目標を達成したのに報われない原因として、「自己否定的な目標設定」が挙げられます。
自分の願望を実現するための目標ではなく、いくら達成しても安心感こそあれど充実感は得られないからです。
本当の意味で人生を豊かにするためには、自己肯定的な目標設定が必要です。
この記事では、自己否定的な目標設定についてお伝えしていきます。
自己肯定的な目標を設定する手順も紹介しているので、ぜひとも取り入れてみてください。
自己否定的な目標とは?
ここでは、自己否定的な目標の特徴についてお伝えしていきます。
特徴①:他人軸の動機
自己否定的な目標とは、周りの評価基準を下回らないための目標です。
劣っている自分がいるから立てる目標であり、そこに自分の願望はありません。
対して自己肯定的な目標は、劣っている自分とは関係なしに目指す方向を決めます。
成績や結婚など周りの評価基準とは関係なく、自分の願望を叶えるために目標を設定するのです。
自己否定的な目標では、他人や一般平均とよく比較しようとします。
嫉妬や劣等感は比較によって生じる感情であり、そのような感情から立てられた目標は自己否定的である可能性が高いです。
例.他人軸の動機
・テストで点数が低いから、次はもっと高得点を取ろう
・周りはカップルばかりだから、自分の恋人をつくろう
・一般平均よりも収入が低いから、副業をして収入を増やそう
準備中:他人と比較する癖をやめる方法
特徴②:不快な感情が動力源
自己否定的な目標を達成しようとするとき、その原動力は主に不快な感情です。
「今の自分はダメなんだ」という劣等感によって、次のように目標を捉えるためです。
- 「目標=自己成長」ではなく「目標=自己改善」
- 「目標=理想実現」ではなく「目標=自己更生」
不快な感情が原動力であるため、瞬発力はありますが持続力がありません。
目標設定をしたけれど継続できないという場合は、自己否定的な目標になっている可能性があります。
例.不快な感情の動力源
・怒られたくない
・見返してやりたい
・低評価されたくない
準備中:成功したくない原因と対処法
特徴③:want toではなくhave to
自己否定的な目標は、want toではなくhave toで表されます。
設定する目標に選択権がないように感じ、「自分を変えないと終わってしまう」という強い危機感を持つためです。
- want to:〇〇がほしい
- have to:〇〇をしなければならない
危機的状況の打破に意識が向いているため、焦りや強制感のような感覚を抱きます。
目標を意識することで苦しみを感じるのであれば、それは自己否定的な目標である可能性が高いでしょう。
例.have to目標の動機
・お金を稼がなければならない
・子供を育てなければならない
・親を見返さなければならない
準備中:焦りの解消方法
自己否定的な目標が悪い理由
ここでは、自己否定的な目標を設定することで生じるデメリットについてお伝えしていきます。
理由①:達成されても幸せになりづらいから
自己否定的な目標を達成しても、充実感や高揚感よりも安心感を強く抱きます。
自己否定的な目標は「ダメな自分」を改善するだけであり、それによって何かが叶うわけではないからです。
目標達成によって得られるものは、周囲からの批判を減らすことぐらいです。
加えてその批判は自分の思い込みであることが多く、空回りした努力になる可能性が高いでしょう。
準備中:理想の人生
理由②:弱みの改善にリソースを割きやすいから
自己否定をする原因は、評価基準よりも自分が下回っていると感じるからです。
そのため、自己否定的な目標のほとんどは、自分の弱みとなる欠点の改善が主な目的になります。
しかし、弱みは使うことにストレスを感じやすく、成功体験もなかなか蓄積されません。
強みの強化に比べて成長効率が低いため、見返りの少ない苦しい努力となりがちです。
一般的よりも劣っているからという理由だけで弱みを改善することは、むしろ自己成長を阻むことにつながります。
自己否定的な目標を達成しようとすればするほど、リソースの無駄遣いになる可能性が高まります。
準備中:自己成長とは
理由③:危機感がなくなるとやる気が低下するから
自己否定的な目標の動力源は、危機感による不快な感情です。
しかし、その危機感はほとんど思い込みであり、時間が経てば痛みに慣れて危機感は薄れていきます。
その結果、目標の動力源が失われて、がんばる意味がなくなり、現状維持を望むようになるのです。
危機感を抱く瞬間は、非常に短い期間に限られます。
その短い期間だけでは大きな変化を起こすことも難しく、成果が得られないと「怠惰で不誠実な自分」というセルフイメージが強化されていくばかりになるでしょう。
例.危機感が生じる期間
・勉強:テスト3日前~テスト返却後の1日間
・宿題:夏休み終了日前日~先生に叱られるまで
・ダイエット:水着を着る3日前~恥をかいた後1時間
準備中:失敗の乗り越え方
自分を肯定している目標とは?
ここでは、自分を肯定している目標の特徴についてお伝えしていきます。
特徴①:ポジティブな感情が動力源
自己肯定的な目標では、喜びや高揚感のようなポジティブな感情を多く活用できます。
「希望ある未来を実現したい!」という気持ちから快の感情が生じて、そのエネルギーを活用しやすい状態にあるためです。
困難な目標達成の過程には、自己肯定的でも自己否定的でも苦しい課題が待ち受けています。
「前に進みたい!」というエネルギーはストレスを軽減させやすく、困難な課題を突破する原動力としてより優れています。
目標達成における持続力が足りない人は、自己肯定的で前向きな目標を設定してみてください。
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
特徴②:現在の自分を受け入れている
自己肯定的な目標と自己否定的な目標では、次のように目標の捉え方が異なります。
- 自己肯定的な目標:目標は理想を実現するためのツール
- 自己否定的な目標:目標はダメな自分を変えるためのツール
自己肯定的な目標の土台は、「ダメな自分」ではなく「理想の未来」です。
現在の自分を否定せず、「ただ理想の未来を実現するにはリソースが不足しているだけだ」と客観的に捉えています。
自分には未来を選ぶ権利があると理解し、その権利を行使するために使われるのが自己肯定的な目標です。
もしも現在の自分のリソースが目標の方向性に影響を与えているならば、それは自己否定的な目標である可能性が高いです。
準備中:自己受容の方法
特徴③:自分だけの理想を実現しようとしている
自己肯定的な目標とは、自分にとっての理想の未来を実現するための道しるべです。
他人のためでも、他人のせいでもなく、自分のための目標である必要があります。
一見他人が土台の目標であったとしても、「その根本は自分のためだ」と理解してなければなりません。
誰のための目標であるかは、達成したときの感情で見分けられます。
目標を達成した瞬間を想像して、そのときの自分の感情が喜びなのか、安心なのかを確かめてみてください。
もしも危機感が去ったような安心感である場合は、自己否定的な目標である可能性が高いです。
例.誰のための目標か?
他人のための目標:子どものために働かなきゃならない
他人のせいの目標:子どものせいで嫌な仕事を続けなければならない
自分のための目標:自分のために子どもの学費を稼ごう
準備中:仕事におけるやらされている感の解消方法
自己肯定と現状肯定の違
「現在を受け入れたら目標なんて立てられなくなる!」という主張がありますが、それは自己肯定ではなく現状肯定をしているからです。
ここでは、自己肯定と現状肯定の違いをお伝えしていきます。
違い①:現状肯定はやる気を下げる
現状肯定とは、今の環境に満足し、改善意欲がなくなる状態のことです。
ご飯をお腹いっぱい食べて、「もうこれ以上食べられない」という状態が現状肯定です。
心から現状に満足している状態なら、それはきっと幸せでしょう。
しかし、多くの場合「自分には無理」という無力感から現状に妥協をして、現状肯定を自分に無理やり強いています。
日常に幸福感を感じることがなく、ただ時間ばかりがすぎていく退屈な日々を感じるのは、擬似的な現状肯定をしているためです。
心からの現状肯定をしているのであれば、「どうしたら今の幸せを続けられるのか?」という視点で目標を立ててみてください。
擬似的な現状肯定をしている場合は、まずは自分の妥協を炙り出して、本当に望んでいることを言語化することをおすすめします。
準備中:現状維持は悪いのか
違い②:自己肯定はやる気を上げる
自己肯定とは、自分の能力や資質とは関係なく、自分という存在の価値を認めることです。
足手まといでも、犯罪を犯したとしても、そんな自分にも価値があるのだと信じる態度が自己肯定です。
よくある擬似的な自己肯定として、自分の状況がいいときに肯定感が高まり、状況が悪くなると肯定感が下がるものがあります。
これは自分の価値を認める根拠を外的要因に依存しているため、真の自己肯定とは呼べません。
真の自己肯定は、自分と状況を分けて捉えられ、どのような状況にも自分を肯定しつづけられます。
他者や失敗に振り回されないため、どれほど困難な挑戦にも「自分ならできるようになる」と信じられて高いやる気で目標に挑めます。
自己肯定的な目標を設定する方法
ここでは、自己肯定的な目標の設定手順をお伝えしていきます。
手順①:選ぶ権利を持つ
まずは、「自分には未来を選ぶ権利がある」ということを心から理解しましょう。
これは成功を確信することではなく、目指す成功を選ぶ権利を持つということです。
目標を立てるとき、親や友人、学歴やお金などの外的要因が挑戦することを妨げます。
しかし、その多くの外的要因は単なる思い込みであり、実際に挑戦できない要因にはなりえません。
そのことを理解して、他者や自分のもつリソースに関係なく、自分の望みを叶えるための権利を自分は持っているのだと確信してください。
- 未来を選んでいるときの症状:実現意欲、自己決定感、自己肯定感、未来重視
- 未来を選んでいないときの症状:焦り、強制感、自己否定感、過去重視
手順②:トキメク理想を描く
未来を選べる状態になったら、自分がトキメク理想を描いていきます。
理想とは制限のない自分の望みであり、「こうなりたい」を言語化した未来です。
周囲や自分の持つリソース、実現可能性やめんどくささを取り払ったときに求める未来が、自己肯定的な目標の土台になります。
理想を描くには、次の手順をお試しください。
- 描く理想の対象を決める
- 理想を描くための材料を集める
- 3つの時間軸で理想を描く
- 具体的な場面を想定する
- 理想を言語化する
準備中:理想の描き方
手順③:現状を分析する
理想を描いたら、現状を分析して理想までの距離を明確にします。
現状を分析するときは、「なぜ今は理想を実現できていないのか?」という視点を持ちましょう。
このとき、才能や親などの変えられないものではなく、スキルや習慣などの変えられるものに焦点を合わせてください。
また、現状分析では、「自分から見た私像」だけではなく、「他者から見た私像」の情報も集めることをおすすめします。
自分のことを100%客観的に見られる人はいないため、他者から見た自分を知ることで、より深く現状分析できるためです。
準備中:360度フィードバックとは
手順④:理想と現状のギャップを生み出す課題を明確にする
理想と現状が明確になったら、理想を実現するための重要な課題を列挙していきます。
列挙したら、それらの課題を次の5つに分類してみてください。
- お金の課題:理想の実現にはどれほどの収入が必要か
- 地位の課題:理想の実現にはどのポジションに立つ必要があるか
- 技術の課題:理想の実現にはどんなスキルの練度が必要か
- 人間性の課題:理想の実現にはどんな人柄や振る舞いが必要か
- 関係性の課題:理想の実現にはどんな人とどんな関係性である必要があるか
これらの課題を解消するための目標が、自己肯定的な目標になります。
理想によっては、1つの目標で十分かもしれませんし、10個の目標が必要かもしれません。
どんな目標を優先すべきかはその人の状況によって異なりますが、そのどれもが自分のための目標です。
急ぐことはしても焦らずに、1歩ずつしっかりと進んでいきましょう。
準備中:目標の設定方法
自己肯定感を高めるコツ
ここでは、自己肯定感を高めるコツについてお伝えしていきます。
コツ①:他者を肯定する
自己肯定感を高めるためには、他者に肯定されるという成功体験を積む必要があります。
親や友人に存在を肯定された経験が、失敗や他者からの否定で折れない軸を育むためです。
他者に肯定されるには、まずは自分が他者を肯定することから始めてみてください。
ミスをした相手に対して、方法への指摘はすれど相手の存在やその過程にあるがんばりを肯定して、受け入れるのです。
そのような態度を持つことで、他者に肯定されやすくなるとともに、自分も自分を肯定しやすくなります。
また、過去に自分を肯定してくれた人たちのことを思い出すのも、自己肯定感を高めるためにはおすすめです。
準備中:成功体験の作り方
コツ②:今の自分を受け入れる
現状の自分を受け入れることも、自己肯定感を高めます。
できなかった自分を認めて許せるようになることで、自己否定をせずに前向きな気持ちを持ち続けられるためです。
ダメな自分を感じたら、次のように考えてみてください。
- 今の練度ならこんなもの
- できなかったものも、できたものもある
- 失敗したけど、それは自分の存在ではなく方法が悪かっただけ
ただし今の自分を受け入れるときは、現状肯定をしてしまうことに注意してください。
「できない自分はOK」ではなく「今の状態ならこんなもので、がんばればもっとできるようになる!」と捉えないと、成長や成功への意欲が消失してしまいます。
今の自分を受け入れることと、今の自分のままでいることに甘んじることは異なるのです。
準備中:アドバイスを受け取れない人の心理とは
コツ③:未来の自分に期待をする
未来の自分に期待するとは、過去や現在と未来とを切り離すということです。
たとえば、今までの自分が怠け者だったからと言って、未来の自分が必ずしも怠け者であるわけではありません。
自分は怠け者ではなく勤勉になれるのだと期待して、そのための努力をするということが、未来の自分に期待するということです。
過去や現在とは関係なく、願望通りの自分になれると信じてください。
過去・現在・未来を切り離して考えられれば、過去や現在の自分を根拠に自己否定しなくなり、自己肯定感の低下を妨げられます。
まとめ
自己否定的な目標を立ててしまうと、挑戦への粘り強さが低下するとともに、成長効率も落ちがちです。
自分にとっての幸せな未来を求めているのであれば、安心するための目標ではなく、ワクワクする目標を立ててみてください。
自己肯定的な目標を立てられれば、自分の内なるエネルギーも使えるようになり、前進する速度がより速まるはずです。
目標達成に違和感や苦しさを感じたら、内省のプロであるコーチングを受講してみることをおすすめします。
準備中:目標達成にコーチングが有効な5つの理由