように働きかけてみてください。
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
理由⑤:まだ楽しみを実感できていないから
楽しいという感覚は、次の2つに分類できます。
- 刺激的な快楽:褒められた、認められた、勝ったなど
- 解釈的な快楽:意味がある、価値がある、成長しているなど
一般的な楽しいという感覚は、主に刺激的な快楽です。
ゲームや遊びのように、行動とフィードバックの距離が短く、作業そのものが楽しいと感じます。
しかし、すべての作業が刺激的ではなく、また刺激は慣れによって退屈感が生まれます。
そのため、刺激的な快楽だけではなく、解釈的な快楽を見つけることが仕事を楽しむためには欠かせません。
最初は刺激的な快楽によって楽しみを実感するとよいでしょうが、刺激が小さくなってきたら解釈的な快楽を検討してみてください。
その仕事や作業に対して自分なりの意味を持つことで、刺激的な快楽がなくとも仕事に集中できるようになります。
準備中:意味づけ力を培う方法
理由⑥:自分にとっての重要な価値観が変わったから
価値観とは、人によって異なる充実感が生じやすい報酬のことです。
自分にとって重要な価値観に結びつく刺激であるほど、楽しさや多幸感が生じる報酬になります。
★価値観の例
・冒険する
・表現する
・平和である
・伝統的である
・合理的である
立場や経験、年齢などによって、この価値観は変動します。
冒険的な体感があることを好んでいても、いつまでも冒険好きであるわけではありません。
そのため、十分な報酬感を受け取っていても、段々とその報酬を魅力的だと感じなくなることがあります。
その場合は、価値観が変わった可能性が高いので、自己分析をおこなって今重要な価値観を見つけてみてください。
★休みと価値観の不一致
仕事をしないことに強い憧れを持つパターンがあります。
自分を癒すこと自体に価値を感じており、癒しを妨げる仕事を敵視しているようなケースです。
しかし、それは休むことへの漠然とした憧れであり、それによって価値観が満たされているわけではありません。
「仕事したくない」「ずっと遊んでいたい」と感じたら、休むことでどんな価値観が満たされることを期待しているのかを検討してみてください。
そして、休むことで本当にその価値観が満たされているのかを確かめてみましょう。
もしも「休むことでは欲しいものが得られない」と実感できたら、休むことをむやみやたらに求めなくなります。
準備中:価値観の見つけ方
仕事を楽しむための工夫9選
ここでは、仕事を楽しむための工夫をお伝えしていきます。
仕事がつまらないと感じるときは、ここにある方法を取り入れてみてください。
工夫①:自分にご褒美を与える
仕事を楽しむには、作業以外から得られる報酬感も重要です。
次のような報酬感は、仕事を楽しむためのエネルギーをチャージするためです。
- 仕事終わりに飲む一杯のビール
- 休憩での他愛もない仲間との雑談
- 仕事に取りかかるときに飲むコーヒー
- 大きな窓から広大な景色が望める作業空間
仕事や作業から報酬を得ることは、そう簡単ではありません。
しばらく報酬感を受け取れずに、ストレスばかりが積み重なる日々が継続することもよくあります。
自分にご褒美を与えることは、そんなストレスフルな状態を解消する手段の1つです。
ストレスを解消することも仕事を長く楽しむための秘訣なので、気分転換できる報酬をいくつも用意しておくことをおすすめします。
工夫②:「働く」を言い換える
「働く」という言葉を、多くの人がネガティブな解釈をしています。
自主性が少なく、強制されているような、そんな感覚を「働く」という言葉に抱く人は少なくないでしょう。
このようなネガティブな解釈をしていると、「働く」という言葉を口に出すたびに不快な感情が生まれます。
この問題を解決するには、次の2つの方法が挙げられます。
- 「働く」の意味を再解釈する:働くことは自由の行使だ
- 「働く」という言葉を言い換えて使う:「働く」→「挑戦する、貢献する、試す」
意味を再解釈することは王道ですが、それには多くの時間が求められます。
「働く」という言葉を言い換える方法は簡単に実施できるため、まずはこの方法から試してみることをおすすめします。
イメージとしては、「筋トレして疲れた」ではなく「筋トレして筋肉が喜んでいる」というような言い換えです。
人によってピンとくる言葉が異なるので、いろいろな言葉を使って自分の感情を観察してみてください。
準備中:仕事におけるやらされている感の解消方法
工夫③:目指す地点を設定する
自分がどこを目指しているのかがはっきりすることで、日々の仕事が楽しみやすくなります。
自己決定感や自己効力感が増すとともに、「意味のある行動ができている」という報酬感が得られるようになるためです。
ただし、目指す地点はどこでもよいわけではありません。
ワクワクする目標は人によって異なり、難しすぎたり価値観と合わなかったりするとかえってモチベーションが低下してしまいます。
目指す地点を明確にするときは、まずは自分にとっての理想の未来を描くことから始めてみてください。
その理想の未来に紐づいた目標を適切に設定することで、日々の仕事が「何かを成し遂げるための行動」になり楽しさを生み出すようになります。
準備中:理想の描き方
工夫④:好きor得意の作業を増やす
好きや得意な作業を増やし、ストレスを生む作業を減らすことで、仕事をより楽しめるようになります。
たとえば営業において、人と直接対話するよりも、手紙でやりとりするほうが好きな人がいます。
この場合、その人は文字で表現することで報酬感を感じている可能性があり、仕事を楽しむには文字を書く機会を増やしたほうがよいかもしれません。
好きや得意とは、報酬感の感じやすい行動です。
仕事がつまらないと感じる場合は、自分の好きや得意を棚卸しして、好きや得意を活かせる作業割合を増やせないかを検討してみてください。
作業割合を変えるときは、「その作業で欲しい成果は何か」という作業の目的を明確にすることが大切です。
準備中:否定的な目標は悪いのか
工夫⑤:仮説構築と検証を繰り返す
楽しいと感じやすい刺激の1つに、「試したい」という感覚があります。
「この行動はどんな結果を引き起こすのだろうか」という期待感は、行動意欲を高めやすいということです。
試したいという感覚を抱くためには、まずは仮説を構築してアイデアを見つける必要があります。
仮説を構築するための条件として、次の2つのものが挙げられます。
- 自分のコントロール内であること(自責思考)
- 失敗しても取り返しがつく安心感があること(実行のしやすさ)
自分のコントロール外であるという認識は、仮説を生み出すよりも他者への苛立ちを募らせることを促します。
「自分のできることはすべてやりきり、もう何をしても結果は変えられない」という無力感を生み出すためです。
しかし、実際は100%のコントロール外である仕事はそう多くありません。
多くは単なる思い込みであり、結果を変えるための仮説は自分次第でいくつも思いつくはずです。
仕事に退屈感を抱いたら、一工夫できることを探してみてください。
「より安く、より正しく、より早く、より楽に」などの結果を得るための仮説を作れれば、日々の仕事に刺激が生まれるでしょう。
準備中:他責思考の直し方
工夫⑥:仕事で得られる報酬を増やす
仕事を楽しむためには、自発的に仕事から得られる報酬を増やす必要があります。
報酬の多くは他者が用意するものではなく、自分で見出すことが求められるためです。
仕事から得られる報酬として、たとえば次のものが挙げられます。
- 給料、売上
- 他者から感謝されること
- 心地よい協力関係を感じること
- 自分の仕事によって生じた他者の変化
一般的に、仕事による報酬はお金です。
しかし、お金以外にも報酬と感じられる刺激は存在しており、それらは主体的に認識しなければなりません。
仕事が淡白なものに感じたら、他に受け取れそうな報酬を探してみてください。
同じ仕事をしている人が何に報酬感を抱いているのかを観察すると、受け取れるのに受け取っていない報酬のヒントが見つかります。
準備中:ロールモデルの見つけ方
工夫⑦:前進感を味わえる工夫を施す
前進感を味わえるような仕組みづくりは、仕事をより楽しむことにつながります。
「前に進んでいる」という認識は、楽しいという感覚を生み出すためです。
前進感を味わえる仕組みには、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 誰かと競い合う
- タイムアタックをする
- マイルストーンを設置して進捗確認する
- 他者からスキルのフィードバックをもらう
計画やスキルにおいて、前進しているという認識が持てるようなフィードバックを得るための仕組みをつくってみてください。
ただし、フィードバックの尺度が粗いと、前進していても停滞感を抱く原因になります。
小さな前進に焦点を当てられる尺度を設けて、「できない」だけではなく「できた」にも注目するようにしましょう。
準備中:アドバイスを受け取れない人の心理とは
工夫⑧:安心して仕事するための環境を作る
仕事を楽しむためには、目の前の作業に集中するための安心感を持つことが欠かせません。
不安や恐怖、不満などの不快な感情は、楽しみを生み出す報酬感から意識を反らさせるためです。
仕事を楽しむための安心感として、次のような要素が挙げられます。
- 才能への安心感:みんな時間をかけて成長している
- 公平性への安心感:私だけが大変なわけではない
- 将来性への安心感:この仕事を続けることに意味がある
- 関係性への安心感:失敗しても見捨てられない、仲違いしても仲直りできる
- お金に対する安心感:失敗しても破産しない、クビになってもやり直せる
仕事に対する恐怖は、失敗による損失予期が主な原因です。
失敗への免疫をつけることは、安心感を持って仕事に取り組むことに役立つでしょう。
準備中:失敗の乗り越え方
工夫⑨:自分を癒す時間をスケジュールに組み込む
「人生を仕事に支配されている」という感覚は、仕事を楽しむ感覚を失わせます。
自分の人生がひどく退屈でつまらないものだと感じるようになり、仕事への情熱も関心も消えてしまうためです。
この自己犠牲感を解消するには、「自分は自分を大切にしている」という認識を持つことが有効です。
具体的には、「自分のための時間」を優先的にスケジュールに組み込むことをおすすめします。
- 他者優先のスケジュール:仕事や他者との予定→自分の予定
- 自分優先のスケジュール:自分の予定→仕事や他者との予定
ゲーム、スマホいじり、家族旅行など、どんな些細な予定でもいいので、まずは自分のための時間をスケジュールに配置してみてください。
「仕事をしていない時間」をいかに「自分のための時間」として認識できるかで、仕事による自己犠牲感が強まるか弱まるかが決定します。
準備中:理想のスケジュールの立て方
仕事を楽しむための基本的な手順
ここでは、仕事を楽しむための基本的な手順についてお伝えしていきます。
何から取り組めばよいか分からないときは、まずはここにある手順通りに行動してみるとよいかもしれません。
この基本的な手順は主に次の3つを満たすことを目的にしています。
- 仕事による楽しみを見出す
- 作業による楽しみを見出す
- 楽しむためのエネルギーを補充する
手順①:仕事をする意味を明確にする
まずは、仕事をする意味や目的を明確にしましょう。
何のために仕事をしているのかが不明瞭だと、仕事をすること自体に不満が生じてどのような行動も楽しみづらくなるためです。
一般的な仕事をする意味は、生きるため、家族を養うためなど、生存することを目的にしています。
生存目的による仕事は最低限のモチベーションは生まれますが、次第にやらされている感と自己犠牲感が強まる可能性が高いです。
「生存のための仕事」がモチベーション源として機能しなくなったら、改めて「何のための仕事なのか」を検討することをおすすめします。
準備中:理想の人生
手順②:仕事における目標を設定する
仕事の意味を明確にしたら、その意味にそぐう目標を設定しましょう。
「家族を養うための仕事」であるならば、家族を養うのにこと足りる基準を作るという具合です。
規模が大きければいい、効率がよければいいというわけではありません。
「その目標を達成する必要がある」と、自分が納得できる目標を設定するようにしてください。
準備中:目標の設定方法
手順③:働く環境を整える
目標を設定したら、達成確率が上がるような環境を作ります。
職場環境や家庭環境など、環境が私たちのモチベーションを大きく左右するためです。
「働くこと」と「休むこと」のバランスを決めることも、働く環境に含まれます。
持続的・意欲的に働き続けることを目的に、仕事に影響を与える環境を整えてみてください。
準備中:習慣化の方法
手順④:働くことへの解釈をポジティブにする
働くことへの解釈やマインドを整えましょう。
お金を稼ぐこと、仕事をすることにどのような印象を抱くでしょうか。
この印象が不快なものだと、どんな目的や目標、環境がそろっていても仕事を楽しめません。
「働くことはポジティブなものだ」と認識できるように、働くという言葉をこねくり回してみてください。
自分1人では答えを見つけられない場合は、コーチングのような内省の専門家に相談すると時短につながります。
準備中:コーチングとは
手順⑤:喜びポイントを検討する
仕事を楽しむためには、喜びを感じる報酬を増やすことが必要です。
複数の喜びポイントがあったほうが簡単に安定して報酬が得られて、仕事を楽しいと感じつづけられます。
喜びポイントを増やすときは、「何があったら自分は楽しいと感じるのか」をまずは明確にしてみてください。
自分の喜びポイントが明確になったら、以下の行動によって他の報酬感の手がかりを見つけていきます。
- 過去の自分が楽しめた経験から推測する
- 同じ仕事を楽しんでいる他者に尋ねてみる
喜びポイントの候補をいくつか挙げたら、実際にその報酬によって自分がどう感じるのかを確認しましょう。
人によって喜びポイントは異なるので、自分に合う喜びポイントを増やすためにもたくさんの検証作業をすることをおすすめします。
手順⑥:アイデアを作る
仕事に取りかかる前に、「やらなきゃ」から「早くやりたい」に転換することが重要です。
毎日同じように仕事をつづけていると、義務感が生じて楽しめなくなるためです。
「早くやりたい」に転換するには、新しいアイデアを作り、そのアイデアを一旦寝かせることをおすすめします。
「早く実行したい」とうずうずしはじめてから実行することで、自己決定感が高まり仕事を楽しめるようになります。
アイデアを作るには、次の工程をお試しください。
- 仕事について考える
- 仕事に関する情報をインプットする
- 仕事を一旦手放すために他のことに没入する
- ぼーっとするために散歩する
手順⑦:実行と振り返りを繰り返す
ここまでおこなったら、実行と振り返りを繰り返します。
目標計画を実行してその経験を振り返ることで、次のものを得ることが目的です。
- 軌道修正:仕事の意味やマインドや目標の修正
- 阻害要因の排除:不安、恐怖、不満、嫉妬、焦りの解消
- エネルギーチャージ:前進を感じる、報酬を味わう
実行をするときは、期待している報酬が得られることを想像することをおすすめします。
たとえば読者が「役に立った!」と笑顔を浮かべている姿を想像しながら、SNSへの投稿内容を作るという具合です。
ただし、そのように想像しながら実行をしても、実際にその報酬が得られることには期待しないでください。
報酬が得られると期待して実際に手に入らなかったら、がっかり感が強まって作業自体がストレスの原因になるためです。
準備中:振り返りの方法
個人事業主が仕事を楽しめなくなるよくあるケース
ここでは、個人事業主がありがちな仕事が楽しめなくなるケースについてお伝えしていきます。
ケース①:危機感が強まる
軌道に乗りきる前の個人事業主は、1つの細い収入口しかありません。
いつ無収入になるのか分からないという危機感が常に付きまとい、お金を稼ぐことで頭が一杯になります。
新しいアイデアを試す余裕もなく、仕事が義務のように感じられて、毎日が同じことの繰り返しのように感じてしまいます。
危機感によって仕事を楽しめなくなった場合の対処法は次の2つです。
- 延命治療で余裕を作る:副業をする、借金をするなど
- 致命傷ではないと理解する:お金がなくなっても生きていけると理解する
ただし、危機感が弱まると現状に満足して動けなくなる人もいます。
危機感を弱めるときは、同時に「どうせ動くならやりたいこと」を見つけるようにしてみてください。
準備中:焦りの解消方法
ケース②:燃え尽きてしまう
目標達成まで全力で駆け抜けた後、どこに進めばいいのかが分からなくなることがあります。
「これ以上前に進むことにモチベーションが上がらない」というような、燃え尽き症候群を引き起こすケースです。
苦しい想いで目標達成をした場合、また同じような苦しい経験をしたくないと感じて腰が重くなります。
その苦しさに見合う目標が見つからない限り、モチベーションが上がらずに行動が止まってしまうのです。
燃え尽きたあとは、何をするのも楽しくありません。
「結果」と「その結果を得るための行動」を天秤にかけるようになり、すべての行動が無意味に感じるためです。
燃え尽きてしまったら、以下の2つの休憩を取るようにしてみてください。
- エネルギーを蓄える:寝る、自分へのご褒美を与える
- 視野を広げる:新しい刺激が得られる体験をする
まずはしっかり休み、その後に動き出すことが大切です。
「がんばらなきゃ」ではなく「がんばってみたい」「試してみたい」という気持ちが出てくるまで、2つの休憩を繰り返し取りつづけていてください。
ケース③:終わりが見えてしまう
「あとはこれを実行すれば目標達成できる」というように、終わりが見えてしまうとモチベーションが下がります。
「すでに成果を得てそれ以外に得られるものはない」と錯覚して、行動を促す動機が失われるためです。
すべての仕事が蛇足のように感じて、無意味感によって作業に集中できなくなり楽しく感じられなくなります。
終わりが見えて仕事を楽しめなくなったら、次の新しい目標を設定してみてください。
新しい目標が目先の行動を終わらせる動機になり得たとき、再び仕事を楽しめるようになります。
ケース④:責任へのプレッシャーが苦しい
商品を作り込むことは大切ですが、お金をもらう重圧による義務感から仕事を楽しめなくなるケースがあります。
「自分の商品を広めたい」ではなく「自分の商品が評価される」という感覚になるためです。
「他者に評価される」という感覚を楽しめる人もいますが、多くの人は楽しむ余裕を失います。
低評価を恐れて試すことができなくなり、無難な作業にとどまって自分である必要を失ってしまうのです。
責任へのプレッシャーによって仕事を楽しめなくなったら、どのような商品でもすべての人を満足させられないことを思い出してください。
「私の商品がお客様に合わなかったら返金すればいいや」というある種の開き直りをすることで、ほどよく力が抜けて仕事を楽しめるようになります。
準備中:お金のブロックの外し方
ケース⑤:自分よりもすごい人を意識してしまう
自分と自分よりもずっと先を歩んでいる人を比較することで、仕事を楽しめなくなります。
「私よりもその人の商品が広まったほうがいい」というように、自分の商品の魅力に自信を失ってしまうためです。
自分の商品の特異性を見つけるためにどれほどターゲットを絞っても、ブルーオーシャンな領域はそう簡単には見つからないほど個人ビジネスが流行っています。
すべての商品には上位互換が存在しており、「何に関しても自分より優れた人がいるならば、私が仕事をする意味はなんだろう」と悩んでしまうのも無理はありません。
自分の上位互換の存在によって仕事を楽しめなくなったら、自分の中にある情熱を思い出してみてください。
情熱に結びついた理想を実現するための最適な目標を設定することで、やるべきことが見えて仕事を楽しめるようになります。
まとめ
仕事を楽しむには、報酬があり、希望があり、元気でなければなりません。
余裕を持ちながらも目の前の仕事に集中でき、結果を意識しながらも遊び心を持ちつづけることが重要です。
仕事を楽しめなくなったら、仕事がつまらないと感じる理由を深く内省してみてください。
不安、恐怖、焦り、不満、義務感、無意味感などの感情は仕事を楽しむ余裕を失わせます。
不快な感情の原因と折り合いをつけ、今に集中できるようになることで仕事を楽しめるようになるでしょう。