早く目標達成しようとするとき、多くの人がぶつかる壁に「フィードバックへの恐怖」があります。
誰かから改善点を聞けばいいというのは分かっているのに、怖くてアドバイスやフィードバックを受け取れない経験を多くの人が持っているのではないでしょうか。
しかし、フィードバックの受け取り方を身につければ、その恐怖や抵抗感を和らげることができます。
この記事では、フィードバックの受け取り方についてお伝えしていくので、ぜひともこの情報を取り入れてみてください。
フィードバックをもらうことが怖い5つの理由
ここでは、フィードバックを受け取ることに抵抗感が生じる主な理由についてお伝えしていきます。
理由①:自分への期待が高いから
自分への期待が高いとは、完璧に成功した自分を想定しているということです。
しかしフィードバックでは完璧な成功と離れた現状を突きつけられやすいため、恐怖を感じて冷静に受け取れなくなってしまいます。
自分への期待は自信にもつながりやすいですが、完璧な成功イメージは挑戦することや改善することへの抵抗感を強めます。
自分への期待が高いときは、次の3つを明確にして自分への期待を再検討してみてください。
- 一般的な基準はどうなのか
- 自分はどんなセルフイメージなのか
- 自分や他人は自分に何を期待しているのか
【自分への期待が高いときの思考例】
・できて当たり前だろう
・自分ならできるだろう
・これは成功したといえるだろう
・パフォーマンスを発揮しないと周りからバカにされるだろう
準備中:完璧主義を手放す方法
理由②:失敗だと感じてしまうから
「フィードバック=ダメ出し」だと感じてしまうことがあります。
「自分が悪いことをしたからフィードバックを受けているのだ」という感覚です。
フィードバックは自分の背景を考慮せず、結果や過程における失敗に対してよくおこなわれます。
そのため「分かってくれない」と感じてしまい、フィードバックに対して「でも」と抗議しやすくなります。
しかし、ネガティブなものもポジティブなものも含めて、フィードバックは課題を見つける手段でしかありません。
フィードバックに強い反発心を抱いてしまうときは、フィードバックの目的を再検討してみてください。
準備中:失敗の乗り越え方
理由③:他者評価が自分の評価すべてになるから
自分の価値は他者評価によって決まると考えている場合、他者からの見え方に敏感になりフィードバックを受け取ることが怖くなります。
もしもネガティブなフィードバックを受けたら、「自分はダメな人間なんだ」と認めなければならなくなるためです。
しかし、フィードバックとは他者から見た自分の姿を伝える行為でしかありません。
本質的な自分ではなく、その他者から見える自分であり、人によってその評価は異なります。
他者評価が自分の評価のすべてだと感じてしまう場合は、「あなたはそういう意見なんですね」と相手の見方であることを冷静に受け取ってみてください。
例.テストの点数が低い人へのフィードバック
・Aさん:勉強できないよね
・Bさん:勉強の仕方を知らないよね
・Cさん:勉強できる環境ではないよね
・Dさん:関心がないことにはとことん集中できないよね
理由④:自分自身を攻撃されている気持ちになるから
フィードバックを受けると、その内容の対象が自分のやり方や知識ではなく、自分そのものへの指摘だと感じてしまうことがあります。
たとえば、「締切を守りましょう」というフィードバックを受けたら、「ルールを守らなかった行為」ではなく「ルールを守らない自分の存在がダメってこと?」と考えてしまうようなケースです。
人はネガティブな言葉を浴びせられると、冷静さが失われて極端な思考に陥る傾向があります。
そのため、ネガティブなフィードバックは意図した通りに伝わりづらく、過度な自己否定の材料として使われてしまうのです。
フィードバックが自分自身を攻撃していると感じないためには、一旦落ち着いてから振り返って次のことを明確にしてみてください。
- 相手の意見:何を言ってたか
- 相手の感情:どんな感情だったか
- 相手の意図:誰のための意見か
- 相手の望み:私にどうなって欲しいのか
例.「勉強時間が少ない」というフィードバックを振り返る
・相手の意見:勉強時間が少ない
・相手の感情:悲しそうだった
・相手の意図:私の将来をどうにかしようとしていた
・相手の望み:ラクに流されない生き方をしてほしい
準備中:振り返りの方法
理由⑤:悪い評価が大きな損失を生むと考えているから
フィードバックにより大きな損失が生じると感じる場合、内容を冷静に受け取れなくなります。
フィードバックへの意味づけが、「課題発見」ではなく「有罪判決」になってしまうためです。
すでに挽回することが手遅れであることへのフィードバックは、希望ではなく絶望を与えます。
「これから悪いことが起きる」という通達でしかなく、フィードバック自体に拒絶反応が生じるのも無理もありません。
しかし、これは自分が「もう手遅れだ」と思い込んでいるだけで、実際はまだ挽回の余地がある可能性もあります。
フィードバックをもらうことに恐怖を感じたら、それによる影響の妥当性と挽回の余地を検討してみてください。
【ネガティブなフィードバックにより生じる損失例】
・見限られる
・バカにされる
・上司に怒られる
・昇進できなくなる
・関係性が悪化する
・契約が打ち切られる
・空気が気まずくなる
・能力が低いと思われる
・改善しなければならなくなる
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
冷静にフィードバックを受け取るための6つの手順
フィードバックの受け取り方を理解していないと、相手から攻撃されたと感じやすくなります。
ここでは、フィードバックを受け取って活用するまでの流れについてお伝えしていきます。
手順①:目標を思い返す
まずは、何の目標に対するフィードバックであるのかを思い出してください。
フィードバックの目的は目標達成に必要な課題を見つけることであり、目標を思い出すことで情報の立ち位置が明確になるからです。
例.高校のテストの点数
・目標:A大学に合格する
・情報の立ち位置:〇〇大学に合格するための情報
フィードバックの立ち位置を把握することで、自己否定をせずに情報として活用しやすくなります。
情報の取捨選択もしやすくなり、効果的にフィードバックを活用できるようになるでしょう。
準備中:目標の設定方法
手順②:フィードバック先に感謝を伝える
フィードバックをもらったら、フィードバック先に感謝を伝えましょう。
感謝はネガティブ感情を抑制し、自己否定的な感情を生じさせなくするためです。
感謝をする対象は、態度や内容ではなく相手のコストや勇気に焦点を当ててください。
次の2点に対して感謝をすることで、どのようなフィードバックにも批判的にならずに済みます。
- 勇気:フィードバック内容を伝える勇気を持ってくれたことへの感謝
- コスト:フィードバック内容を考え伝える時間を使ってくれたことへの感謝
参考記事:https://diamond.jp/articles/-/318022
手順③:フィードバック内容を分類する
フィードバックの内容を分類して情報を整理します。
ポジティブとネガティブのどちらの内容もあることを認識できるようにするためです。
フィードバック内容を分類するには、次の4象限で分けてみてください。
- ポジティブ×具体的:強み
- ポジティブ×抽象的:強み
- ネガティブ×具体的:弱み
- ネガティブ×抽象的:弱み
この4象限で情報を整理したら、目標に活用できそうな内容をピックアップします。
「ネガティブ×抽象的」はほとんど活用できないので、気になる場合は尋ねて具体化してみてください。
例.職場でのフィードバック
・ポジティブ×具体的:締切を守ってくれる
・ポジティブ×抽象的:なんかいつも元気
・ネガティブ×具体的:報連相が少ない
・ネガティブ×抽象的:やる気がない→分からないことを放置する
手順④:自分の状態を確かめる
情報を分類したら、情報を分析する前に自分の状態を確かめてください。
元気がないときはネガティブなワードに反応しやすくなり、冷静に分析ができなくなるためです。
元気がないのであれば、息抜きをしたり、一晩しっかりと眠ったりしてからフィードバック内容と向き合いましょう。
準備中:元気になる方法
手順⑤:フィードバック内容を分析する
元気な状態になったら、フィードバック内容を分析していきます。
フィードバック内容の分析は、目標に必要な課題を明確にすることがゴールです。
自分にとっての課題を明確にするには、次のことを分析していくとよいでしょう。
- その内容は何に対しての意見か?
- その内容にはどんな目的があるのか?
- その内容で伝えたいことは何か?
- なぜその内容の指摘があったのか?
- その内容の指摘を改善するとどうなるのか?
フィードバックを分析するときに大切なことは、情報と評価を区別することです。
情報はその人の解釈であり、評価は解釈をもとにした感想や意見を指します。
分析するときは情報と評価を区別し、情報だけを活用するようにしてください。
例.遅刻へのフィードバック
・フィードバック内容:いつも遅刻ばかりされて困っている
・情報:周りに比べて遅刻が多い、遅刻は誰かに損失を与えている可能性がある
・評価:ネガティブ、困る、面倒
例.振る舞いへのフィードバック
・フィードバック内容:細かい気配りができて助かっている
・情報:配慮できている、気配りは誰かの助けになっている可能性がある
・評価:ポジティブ、感謝、助かる
手順⑥:フィードバック内容を目標計画に組み込む
目標に必要な課題が明確になったら、その課題を目標達成の計画に組み込んでいきます。
気づきをもとにした新しい目標計画を実行することで、今までとは異なる変化を引き起こせるためです。
まずは、強みであるポジティブなフィードバックを活かすことを検討してみてください。
その次にネガティブなフィードバックから、致命傷の対策と目標達成への活用の2つの視点で計画に組み込みましょう。
例.営業成績を30%上げることが目標
・ポジティブフィードバック:人間関係を築くのが上手
・ネガティブフィードバック:お客様への提案が雑
・強みの活用:関係をもっと早く深く築いて成約数を増やす
・致命傷の対策:クレームに発展しないように提案内容は上司と話し合って決める
・弱みの活用:提案内容の質は上司に確認してもらう
フィードバックの恐怖を和らげるコツ8選
ここでは、フィードバックをもらうときに感じる恐怖を和らげるコツをお伝えしていきます。
上述した「冷静にフィードバックを受け取るための6つの手順」と併せて活用してみてください。
コツ①:現状分析をする
現状分析とは、目標達成に必要なスキルの過不足やプロセスの進捗率を確かめることです。
自分の課題が明確になるため、自分への期待値が下がりフィードバックを受け取りやすくなります。
現状分析をするには、次の手順をおこなってみてください。
- 目標を設定する
- 目標に必要な計画とスキルを明確にする
- 現状の進捗率とスキルの練度を評価する
- 目標達成に必要な課題と対策を検討する
例.仕事での自己分析
①目標:将来起業するために社内で営業成績no.1を目指す
②計画:営業の数を30%増やし、成約率を20%上げる
②スキル:営業には顧客理解力、商品理解力、関係構築力、提案力が必要
③進捗率:営業の数は30%増えたが、成約率は変化なし
③スキル:トップセールスマンは軒並み6点だが、私は4点程度
④課題:提案に興味を持ってもらえないため顧客理解力を上げる
④対策:提案には顧客の何を知ればいいのかを調べてみる
コツ②:信頼関係を築く
信頼関係とは「相手の言葉と意図が別物であり、相手は私のことを思ってくれている」と考えられる関係性のことです。
たとえば、親友から「あほ」と言われるよりも、関係性の薄い上司から同じことを言われた方が心に傷を負うでしょう。
これは相手が発した言葉の内容以上に、言葉を発した相手との関係性に私たちの解釈が影響されるためです。
信頼できる関係性であるほど、相手の言葉や態度に振り回されずにそこにある有用な情報だけに焦点を当てられます。
特定の相手からのフィードバックが怖い場合は、そのフィードバック相手と積極的に交友して関係性を深めてみてください。
関係性ができていない人からフィードバックをもらったら、「その人は私を攻撃しない」という前提で内容をリフレーミングして役立つ情報だけを抽出してみましょう。
コツ③:自己肯定感を育む
自己肯定感とは他人の評価に関係なく、「自分には価値がある」と信じる態度のことです。
自己肯定感を育むことで相手からの評価に依存しづらくなるため、相手の態度と言葉の意図を分けて捉えられるようになります。
自己肯定感には、自分への認識と他者との関係性への認識が影響を及ぼします。
一長一短で育まれるものではありませんが、次のことを意識して自己否定しないようにしてみてください。
- 義務自己の検討:「〇〇であるべき」という自分の枷の妥当性を検証する
- 自己受容の促進:「こんなキャラが世の中に1人ぐらいいてもいいか」と自分を受け入れる
- 自己効力感の向上:「がんばればできるようになる」と自分の能力を信じる
- 理想自己と義務自己の区別:「ありたい自分」と「あらねばならない自分」を分けて考える
- 自分にとっての他者像の検討:自分が考える他者の性質や傾向を安全なものに変える
- 他者評価に対する解釈の検討:他者評価が変動しやすいことを理解する
- 自分から見た他者の重要度評価:大切な人は誰なのかを理解する
- 他者からの評価による影響の検討:他者評価が人生に与える影響を明確にする
コツ④:自分もフィードバックする
私たちがフィードバックを受け取るとき、フィードバック相手に伝える内容や振る舞いを過度に期待してしまうことがあります。
「もっと優しく言えばいいのに」「もっと分かりやすく伝えてほしい」と感じるのは、まさにその期待によるものだといえるでしょう。
しかし、フィードバックをする技術は非常に難しく、不慣れな人はうまく内容を伝えることができません。
配慮すればするほど抽象的になったり、無駄に具体的になったりして、理解しづらい内容になってしまうものです。
フィードバックをすることの難しさや大変さを理解すれば、言葉通りに相手が考えているわけではないと想像することができ、フィードバックをもらうことに恐怖を感じづらくなります。
そのためにも実際に自分がフィードバックをして、その難しさや大変さを体験してみることをおすすめします。
コツ⑤:自分からフィードバックをもらう
フィードバックを自分からもらうことで、相手に自分のやる気や意志を伝えることができ、優しく効果的なフィードバックをもらいやすくなります。
人はがんばっている人ほど応援したくなり、怠けている人や逃げようとしている人ほど冷たく当たってしまうためです。
自分からフィードバックを依頼するときは、理想や目標、ルールや質問などを用意しましょう。
また、「落ち込むかもしれないがやる気はある」と事前に伝えておくことで、フィードバックを受け取って不快な態度を取ってしまったとしても相手への迷惑を最低限にすることができます。
準備中:360度フィードバックとは
コツ⑥:フィードバックをもらうこと自体に慣れる
フィードバックを受け取る経験が少ない人ほど、フィードバックに抵抗感や恐怖心が生じます。
フィードバックを受け取る能力が低く、過度に悪い未来を想像して不安になってしまうためです。
そのため、フィードバックを受け取る回数を積み重ね、その内容を活用する経験を増やすことはフィードバックへの恐れを和らげることにつながります。
まずは目安として、10回のフィードバックをもらってみてください。
もらえばもらうほど、フィードバックへの抵抗感が段々と薄れていくことを実感できる可能性があります。
コツ⑦:フィードバックへの意味づけを検討する
「フィードバックとは何か」を検討し直すことで、フィードバックへの恐れを和らげられます。
「誰が言うか」「何を言うか」と同じくらいフィードバック自体への解釈が、感情や抵抗感に影響を及ぼすためです。
フィードバックへの意味づけを変えるためには、次の方法を試してみてください。
- フィードバックのメリットや目的を明確にする
- フィードバックを受けることで生じる影響を検討する
- フィードバックを好意的に受け取る人の解釈を参考にする
例.職場でのフィードバックの解釈
・「フィードバック=有罪判決」→抵抗感が増す
・「フィードバック=評価されること」→抵抗感が増す
・「フィードバック=期待の表れ」→抵抗感が和らぐ
・「フィードバック=情報収集の一環」→抵抗感が和らぐ
コツ⑧:ネガティブな感情に振り回されないスキルを身につける
ネガティブになることと、その状態に振り回されることは別物です。
怒りをこみ上げるような罵声を受けたとしても、怒りに任せて殴りかかるという行動はなかなかとらないでしょう。
それと同じように、フィードバックで落ち込んでしまったとしても、その状態に振り回されずに感情を落ち着かせることが私たちには可能です。
感情に振り回されないスキルを身につけるためには、次の方法をお試しください。
- 感情から焦点を外すスキル:マインドフルネス、理想の自分像を演じる
- 感情を素早く安全に発散するスキル:散歩、ノートに記述
準備中:理想の自分像
フィードバックを活用するときの注意点
ここでは、フィードバックを受け取り活用する際の注意点についてお伝えしていきます。
注意点①:反論したいときは質問をする
フィードバックを受け取るとき、どうしても反論したくなる衝動が生じます。
「でも」「だって」と自分の背景を説明したくなる感覚です。
しかし、フィードバックは相手から見た自分の在り方や課題を知る手段であり、正しさを追求する場ではありません。
そのため反論するのではなく、1つの情報として受け取ってその情報を自分1人で取捨選択したほうがよいでしょう。
どうしても反論をしたいときは、「なぜそのように見えたのか」とフィードバックの内容の根拠を質問することをおすすめします。
このときも「正しさ」を押し付けることを目的にするのではなく、その人とのすれ違いを改善するためのヒントを見つけることを目的にするようにしてください。
注意点②:他責思考にならないようにする
フィードバックにより指摘されたことを実行するとき、他責思考になることがあります。
「Aさんに言われたことをやってみるけれど、これで失敗したらAさんの責任だ」というような結果の責任を指摘した相手に押し付ける考え方のことです。
しかし、フィードバックはあくまで。課題の仮説を構築するための情報を得ることが目的です。
フィードバックで得た情報の活用による結果の責任は自分にあります。
言われたことを実行したり改善したりする態度は大切ですが、他責思考だと自分の正しさを証明するためにわざと失敗をしようとしてしまうこともあります。
指摘されたことを不貞腐れながら取り組むのではなく、活用方法を自分で選んでその結果の責任は自分で負うようにしましょう。
準備中:他責思考の直し方
注意点③:相手に過度な期待をしないようにする
フィードバックを受け取るとき、フィードバックをしてもらう相手にその内容や態度を過度に期待してしまうことがあります。
「もっと意味のあることを言ってほしかった」「もっと分かりやすく伝えてほしかった」というように、お手本のようなフィードバックを求めてしまうケースです。
しかし、相手の能力や態度をコントロールすることはできません。
できることと言えば、フィードバックを受け取り活用することだけです。
そのため、相手への期待はできる限りフラットにして、自分のコントロール可能な範囲に焦点を当てましょう。
次のように自分でコントロール可能な範囲に焦点を合わせることで、自分にとってより有意義なフィードバックになります。
- 詳しく知りたいことがあるならば具体的に尋ねる
- 伝え方に疑問があったら自分がそのような態度を振舞えるようになる
フィードバックで相手に恐怖を与えないための方法6選
ここでは、自分がフィードバックをするときに恐怖心を与えない秘訣をお伝えしていきます。
自分のフィードバックスキルを高めることは、フィードバックを受け取る恐怖を和らげることにもつながりますので、ぜひとも取り組んでみてください。
方法①:安全領域を作る
安全領域とは、「この場で何があっても大きな損失が生じない」と感じられる空間のことです。
安全領域では相手の評価を過度に意識しなくなるため、フィードバックの内容を情報のまま受け取れます。
たとえば、上司から部下にフィードバックをするとき、次のことを伝えると安全領域作りに役立ちます。
- あなたを嫌いではない
- あなたは成長できると信じている
- フィードバックの内容は人事評価に影響しない
方法②:伝える目的を明確にする
フィードバックをするときは、自分が何を伝えたいのかを明確にしましょう。
多くの解釈ができる内容だと、相手に自分の本心が伝わらず混乱が生じるためです。
伝える目的を明確にするには、次の4つを明らかにしてみてください。
- 現状:どのように見えるのか
- 指摘する理由:それを伝えて相手に何を期待しているのか
- 目標との関連性:どの目標に関係する指摘か
- 延長線上の未来:現状が続くとどんな未来が予想できるか
方法③:伝える言葉と態度に気を付ける
相手が受け入れやすいように伝えるためには、言葉選びと態度が重要になります。
攻撃的な言葉を選んだり、相手をバカにした態度をとったりすると抵抗感が生まれるからです。
しかし、回りくどい言い方では何を言いたいか伝わりづらくなり、甘い態度だと重要なフィードバックだと感じづらくなってしまいます。
自分の言葉選びと態度がどのような影響を与えるかを、事前に録画したり同僚にフィードバックしてもらったりして調整してみるとよいでしょう。
方法④:相手の変えられない部分を否定しない
フィードバックは課題を見つけることが目的であるため、変えられる部分についての内容でなければなりません。
性別・年齢・学歴・体質などのフィードバックは相手を傷つけるだけであり、意味のないものになってしまいます。
相手の変えられない部分を否定しないためには、それについての対策を考えてみることが有効です。
「わきがが臭い」ではなく「わきがの対策をがんばってほしい」と意見を伝えることで、相手そのものではなく外側の問題への指摘だと捉えやすくなります。
もしも対策が一般的には無理であったり、相手が十分に対策を施しているのに問題となっていたりする場合は、相手の変えられない課題であると捉えてフィードバックをすることは控えましょう。
方法⑤:ポジティブフィードバックの割合を増やす
私たちは弱みの改善よりも、強みの強化の方が成長効率が高い傾向があります。
そのため、「できていないこと」よりも「できていること」を指摘したほうが、相手はより簡単にモチベーション高く目標達成できる可能性があるのです。
しかし、ポジティブなことばかりをフィードバックして、ネガティブを放置することに不安を抱えるのも事実でしょう。
フィードバックをする内容で迷ったら、次の基準に従って内容を選別することをおすすめします。
- ポジティブフィードバック:それを強化すると目標達成に役立つか?
- ネガティブフィードバック:それを改善しないとすべての努力が無駄になるか?
方法⑥:ネガティブフィードバックでは期待と具体化を意識する
ネガティブなフィードバックをするときは、相手への期待と改善すべき具体的な要素を伝えましょう。
相手への期待を伝えることで不安感を消し去ることができ、改善すべき具体的な要素を伝えることで受け取りやすくなるためです。
反対にポジティブなフィードバックであれば、期待を伝えることも、具体的に伝えることもさほど重要ではありません。
【ネガティブなフィードバック】
・×:元気がないのがだめ
・〇:あなたは対人能力が苦手だよね。でも練習すればうまくできる見込みがあるよ。
【ポジティブなフィードバック】
・〇:いつも元気で素晴らしい
・〇:あなたは対人能力が得意だよね。もっと磨きをかけたら会社でno.1の成績を出せそう。
まとめ
フィードバックが怖いと感じるときは、フィードバックを受け取り活用する方法を身につけてみましょう。
フィードバックを活用する経験が増え、フィードバックの意味づけを変えられれば、怖いという感情は和らいでいきます。
しかし、最初のうちはその怖さと立ち向かう必要があり、そこで躓いてしまうかもしれません。
自分1人ではフィードバックを克服することが難しいと感じる場合は、コーチのような内省と行動を後押ししてくれる支援者に協力を要請してみることをおすすめします。
準備中:目標達成にコーチングが有効な5つの理由