仕事においても、人間関係においても、望む結果を得るためには勇気ある行動が求められます。
しかし、勇気が求められるタイミングはほんの一瞬であり、その瞬間に勇気を出せずに後悔した経験は多くの人があるのではないでしょうか。
この記事では、勇気を出すための方法についてお伝えしていきます。
リスクある行動を意図的に選ぶためにも、この記事で紹介するコツを取り入れてみてください。
自信と勇気の違い
勇気とは、ネガティブな結果が想定される選択を選び実行する意志力のことです。
一方で自信とは、「選択することでポジティブな結果が得られるだろう」という安心感のことを指します。
自信がある選択には勇気は必要なく、自信のない選択にこそ勇気が求められます。
リスクある選択に抵抗感が生じたら、自信をつけることと勇気を出すことの2つの方法を用いてみてください。
準備中:自信のつけかた
勇気を出すための3つの方法
勇気が出せるようになるための方法は、主に3つのパターンに分類できます。
ここでは、勇気を出すための方法のパターンをそれぞれお伝えしていきます。
方法①:意志力を活用する
意志力とは、ここぞというタイミングで「えいや!」と行動する力のことです。
どのようなリスクある行動でも、意志力さえあれば実施できるようになります。
しかし、意志力は体力のように有限であり、起床からの時間経過や意志力の使用によって消費されていきます。
意志力を活用するときは、次の2つのことがポイントになるでしょう。
- 意志力の使用効率:少ない意志力で行動できる
- 意志力を使うタイミング:意志力が多い時間帯に選択できる
方法②:恒常性を活用する
恒常性とは、「当たり前」だと感じる状態のことです。
自分にとっての当たり前から外れる行動ほど、恒常性が働きストレスが生じるようになります。
そのため、勇気を出す行動を選ぶこと自体を「当たり前だ」と認識することで、勇気を出すことへのストレスが抑えられます。
恒常性を活用するときは、次の2つのことがポイントになります。
- 未来の地点に当たり前を置く
- 勇気を出すこと自体に慣れる
方法③:損得勘定を活用する
損得勘定とは、メリットやデメリットを比較する判断方法のことです。
メリットが小さくデメリットが大きい行動であるほど、その選択にはストレスが生じて選びづらくなります。
しかし、一見損失が大きな選択でも、解釈の仕方によっては利益の方が大きいと捉えられるものです。
解釈を変えて利益優位の選択だと認識する技術を身につけることは、勇気が求められる行動を実施しやすくします。
損得勘定を活用するときは、次の2つのことがポイントになります。
- 長い時間軸で損得を比較する
- 自分の判断基準で損得を比較する
意志力を活用して勇気を出すための3つのコツ
ここでは、勇気を出すために意志力を活用するコツをお伝えしていきます。
勇気ある行動が必要なタイミングで取り入れてみてください。
意志力①:最初の行動に集中する
勇気を振り絞るときは、最初の行動にだけ集中しましょう。
行動した結果や影響を意識するほど、不安や恐怖が強まり必要な勇気が大きくなってしまうためです。
勇気を出すべきだと感じたら、「後はなとかなれ!」の精神を持ってみてください。
最初の行動さえしてしまえば、ひっこめない状況になってその後の行動は嫌でも続きます。
例.質問をしたいけど抵抗感がある
・最初の行動:声をかける、手を挙げる
・結果や影響:声をかけたら迷惑になるかも、恥ずかしい目にあるかも
準備中:モチベーションの高め方
意志力②:最高の未来だけに焦点を合わせる
計画段階では失敗パターンを想定することが大切ですが、実行段階では最高の未来だけに焦点を合わせましょう。
行動すると決めたのに「失敗するかも」という感覚を持ち続けても、パフォーマンスが落ちるだけだからです。
勇気を出すと決めたなら、勇気を出したことで生じる最高の未来を想像してみてください。
それによって生じるポジティブな感情は、抵抗感を低下させて行動に取り組みやすくしてくれます。
ただし、最高の未来が確実に手に入ると期待することは、失敗への恐怖を強めてしまいます。
最高の未来が欲しいという感情を活用するだけにとどめて、未来に期待せずにできることだけに集中することをおすすめします。
例.好きな人に告白したいが怖い
・最高の未来:告白がうまくいって付き合える
・未来に期待する:告白をしたら絶対に付き合えるはずだ
・今に集中する:告白がうまくいくように今できることをしよう
意志力③:自分の大切な人の顔を思い浮かべる
自分の大切な人の顔を思い浮かべることで、リスクある行動に取り組めるようになります。
自分のためだけではなく、誰かのためという状況は驚くほどの勇気が生じるためです。
自分の大切な人とは、悲しい顔をさせたくなく、喜んで欲しい人のことです。
具体的には次のような人物が、自分にとっての大切な人に当てはまりやすいでしょう。
- 親
- 兄弟
- 友人
- 後輩
- 先輩
- 過去の自分
例.会議で意見を言いたい
・大切な人①:言えなかったら先輩はがっかりするかも
・大切な人②:後輩に立派な姿を見せるためにもがんばろう
・大切な人③:過去の自分の努力が無駄にならないように伝えてみよう
恒常性を活用して勇気を出すための3つのコツ
ここでは、勇気を出すために恒常性を活用するコツをお伝えしていきます。
もっと勇気ある行動をとりたいと感じたら、自分にとって当たり前を更新してみてください。
恒常性①:理想の自分像になりきる
理想の自分像になりきることで、勇気ある行動に取り組むことへの抵抗感が和らぎます。
当たり前の基準が高くなり、勇気を出さないことの方がむしろストレスに感じるようになるためです。
過去・現在・未来の自分は別物であり、現在の自分の延長線上がかならずしも未来の自分になるわけありません。
現在の自分であり続けることを辞めて、理想的な未来の自分であろうとする感覚を保持することは、新しい行動基準を作って困難な行動を容易にします。
まずは理想の自分像を明確にしてみてください。
どんな選択や行動をする自分でありたいのかを明らかにすることで、未来に当たり前の基準を置くための土台ができあがります。
準備中:理想の自分像
恒常性②:小さなチャレンジを繰り返す
小さなチャレンジの経験を多く積むことで、小さな勇気だけで行動できるようになります。
小さなチャレンジを繰り返すことによって、次の2つの慣れが生じるためです。
- 勇気の出し方の理解
- チャレンジの日常化
いざというときだけ勇気を出そうとしても、どうすればいいのか分からずにタイミングを逃してしまいます。
勇気を意図的に出せるようにするためにも、日頃から小さな挑戦を繰り返して勇気を出すスキルを高めてみてください。
準備中:目標の見つけ方
恒常性③:挑戦することが当たり前の集団に所属する
勇気ある行動に取り組むのが当たり前という集団に属せば、その行動への心理的ハードルは低くなります。
「当たり前」という感覚は周囲から影響を受けることで、容易に更新されやすいものだからです。
勇気が必要な行動に取り組めないときは、その行動を容易におこなっている人や集団と関わってみてください。
今までの常識を書き変えることで、小さな勇気で行動できるようになります。
例.集団内の当たり前
・集団①:努力するのは当たり前
・集団②:他人の失敗をいじるのは当たり前
・集団③:意見を率直に伝え合うのは当たり前
・集団④:SNSで日常を投稿するのは当たり前
・集団⑤:他人からの評価を気にするのは当たり前
準備中:成長環境の作り方
損得勘定を活用して勇気を出すための3つのコツ
ここでは、勇気を出すために損得勘定を活用するコツをお伝えしていきます。
勇気ある行動に取り組むかを検討するタイミングで取り入れてみてください。
損得勘定①:未来を選ぶ
「勇気を出した未来」と「勇気を出さない未来」のどちらを求めるかによって、行動するか否かを決めてみてください。
「その未来のための行動」として捉えることで、不安や恐怖を些細なものとして捉えやすくなるためです。
ただし、この未来の比較をするときは、次の2つのことへの注意が必要です。
- 自分の意志で未来を選んでいるのか:選ばずにやり過ごしていないか?
- 未来を公平に比較できているのか:「挑戦した未来の損失」と「挑戦した未来の報酬」ではなく「現状維持の報酬」と「挑戦した未来の報酬」で比較する
勇気を出すことは、現状維持とは異なる未来を手に入れるためのチャンスをつかむ手段です。
どのようなチャンスを自分が求めているのかを理解するためにも、自分にとっての理想を描くスキルを身につけることをおすすめします。
例.起業するか否かを検討する
・現状維持の報酬:安定した給料で家族を養える
・挑戦した未来の報酬:家族ともっと多くの思い出を作れる
・挑戦した未来の損失:一家そろって貧困生活になる
準備中:理想の描き方
損得勘定②:不安を取り除く
勇気が必要な行動に対する不安を取り除くことで、リスクある行動に取り組みやすくなります。
未来で被る損失が大きいほど不安が強まり、行動するために必要な勇気も比例的に大きくなるためです。
不安を取り除くには、次の方法を実践してみてください。
- コンディションを整える
- 不安の正体を明確にする
- 正体と向き合い解消する
- 行動を勇気づける言葉を設定する
不安の多くは、危険性の見積もりが不適切なことによって生じます。
「自分は何に怯えていて、それは現実的なものなのか」を検証することは、不安を解消することに役立つでしょう。
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
損得勘定③:失敗から得られるものに焦点を当てる
失敗が役に立つというマインドを身につけられれば、どのような困難にも挑戦しやすくなります。
失敗する勇気がないことが、リスクある行動に取り組むことを阻害する主な原因だからです。
失敗から得られるものに焦点を当てるには、長い時間軸で解釈をしてみてください。
失敗による経験から教訓を抽出するスキルを高めることで、勇気の必要な行動がとれるようになるだけではなく、成長速度も著しく上がるでしょう。
例.失敗を歓迎しやすいマインド
・マインド①:失敗は成功のもと
・マインド②:失敗を晒せる態度は美しい
・マインド③:失敗を繰り返して得た成功ほど価値がある
準備中:失敗の乗り越え方
勇気を出すことで致命傷を負わないための工夫
一見勇気を出したように見えても、それは単なる蛮勇であるということがあります。
客観的に見たら無謀な挑戦であったり、自分には不必要な挑戦であったりするような場合です。
ここでは、勇気を出すことで致命傷を負わないための工夫の仕方についてお伝えしていきます。
勇気を出す方法やタイミングを間違えないためにも、ここで紹介する工夫を取り入れてみてください。
工夫①:致命傷の範囲を確かめておく
勇気を出すことはチャンスを掴む機会になりますが、その行動に伴うリスクも考慮に入れる必要があります。
危険性を小さく見積もることで、思いがけない最悪の未来が生じる危険性が高まるためです。
感情や衝動に振り回されると、危険性への判断が鈍って危ない行動を取ってしまいがちです。
危険性に対する直感を正しく機能させるためにも、行動における致命傷の範囲を明確にしてみてください。
致命傷の範囲を検討するときは、次の2つの問いが役立ちます。
- どんな理想のために、勇気を振り絞って何をする必要があるのか
- 最悪の未来とはどのようなものであり、何を回避しなければならないのか
例.行動→致命傷
・上司に率直な意見を伝えた→昇進機会を失った
・ゴミを捨てた人に舌打ちした→その人から暴行を受けた
・上司に文句を言ってから辞表を出した→自分の悪評が広まった
工夫②:行動後のフォローを徹底する
どれほどひどい行動をしたとしても、その後のフォローしだいでなんとかなるものです。
同様に、どれほどよい行動をしたとしても、その後のフォローがずさんだったらむしろネガティブな結果になってしまいます。
勇気を出して選択することは大切ですが、それと同じくらいその選択を成功させるためのフォローを続けることが重要です。
勇気が裏目にならないためにも、「その選択が無意味にならないためにどんなフォローが必要か」を検討して実施してください。
勇気を阻むよくある理由3選
勇気を出そうとしても、なかなか行動できないときがあります。
ここでは、その抵抗感を生み出す主な正体についてお伝えしていきます。
理由①:周りからの評価
周りから評価されている感覚が強いと、行動すること自体に強い抵抗感が生じます。
「少しのミス=致命傷」と捉え、行動しないほうが得だと感じやすくなるためです。
しかし、自分の願望よりも周囲の期待に振り回されていては不幸になりかねません。
自分の意志を尊重するためにも、次のことをお試しください。
- 自分が評価する側になる
- 自分への期待の妥当性を検証する
- 評価は後から変えられると理解する
- 周囲の期待を低くコントロールする
- 低評価を受けることで生じる損失を検証する
準備中:評価されるのが怖い
理由②:行動への苦手意識
行動自体に苦手意識があると、状況とは関係なく選択すること自体に強い勇気が必要になります。
苦手意識は成功確率が低いと認識することで生じやすく、「どうせ勇気を出しても失敗するだろう」とネガティブな結果を予期しやすいためです。
しかし、これは「失敗=無意味」と白黒思考で解釈している状態です。
失敗は必ずしも無駄ではないため、次のことによって行動する勇気を育んでみてください。
- 成功体験を積む
- 自分への期待を低くする
- スキル練度を向上させる
- 致命的な失敗とポジティブな失敗の境界線を明確にする
準備中:成功体験の作り方
理由③:現状維持バイアス
現状バイアスが強まると、「変化すること」よりも「何もしないこと」への動機づけが強まります。
挑戦しないことによる損失回避は、少ない労力で報酬を得たという錯覚を生じさせるためです。
しかし、見方を変えれば「チャンスを掴む機会を失った」という現状維持による損失も発生しています。
「短絡的なお得感」ではなく「自分の理想に近づいたか」を判断基準にして行動するか否かを決めてみてください。
準備中:現状維持は悪いのか
自分の勇気を挫く3つの習慣
習慣化された行動によって、勇気が出づらくなっていることがあります。
ここでは、自分の勇気を挫きやすい習慣についてお伝えしていきます。
挫く習慣①:安堵する習慣
荒波を立てない選択に安堵する習慣があると、勇気を出すことが難しくなります。
勇気を出さないで生じた結果を肯定することで、変化のための選択がよりリスクある行動に思えてしまうためです。
勇気を振り絞らなくてよかったという成功体験は、本当に必要なタイミングで勇気を出すことを阻みます。
たとえ勇気を出さない選択をして得をしたとしても、「勇気を出さなくてよかった」ではなく「この選択をしてよかった」と解釈することをおすすめします。
例.安堵する習慣に結びつきやすい思考
・時間が解決してくれる
・黙っていればやり過ごせる
・何もしなければ自分に責任が負わされない
挫く習慣②:批判する習慣
自分や他者を批判する習慣があると、勇気ある行動がリスキーに感じるようになります。
批判的な思考を繰り返すと、次のような思考パターンが身に付いてしまうためです。
- ネガティブな側面で評価する減点思考
- 「行動=評価されること」というマインド
自分の行動を改善するために批判を活用する分にはよいのですが、多くの場合自分や他者の行動を制限することに使われてしまいます。
批判をすればするほど生きづらくなるので、必要のない批判はせず、必要な批判でもまずは「実行した勇気」や「小さな成果物」を認めるようにしてみてください。
挫く習慣③:約束を反故にする習慣
自分や他者との約束をないがしろにする習慣は、主体的に状況を変える力を奪います。
自分に誠実性がないと認識してしまい、「何を選んでもどうせ約束を守れない」と自己効力感が低下してしまうためです。
「自分の行動によって状況は変えられるし、その行動を自分は実行できる」と認識することは、勇気を出すための土台を育みます。
自己効力感を高めるためにも、有言実行と言動一致を心がけてみてください。
準備中:自分との約束を守る方法
自分の勇気を育む3つの習慣
ここでは、自分の勇気を育む習慣についてお伝えしていきます。
育む習慣①:挑戦日記
挑戦日記では、日々のチャレンジしたことを書いていきます。
日々の挑戦を振り返ることによって、次のようなメリットが生じます。
- 挑戦を日常化できる
- 自分の挑戦を認識できる
- 自分の挑戦を肯定する機会を作れる
- 勇気を出した瞬間を再体験して学習できる
挑戦を日常化することで、いざというタイミングでも難なく勇気を出せるようになります。
挑戦の大きさは小さくてもよいので、日頃から挑戦する習慣を身につけてみてください。
育む習慣②:未来の自分との文通
未来の自分との文通では、今抱えている悩みを未来の自分に相談して、未来の自分になったつもりで答えを伝えます。
未来の自分との文通が勇気を育む理由は、未来の自分になりきって答えを考えることで、長期的な視点を持てるようになるからです。
目先の損失や失敗に振り回されづらくなり、本当に重要な未来を得るためのチャンスに挑戦できるようになります。
未来の自分になりきるということが重要なので、どんな些細な悩みでもよいので未来の自分に相談してみてください。
未来の自分になりきるときは、次の2つのパターンがおすすめです。
- 最高の成功した未来の自分:起業に成功した10年後の自分
- 最悪な失敗した未来の自分:お金がなく飲んだくれている10年後の自分
育む習慣③:最悪な未来からのタイムスリップ
最悪な未来からのタイムスリップでは、最悪な未来から現在に巻き戻ったという物語をロールプレイします。
「同じ轍を踏まないように」と後悔しない選択をする動機づけが強まって、勇気が必要な行動に取り組みやすくなります。
このロールプレイを成功させるには、最悪な未来をありありとイメージすることが重要です。
自分や他者を大切にせず、事なかれ主義で、時間とお金を浪費して、チャンスを見逃し続けた数十年後の自分を想像してみてください。
心の底から絶望する自分の日常をイメージできたら、その自分で今にタイムスリップすることで、視野が広がって重要な行動に取り組みやすくなります。
「そうなりたくない」ではなく「同じ未来を繰り返したくない」という気持ちが生じれば、このロールプレイは成功です。
まとめ
意志力、恒常性、損得勘定を活用することで勇気が必要な行動に取り組めるようになります。
どれか1つだけを活用するのではなく、複数の施策を掛け合わせることでより勇気を出しやすい状態になるでしょう。
自分1人では勇気を出せないときは、コーチングを受講してみてください。
本当の望みを明確にして勇気を出せない原因と向き合う支援を受けることは、自分の殻を破ることを後押しします。
準備中:コーチングとは