より挑戦的な仕事をすると、多くの人の前に「完璧主義」という壁が立ち塞がります。
計画をとんとん拍子で進ませたいのに、失敗することが怖くて計画が後ろ倒れになってしまう経験は誰もがあるのではないでしょうか。
しかし、完璧主義だからといって諦める必要はありません。
完璧主義はちょっとしたコツを習得することで、誰でも手放せるからです。
この記事では、完璧主義の手放し方についてお伝えしていきます。
どれも簡単に実施できる方法なので、ぜひ自分に適した方法を見つけ出してみてください。
仕事における完璧主義とは
仕事における完璧主義とは、高い理想を求め、その理想が得られないと満足できない傾向のことです。
本来の目的よりも高い理想を合格基準にするため、自分や他者に過度な要求を求めて問題が生じてしまいます。
たとえば、次のようなケースが完璧主義に該当するでしょう。
- 仕事はすべて全力を尽くすべきだ
- 誰もが「すごい!」と評価するようなプレゼンを作らなきゃ
- 周りから「才能あるね」と思われるように努力を他者に見せない
完璧主義は、特定のタスクの質にこだわりを持たせます。
ものごとの優先順位をつけられなくなり、「全体にとってのプラス」ではなく「特定箇所だけのプラス」を求めてしまいます。
- 全体にとってのプラス:3×3×3=27
- 特定箇所だけのプラス:9×1×1=9
完璧主義によって優先順位をつけられなくなる理由は、「それが正しい」「そうしなければならない」という思い込みや先入観を持っているからです。
完璧主義を手放すには、まずは自分の性質や認識と向き合い、「完璧にこだわらなくてもよい」と自分を納得させることが重要になります。
完璧主義の3つの種類
完璧主義は「何に対して完璧主義が生じるのか」を基準に分類できます。
ここでは、それぞれの完璧主義の種類をお伝えしていきます。
種類①:自分に対する完璧主義
理想の自分像を合格基準として設定している場合は、自分に対する完璧主義に分類されます。
具体的には、次のように高い理想を自分に期待しているタイプのことです。
- 失敗しない自分であること
- 賞賛される自分であること
- 尊敬される自分であること
- 才能あると思わる自分であること
自分に対する完璧主義者は自分への期待が高いため、次のような傾向があります。
- 自己評価が低い
- 行動することに不安がある
- 周りからの評価に敏感に反応する
種類②:期待に対する完璧主義
他者からの要求を合格基準として設定している場合は、期待に対する完璧主義に分類されます。
期待に対して絶対に応えなければという感覚が強く、自分の望みではなく他者の期待に翻弄されがちです。
期待に対する完璧主義者には、次のような傾向があります。
- 自分よりも他者を優先する
- 行動意欲の源泉は義務感や責任感
- 期待されないように「弱い自分」を演じる
- 失敗することよりもがっかりされることが苦しい
- 期待を裏切らないように「ラベリングされた自分」を演じ続ける
種類③:全てに対する完璧主義
自分だけではなく他者に対しても完璧主義を要求する場合は、全てに対する完璧主義に分類されます。
自分には「理想の自分像」を要求し、他者には「理想の他者像」や「理想の役割像」を要求します。
たとえば、次のような要求をする人は、全てに対する完璧主義である可能性が高いでしょう。
- 上司なんだから教え方を学んできてほしい
- 仕事なんだからみんな全力で取り組むべき
完璧主義者の5つの特徴
ここでは、すべての完璧主義者に共通する特徴をお伝えしていきます。
完璧主義傾向が強いほど、ここで紹介する特徴が顕著に表れるでしょう。
特徴①:減点方式
減点方式では、自分や他者の至らなさに焦点を当てて評価を下します。
できたことではなく、できなかったことで評価する方法が減点方式です。
減点方式は課題を見つけやすいという強みがありますが、成果に対しては「当たり前」と捉えて気づきづらい特徴があります。
また、「ダメ」「足りていない」と評価しやすいため、自分や他者を傷つけてしまうことがよくあります。
例.仕事においてプレゼン資料をつくるとき
・加点方式:資料が作れたから30点加点、質問が多く出たから20点加点
・減点方式:納得していない人がいたから30点減点、途中で噛んだから20点減点
準備中:成功体験の作り方
特徴②:基準が高い
完璧主義は、現在の状態を無視して合格基準を高く設定する傾向があります。
現状の自分からではなく、周囲からの期待や理想の自分から合格基準を設けるためです。
基準が高いため、成功体験より失敗体験を積み重ねやすいです。
たとえ成功しても背伸びによる成果であるため、成功したことによる安心感とさらに増す期待感への苦しみを感じてしまいます。
例.初めてのプレゼン実施
・相応しい合格基準:伝えきること
・高い合格基準:皆が満足する内容で上司よりも高い評価をもらうこと
特徴③:失敗を恐れる
完璧主義は、失敗を過度に恐れる傾向があります。
「失敗したら終わり」という解釈をしやすく、些細なミスですら重くとらえてしまうためです。
失敗によって大損害を被ると感じると、誰もが完璧主義になります。
しかし多くの失敗は命を脅かすほどではなく、たいていは取り返せる程度の損失です。
失敗を恐れることは当たり前ですが、過度に恐れているのではなのかを確かめることは、完璧主義を手放すきっかけになるでしょう。
例.完璧主義を誘発するプレゼンにおける失敗への恐怖
・失敗すると才能を証明できない
・失敗するともう2度とチャンスをもらえないかも
・失敗すると使いえない人とレッテルを張られるかも
・成功させないと自分が大したことない人間だとバレるかも
特徴④:白黒思考で考える
白黒思考とは、勧善懲悪のようにゼロか百かで考える思考のことです。
たとえば、次のような思考は白黒思考である可能性が高いでしょう。
- 起業をするなら1日も休まず働くべき
- 上司の指示に従わない人は社会人失格
- 仕事を任されたなら全力で取り組むべき
完璧主義には「〇〇であるべき」という思い込みが強く、その考えに外れた行動はすべて「ダメ」とレッテルを貼る傾向があります。
しかし、現実は白黒で分けられることの方が少なく、ケースバイケースであることがほとんどです。
ものごとを一般化したり単純化したりしすぎると白黒思考を促します。
完璧思考を抑えるためにも、1つひとつの目の前の出来事とフラットな気持ちで向き合ってみてください。
特徴⑤:自己肯定感が低い
自己肯定感とは「他者や環境、目の前の成功や失敗などに自分の価値は影響を受けない」という認識のことです。
たとえば、自己肯定感の高い人は次のような考えを持ちます。
- 失敗してもなんとかなるだろう
- 他人に悪い評価をつけられても自分の価値は変わらない
- 今の自分の能力はこのぐらいだからもっと成長するためにがんばろう
「今のままの自分に価値がある」と思えるほど、自己肯定感が高いといえます。
しかし完璧主義は理想の自分像と常に比較しているため、失敗経験の多くなり「自分には価値がない」と自己肯定感が低くなりがちです
自己肯定感が下がる要因はさまざまですが、その要因が自分の無力感によるものならば、低い自己肯定感の原因は完璧主義にあるのかもしれません。
仕事における完璧主義を手放す方法15選
ここでは、完璧主義を手放す方法をお伝えしていきます。
人によって向き不向きがあるので、多くの方法を実施してみてください。
方法①:結果を手放す
結果を手放すとは、過去や未来ではなく現在に焦点を当てることです。
結果を手放すことで過去や未来を想起することで生じるストレスから解放されるため、不安や恐怖が抑えられて完璧主義が和らぎます。
- 未来からのストレス:失敗することへの不安
- 過去からのストレス:過去の痛みを再体験することへの不安
過去や未来の情報に想いを馳せることは大切ですが、私たちは「現在の行動」しかコントロールできません。
いざ実行するときは意識を現在に戻して、パフォーマンスを最大限発揮することだけに集中してみてください。
例.セールス
・未来に焦点を当てる:成約をとれなかったら上司の期待を裏切ることになる
・現在に焦点を当てる:お客様にとって良い時間になるように最大限の努力をしよう
・過去に焦点を当てる:前回は失敗したんだよなぁ
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
方法②:時間で区切る
完璧主義者は、よい成果物を出すために自分の時間を犠牲にして品質を上げようとします。
そのため、あらかじめ費やす時間を決めることは、完璧主義傾向を弱めることに有効です。
無理した背伸びもできなくなり、地に足の着いた成長を促すことにもつながります。
成果物に不安があるならば、誰かからフィードバックをもらうまでの時間を決めてみてください。
準備中:先延ばし癖
方法③:加点方式で考える
完璧主義によって生じる問題の1つに、自分や他者の成果に不満をもつことが挙げられます。
理想の状態を基準に評価を下すことで、理想を超えない結果をマイナスだと捉えてしまうためです。
結果に対して満足感を得るためには、加点方式で考える癖をつけることが有効です。
- 減点方式:60点だったのは〇〇ができていなかったから
- 加点方式:60点だったのは〇〇ができていたから
まずは加点方式で自分や他者を評価し、その後に欠点に焦点を当てて課題を見つけてみてください。
このプロセスを踏むことで、完璧主義が和らいで自分や他者への苛立ちが緩和されます。
方法④:小さな目標を立てる
小さな目標を立てることで、いきなり自分に相応しくない基準を設けずに済みます。
現状から段階的に考えられるようになり、自分のリソースに適した基準を設定できるようになるためです。
現状を把握できていないと、確実に失敗する挑戦に対して「今の自分にもできる」と誤った認識をしてしまいます。
しかし、当然期待した成果を得られないため、成長を促すよりも自分への自信を失わせてしまうでしょう。
無謀な目標を立てがちな場合は、高い理想を目指しつつも、焦らずに目先の目標を達成することを目指してみてください。
例.社会人1年目
・小さな目標:まずは同期の中で1番の成績を出すことを期待する
・完璧主義的な目標:社会人5年目の先輩と同等の成果を期待する
準備中:目標の設定方法
方法⑤:目的と効率を基準にする
目的と効率を基準にすることで、目的のすり替わりを阻止できます。
あらかじめ基準を持っていると、誰にも期待されていない完璧さを追求しなくなるためです。
目的と効率を基準にするためには、次のことをおこなってみてください。
- 作業の目的を明確にする
- 自分にとっての完璧を言語化する
- 作業に必要な時間と品質を明確にする
- 「いきなり10割の品質を作る」よりも「5割の品質でフィードバックをもらうほう」ほうが早いと理解する
方法⑥:ミスを犯す体験に慣れる
ミスを犯す体験に慣れることで、失敗への恐れによる完璧主義を抑えられます。
失敗による損失に意識が向かなくなり、完璧である必要性がなくなるためです。
ただし、重要な場面でのミスは致命傷を負うことにつながり、トラウマを刻む可能性があります。
安全に失敗を乗り越えるためにも、致命傷にならない場面での挑戦機会を増やしてみてください。
準備中:失敗の乗り越え方
方法⑦:自分への期待を把握する
他者からの期待を適切に把握することで、自分が持つ高い基準を下げられるようになります。
自分が考えている期待とは、多くの場合自分が勝手に解釈したものだからです。
自分への期待を把握するためには、次のような情報収集をしてみてください。
- 相手に直接尋ねる
- 自分と同じ立場の人の平均点を調べる
例.上司からの期待
・勝手な解釈:上司は私が完璧にプレゼンを実施することを期待している
・本当の期待:上司は私が最後までプレゼンをやりきったら成功だと考えている
方法⑧:自分を他人と同じように扱う
自分を他人と同じように扱うことで、自分への要求を下げられるようになります。
自分のことを客観的に見られるようになり、自分への要求が修正されるためです。
自分を他人と同じように扱うことを、心理学ではセルフコンパッションと呼びます。
セルフコンパッションをするためには、次のような方法を試してみてください。
- 呼吸のマインドフルネス瞑想
- 自分の名前を呼んでアドバイスする
- 自分の名前を呼んで優しい声掛けをする
- 自分を他者に置き換えて同じ場面を想像する
- 誰しもが経験する苦難であることを自分に言い聞かせる
例.遅刻への認識
・完璧主義:遅刻をする私は社会人失格だ
・セルフコンパッション:遅刻をすることぐらい人生で1度や2度はあるのが普通
方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
完璧ではない現状を受け入れることで、義務感から解放されて高い基準を設けなくなります。
「〇〇であるべき」という感覚が「今はこんなもんだよね」と許せるようになり、高い基準に対して執着しなくなるためです。
次の2つを基準にすると、自分や他者に固定概念を押しつけてしまいます。
- 自分が持つ思い込み
- 外から刷り込まれた価値観や常識
完璧でない自他を受け入れるには、固定観念の言語化と検証が有効です。
「〇〇であるべき」と感じたら、そこに隠れた固定観念を言語化してみてください。
例.母親の料理がまずい
・受容する:おいしいご飯を作れなくても私にとっては立派な母親だ
・受容しない:母親なんだからおいしい料理を作れるべき
・隠れた固定観念:おいしい料理を作れないということは家族を大事にしていない証拠
方法⑩:ミスをすることを計画に加える
ミスをする予定を計画に加えることで、失敗が前提になり完璧さを諦められます。
完璧だという評価を他者からもらえないことにより、完璧である必要性がなくなるためです。
大きなミスでないならば、自分の弱みを見せるような小さなミスは他者から親近感を持たれます。
どのようなミスなら自分や他者にとっていいものになるのかを、試行錯誤してみてください。
例.プレゼンでミスをする計画を加える
・このタイミングで噛むようにする
・自分のしくじり話をお客様に共有する
・この漢字の書き方をお客様に教えてもらう
方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
成長主義になることで、失敗への意味づけが変わって悪い意味での完璧さを手放せます。
すべての経験が糧になるという認識になると、成長するための行動を優先するようになるためです。
- よい意味での完璧主義:自己成長のために高い品質にする努力をする
- 悪い意味での完璧主義:自分や他者からの評価に恐れて高い品質にする努力をする
成長主義になるためには、「自分の才能の証明」ではなく「理想の自分になること」を目的にすることが重要です。
理想の自分を明確にして、そこにたどり着くための経験として目の前の目標に取り組んでみてください。
例.完璧なプレゼンをする動機
・よい意味での完璧主義:全力でプレゼンをしたらきっとこの経験は次に活かせるはず
・悪い意味での完璧主義:ダメな人間だと思われないために完璧なプレゼンをしなければ
準備中:自己成長とは
方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
完璧でないことへの恐れと向き合うことで、恐れが小さくなり完璧である必要性がなくなります。
人は損失を大きく評価するものであり、実際の損失と想像した損失とでは大きな誤差があるためです。
恐れと向き合うには、自分が本当に恐れている未来をイメージすることが有効です。
恐れている未来をイメージできたら、次の3つのことを検討してみてください。
- それが起きる確率はどれほどか?
- それを起こさないための対策は?
- それが起きたら本当に挽回できないのか?
例.プレゼンに失敗することへの恐怖
・想像した損失:失敗したら見限られるかもしれない
・実際の損失:少し叱られるだけで済んだ
準備中:精神的な成長を遂げる5ステップ
方法⑬:上振れではなく通常の自分を基準にする
上振れではなく通常の自分を基準にすることで、自分への期待を適正なものに修正できます。
背伸びした自分とそうでない自分とを区別して、期待に幅を持たせられるようになるためです。
上振れかどうかを認識するためには、自分の状態を記録することが有効です。
次の4つのことを記録して、自分の平均値を見定めてみてください。
- コンディションを10段階評価する
- 始めるときの感覚を言語化する
- 結果を10段階評価する
- 終わったときの感覚を言語化する
例.勉強の記録
・コンディションの評価:3点
・始めるときの感覚:怠い、やりたくない
・結果の評価:6
・終わったときの感覚:すっきりした
方法⑭:心理的安全性の高い人間関係を構築する
心理的安全性の高い人間関係を構築することで、他者評価に振り回されなくなり完璧さを求めなくなります。
「素の自分を見せても問題ない」と理解したことにより、無理に背伸びをしようとしなくなるためです。
心理的安全性を作るためには、次の方法が有効です。
- 関係性を深める
- 相手の弱さを把握する
- 自分の弱さを受け入れてもらう
方法⑮:信頼できる人から「大丈夫」と保証してもらう
信頼できる人から保証をもらうことで、自分を信じられるようになります。
自分を疑うことがなくなり、これ以上品質を高めようと無理な努力をしなくなるでしょう。
保証をもらうときは、「誰から保証をもらうと安心できるのか?」が重要です。
ただし、保証をもらう行為は他責思考にもつながりやすいため、失敗しても自責思考で考えるように気を付けてください。
準備中:他責思考の直し方
完璧主義が原因で生じる仕事に関する6つの問題
完璧主義は仕事にどのような影響を与えているのでしょうか。
ここでは、完璧主義が引き起こしやすい仕事に関する問題をお伝えしていきます。
問題①:労働時間が増える
完璧主義によって生じた不安を取り払うために長く働くようになります。
「このままではダメだ、もっとよくしなきゃ」と成果物を作り込むために、多くの時間を費やしてしまうようなケースです。
多くの時間を費やせば、たしかに品質を高められます。
しかし、他者よりも時間を注ぎ込む行為は、スキル不足を補う一時しのぎの対策でしかありません。
成長は促されますが、すぐにエネルギーが尽きて心身共にボロボロになってしまいます。
完璧主義によって労働時間が増えている場合は、次の2つのことを検討してみてください。
- 不安の明確化:上司にできないやつと思われたくない
- 不安を取り除ける目標:制限した作業時間のなかで、上司に3回のフィードバックをもらいながら資料を作る
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法①:結果を手放す
・方法②:時間で区切る
・方法④:小さな目標を立てる
・方法⑤:目的と効率を基準にする
・方法⑥:ミスを犯す体験に慣れる
・方法⑧:自分を他人と同じように扱う
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
・方法⑬:上振れではなく通常の自分を基準にする
問題②:計画が後ろ倒れになる
完璧主義は締切を蔑ろにすることにもつながります。
締切という本来の目的よりも、納得感や安心感などの品質を優先するためです。
他者に管理されていない計画の場合、顕著にこの問題が生じます。
特に個人事業主やフリーランスなどは、計画を進められないことに悩むことが多いでしょう。
締切をずらさないための最も有効な方法は、「締切は変えられない」という前提を持つことです。
「締切を変えることは特例であり、普段は締切厳守だ」という認識を持つことで、納得感よりも計画を前に進めることを優先できるようになります。
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法①:結果を手放す
・方法②:時間で区切る
・方法④:小さな目標を立てる
・方法⑤:目的と効率を基準にする
・方法⑥:ミスを犯す体験に慣れる
・方法⑦:自分への期待を把握する
・方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
・方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う方法
・方法⑬:上振れではなく通常の自分を基準にする
準備中:納得できないと先に進めない
問題③:他者にタスクを任せられない
完璧主義の苦手なこととして、他者にタスクを任せることが挙げられます。
その理由として以下のことが考えられるでしょう。
- 自分の方がよい成果物を作れるから
- 他者の失敗を指摘するのが億劫だから
- 他者の失敗の責任を負いたくないから
- 他者に期待をしても裏切られるだけだから
- 他者の失敗を受け入れられない自分を直視したくないから
他者にタスクを任せるためには、よい意味で相手に期待しすぎないことが重要です。
そのためには、「自分や他者」ではなく「自分の望む未来」に焦点を当てて、次のように他者への妥当な期待を明確にしてみてください。
- 本来の目的:効率化することで家族との時間を増やしたい
- 本来の目標:毎日6時間労働で今と同じ収入を得る
- 他者への妥当な期待:コンバージョン率が今より2割減らなきゃ十分
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法①:結果を手放す
・方法③:加点方式で考える
・方法④:小さな目標を立てる
・方法⑤:目的と効率を基準にする
・方法⑦:自分への期待を把握する
・方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
・方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
・方法⑭:心理的安全性の高い人間関係を構築する
準備中:理想の描き方
問題④:人間関係を構築することが苦手
完璧主義が抱える問題として、人間関係を構築することが苦手というものが挙げられます。
自他に対する要求が厳しく、良好な関係を長期的に維持できないためです。
自他への要求を和らげるには、人間関係を構築することへの苦手意識を手放すことをおすすめします。
「許す」と「許せない」の境界線を明確にして、完璧ではない自他を受け入れられる範囲を広げるということです。
次の3つに対する答えを見つけることは、その境界線を明らかにすることに役立ちます。
- 自他にどんな要求をしているのか
- それはなぜなのか
- 本当はどんな未来を望んでいるのか
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法①:結果を手放す
・方法③:加点方式で考える
・方法④:小さな目標を立てる
・方法⑤:目的と効率を基準にする
・方法⑦:自分への期待を把握する
・方法⑧:自分を他人と同じように扱う
・方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
・方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
・方法⑬:上振れではなく通常の自分を基準にする
・方法⑭:心理的安全性の高い人間関係を構築する
問題⑤:フィードバックを受けることが苦手
完璧主義者にとって、他者からのフィードバックは自分が不完全であることの証明です。
そのため、フィードバックをもらうことに苦手意識を持ちやすく、自分1人だけで努力をしようとして成長が頭打ちになる傾向があります。
フィードバックへの抵抗感を抑えるための効果的な方法の1つは、フィードバッカーと心理的安全性の高い関係を構築することです。
「この人は自分の不完全さを受け入れてくれる」と理解することで、現状の自分をさらけ出すことや、指摘を受け入れることに抵抗感が小さくなります。
フィードバックが怖いと感じたら、むしろ積極的にフィードバッカーと対話してみることをおすすめします。
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法④:小さな目標を立てる
・方法⑤:目的と効率を基準にする
・方法⑥:ミスを犯す体験に慣れる
・方法⑦:自分への期待を把握する
・方法⑧:自分を他人と同じように扱う
・方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
・方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
・方法⑬:上振れではなく通常の自分を基準にする
・方法⑭:心理的安全性の高い人間関係を構築する
準備中:アドバイスを受け取れない人の心理とは
問題⑥:本気になることから逃れようとする
完璧主義者は難しい挑戦であるほど、成果の最大化ではなく損失の最小化を目指します。
完璧主義者にとって全力を出すことは、自分の底を露見させる行為として捉えてしまうためです。
どうしても挑戦しなければならないときは、次のような行動によって自分の底を取り繕うとしてしまいがちです。
- 陰で努力する
- 可能な限り努力を避ける
- 苦手分野や弱みによる方法を用いる
本気になることから逃れようとする傾向を改善するには、「失敗しても大丈夫」という安心感を持つことが重要です。
自分の失敗を許すためにも、まずは他者の失敗を許し励ますことから始めてみてください。
【この問題の解決におすすめの方法】
・方法①:結果を手放す
・方法⑥:ミスを犯す体験に慣れる
・方法⑦:自分への期待を把握する
・方法⑨:完璧でない自他を受け入れる
・方法⑪:才能主義ではなく成長主義になる
・方法⑫:完璧でないことへの恐れと向き合う
・方法⑭:心理的安全性の高い人間関係を構築する
完璧主義を手放すための6つの習慣
ここでは、完璧主義を抑えるための体質づくりについてお伝えしていきます。
ここで紹介する習慣を続けることで、完璧主義のスイッチがONになりづらくなるでしょう。
準備中:習慣化の方法
習慣①:感謝ノート
感謝ノートでは、自他に関する感謝の気持ちを毎日記録していきます。
意図的に美点を見る習慣を作ることで、減点方式ではなく加点方式で捉える癖をつけることが目的です。
そのため、感謝ノートに書く内容は次のようなどんな些細な美点でもOKです。
- 今日も朝に起きられた
- 今日も部下が出社してくれた
- 出社してから自分から挨拶ができた
習慣②:人を観察する
他者の振る舞いや成果物を観察して、一般的な基準を探します。
自分にとっての「当たり前」を検証して、次の2つのことをおこなうことが目的です。
- 期待を調整すること:普通ってどのぐらいのレベル?
- 許容範囲を広げること:この問題はよく起きるもの?取り返せるレベル?
他者を観察するときは、他者の不完全さとそれに伴う結果を確認するようにしてください。
次のような実感ができたら、「当たり前」の検証ができたことになります。
- すごいと思っている人でも失敗するんだ
- 一般的にはこのぐらいの品質で成功なんだ
- 一般的にはこのぐらいの努力が必要なんだ
- 自分よりも能力が低くてもなんとかなるんだ
- 自分よりひどい失敗してもなんとかなるんだ
習慣③:自分と対話する
自分との対話では、内省によって自分の欲求や感覚についての解像度を深めていきます。
内省するスキルを上げることで、完璧主義を引き起こす本当の原因や理由に気づけるようになることが目的です。
自分と対話するときは、「どうすればいいのか」という方法論ではなく、次の3つを明確にしてみてください。
- 理想:どうしたかったのか
- 現状:実際はどうなのか
- 原因:なぜ現状が引き起こされているのか
現在を引き起こすメカニズムが分かることで、検証や改善のための本当の課題が判別できるようになります。
自分1人ではうまく内省できず、表面的なメカニズムしか明らかにできない場合は、自己探求の専門技術であるコーチングを受けることをおすすめします。
コーチングでは本質的な内面の変容による目標達成を支援してもらうため、目標達成だけではなく人としての成長も期待できるでしょう。
準備中:コーチングとは
習慣④:マインドフルネス
マインドフルネスとは、「今ここでの経験に、評価や判断を加えることなく能動的な注意を向けること」です。
瞑想のような、呼吸のマインドフルネスが広く知られています。
マインドフルネスを続けることで、意識を現在に引き戻せるようになり、恐れや不安などの感情に振り回されづらくなります。
1日10分程度のマインドフルネスを3週間程度続けると効果が実感できるので、ぜひとも毎日の習慣の1つに取り入れてみてください。
習慣⑤:未来の自分との文通
未来の自分との文通では、未来の自分に質問してアドバイスをもらいます。
視野を広げて、目先の損失に振り回されづらくなることが目的です。
未来の自分と文通するには、次の手順を実施してみてください。
- 未来の自分を明確にする
- 現在抱えている悩みを未来の自分宛てに手紙を出す
- その未来の自分になったつもりで現在の自分宛てに返答を書く
- 現在の自分に戻りその手紙を解釈する
- 解釈した内容から今後の行動プランを考える
習慣⑥:完璧主義を引き起こす思考に対して反論する
私たちは無意識的ですが、一定の思考パターンでものごとを解釈します。
完璧主義を引き起こしてしまうのも、それを引き起こす思考パターンが身に付いていることが原因です。
この思考パターンを変えるには、セルフツッコミを習慣づけてみてください。
次のような完璧主義を引き起こす思考に対して、「いやでも」と反論する癖をつけることで、思考が徐々に変容していきます。
- ちゃんとしなきゃ
- 〇〇すべき
- 〇〇するわけにはいかない
完璧主義と向き合うときの3つの留意点
完璧主義と向き合うことで、むしろ状況が悪化することがあります。
ここでは、状況が悪化しないための留意点についてお伝えしていきます。
留意点①:今までの自分を受け入れる
完璧主義を手放そうとするとき、完璧主義であること自体を恨まないようにしてください。
望んで完璧主義になったのではなく、仕方なく身に付いた処世術が完璧主義傾向を強めているだけにすぎないからです。
完璧主義によって自分を守れていたという側面もあるため、これまでの自分に感謝して受け入れてあげてください。
留意点②:人間としての自分を変えるわけではない
完璧主義を手放すことに抵抗感が生じることがあります。
次のように、完璧主義でなくなることが自分の価値に影響を及ぼすと感じてしまうケースです。
- こだわりを捨てたら自分じゃなくなる
- 今までの自分がダメだったということ?
しかし、完璧主義を手放すということは、思考や信念を現状に合うように合理化するだけです。
思考をスキルアップする行為であり、人間としての自分の価値が変わるわけではありません。
もしも人間としての自分の価値に不安を覚えたら、次の3つについて検討してみてください。
- 本当の自分とは何か
- 自分を自分たらしめているものは何か
- 絶対に譲れないことは何か
留意点③:状態によっては病院を受診しよう
完璧主義は誰しもが持っているありふれた性質です。
しかし、以下のような場合はお医者さんに相談してみたほうがよいかもしれません。
- つねに憂鬱である
- 人間関係のトラブルが絶えない
- なにかしらに依存してしまっている
- 過去のトラウマがフラッシュバックする
- 自分の健康を害するまでにがんばりすぎる
完璧主義を受診するときは、「精神科」「心療内科」のいずれかが考えられます。
- 精神科:うつ病やパニック障害などの心の病気の場合
- 心療内科:身体の不調の原因が心理的きっかけやストレスの場合
どちらを受診するかに迷うときは、精神科と心療内科がどちらも標榜している病院を受診することをおすすめします。
電話で予約する際に、「どちらを受診すればよいか悩んでいる」と相談することで、適した診療科を紹介してもらえるでしょう。
出典:https://clinic.nanko-hp.com/info210408
まとめ
完璧主義は、たまたまその環境に適応しただけにすぎない特性です。
環境が変わったならば、新しい環境に適応するために今持っている完璧主義を手放すことが必要になります。
完璧主義を手放す方法は、主に次の3つに整理できます。
- 自分自身を解明する
- 失敗への耐性をつける
- 問題解決能力を高める
完璧主義は習慣づいた特性であるため、完全に手放すまでには長い時間を要します。
自他を恨んだり、自己否定をしたりしないように注意して、慎重に完璧主義を手放していきましょう。
ただし、一向に問題が解決されなかったり、緊急性の高いトラブルが発生した場合は、すぐに医療機関に相談するようにしてください。
準備中:問題解決の基本