二極化思考とは、「良いor悪い」「好きor嫌い」などのような極端な物の捉え方です。
白黒思考やゼロイチ思考、全か無か思考とも呼ばれており、柔軟な思考を妨げる認知の癖として知られています。
この記事では、二極化思考を改善するための方法についてお伝えしていきます。
二極化思考はメンタル不調を引き起こす原因になりやすいため、ぜひともここで紹介する方法を取り入れてみてください。
二極化思考による3つの問題点
そもそもなぜ二極化思考を改善する必要があるのでしょうか。
ここでは、二極化思考が引き起こしやすい3つの問題についてお伝えしていきます。
問題点①:選択肢が減る
二極化思考の持ち主は極端な選択肢を好みます。
分かりやすい答えでないと納得ができず、また視野が狭まり他の可能性を探れない状態になりやすいためです。
例1.友達との喧嘩
・二極化思考:もう面倒だから関係を切ろう
・柔軟な思考:ちょっと時間をおいて様子を見よう
例2.起業するかの悩み
・二極化思考:起業しちゃおう!
・柔軟な思考:今の会社で働きながら副業で様子を見よう
客観的には思い切りがいいように見えると同時に、危なさも感じさせます。
選択肢が減るため行き詰まりも感じやすく、八方ふさがり状態に陥る頻度も高いです。

問題点②:器が小さくなる
自分の価値観を客観的には常識だろうと考えやすく、自分の判断を疑いません。
自分と異なる意見を異端だと指摘し、受け入れるよりも否定しようとしてしまいます。
例.離婚する友人
・二極化思考:離婚するなんて子供がかわいそう!
・柔軟な思考:大変だったんだね、手伝えることがあったら何でも言って!
客観的には芯があると同時に、融通が利かない頭の固い人として捉えられやすいです。
何が地雷か分かりづらいため、人間関係でトラブルを抱える原因になります。

問題点③:報酬感を得づらくなる
「成功or失敗」を極端に捉えやすく、継続力に難があります。
合格基準を下回る結果はすべて失敗であり、なんの成果も得られなかったと感じやすいためです。
例.テストで50点だった
・二極化思考:80点取れなかったから自分はダメな奴だ
・柔軟な思考:あの勉強方法と量で50点なら〇〇を改善すればいいかも
継続するには、失敗に含まれる成功から報酬感を受け取りストレスを軽減する必要があります。
結果だけに一喜一憂してしまう場合は、二極化思考を手放して隠れた報酬を探してみてください。

二極化思考を改善するための3つの方針
ここでは、二極化思考を改善するための方針についてお伝えしていきます。
どの方針が役立つかは人によって異なるため、それぞれお試しください。
方針①:境界線を見直す
境界線を見直すとは、二極化の判断基準を改めて検討することです。
「決めつけていたものが本当は違うかもしれない」と自分に疑いを持つことで、正解だと捉えられる幅が広がります。
例.後ろの車にクラクションを鳴らされた
・二極化思考:クラクションを鳴らす人は悪い人だ
・疑問を持つ:本当に悪い人なのか?
・新しい解釈:単なる親切心だったのかもしれない
境界線を見直すには、深い内省と検証を繰り返すことが大切です。
自分の決めつけに対して根拠を探し、その主張の妥当性を探ってみてください。
★グレーゾーン
グレーゾーンとは、「80点以上が合格だけど60点も取れてるじゃん」という考え方のことです。
今の「ある」に焦点を合わせることで、報酬感が発生して現状を受け入れやすくなります。
グレーゾーンを認識することは、「二極化思考を改善する」というより「目標を持つ根拠に対する検証作業」としてのニュアンスが強いです。
現状を再認識してもまだその感情や欲求か残っているのかを確かめるときに、グレーゾーンを意識してみてください。
・お腹減った→飢餓状態を10点として今のお腹の減り具合は何点?
・結婚しなきゃ幸せになれない→結婚前と後では何が変わるの?

方針②:曖昧さに慣れる
二極化思考の持ち主は、歯切れのいい答えでないと不満を感じやすいです。
その曖昧さへの耐性の低さが原因で、分かりやすい答えを求めようとします。
★二極化思考による結論への急ぎ
・この状況での正解は何?
・結局これで成功できるの?
・好きなの、嫌いなの、どっちなの?
曖昧さに慣れるには、曖昧さの中にあるコントロールできる範囲に焦点を合わせることが重要です。
「コントロールできるものはない」という認識は、曖昧さから強いストレスが生じて短絡的な判断を促します。
例.マニュアルのない仕事
・コントロール可能:自分の行動(仮説づくり、仮説の検証)
・コントロール不可能:行動に伴う結果(成功or失敗)

方針③:行動のみを変える
二極化思考をある程度抑制することができても、すべてをなくすことはできません。
そのため、二極化思考に起因したトラブルを防止するための工夫が重要になります。
★二極化思考に起因したトラブル例
・結果への焦り:成功か失敗か、賛成か反対か
・挑戦への抵抗感:絶対に成功できるか否か
・人間関係の潔癖さ:敵か味方か、好きか嫌いか
行動を変えることは表面的な改善ですが、問題を素早く解決できるというメリットがあります。
自分にある二極化思考を観察して、その性質との付き合い方を模索してみてください。
境界線を見直す方法
ここでは、二極化思考を改善するために境界線を見直す方法をお伝えしていきます。
深い内省と検証が必要なので、1人では難しい場合はコーチングやカウンセリングなどのサポートを受けてみてください。

境界線①:基準を元に戻す
成功の基準がどんどん厳しいものへと更新されていくことがあります。
これを最初の基準に戻すことで、自分や他者に優しい判断を下せるようになるでしょう。
例.FPSゲームの成功基準
・最初:参加できるだけで楽しい
・更新後:勝たなければ楽しくない
基準を元に戻すには、過去の自分を思い出すことが有効です。
それが難しい場合は、過去の自分と同じ地点の他者と接してみてください。

境界線②:自分の傾向を知る
二極化思考の問題は、「自分の意見=一般常識」として捉えることです。
何が自分特有の傾向であるかを理解することで、視点を切り替える余地が生まれます。
★自分特有の傾向
・解釈
・価値観
・好き嫌い
・ルールやマナー
自分の傾向を知るには、まずは自分の意見を明確にしてみてください。
その意見に潜む自分が重要視していることを探ることで、自分特有の思考パターンを見つけられます。
★価値観による違い
・人間関係を疎かにする人は最低だ→私は親密性が大切なんだ
・人間関係よりも成果を出すことが大切だ→私は達成欲が強いんだ

境界線③:他者の視点を取り入れる
多角的な意見の存在を認識することで、極端にものごとを捉えなくて済む枠組みが手に入ります。
答えが複数あると分かっていれば、少ない情報だけで答えを断定しなくなるためです。
例.上司に怒られた
・二極化思考:怒るということは私は低評価されたんだ
・多角的な視点:期待している相手には感情的になりやすい
ただし、他者の視点を取り入れるには一旦自分の思考を手放す必要があります。
自分の意見を肯定したい気持ちが残っていると、どれほど他者の視点を認識しても拒絶してしまうでしょう。
★他者の視点を取り入れる方法例
・読書
・セミナー
・インターネット(SNS、知恵袋)
・オンラインサロン
・上司や部下との交流
・異なる業界との交流
・家族や友人への相談

境界線④:良し悪しの理由を内省する
二極化で考える基準の理由を内省することで、基準をより合理的なものへと変えられます。
判断基準の多くは、無意識的な学習により認知バイアスがかかっているためです。
★認知バイアスがかかった判断基準
・一人前のフリーランスとは年商1千万円稼げることだ
・よい上司とは感情を表に出さず部下を勇気づける人間だ
・立派な親とは偏差値の高い大学に子供を進学させることだ
理由を内省するときは、以下のステップをお試しください。
- 意見:「良い自分や他者」「悪い自分や他者」を記述する
- 理由:「良いと判断する理由」「悪いと判断する理由」を記述する
- 例外:「良いの中にある悪い」「悪いの中にある良い」を記述する
- 起源:「なぜその判断基準が身に付いたのか」を記述する(自分の価値観or刷り込み)
- 理想:「本当はどう捉えたいのか」を記述する(現状維持/手放す/修正)
例.お金を稼ぐことへの強迫観念
・良い自分:お金を稼げる自分
・悪い自分:努力量に見合う成果を得られない自分
・良い自分である理由:お金があればみんなに評価されるから
・悪い自分である理由:自分の才能のなさを証明することになるから
・良い中にある悪い:お金を稼ぐとヘイトが溜まる
・悪いの中にある良い:成果が出づらい挑戦は成長効率が高い
・判断基準の起源:成績が低かったときに親にがっかりされた
・理想:「結果」ではなく「何をするか」を大切にしたい
★基準の変容
基準を明確にしたら、それを無理に変えようとしないでください。
基準はその人の根幹にも関わり、アイデンティティの崩壊を招く恐れがあるためです。
自分がもつ基準を認識するだけでも、二極化思考は和らぐ可能性が十分にあります。
「自分を変える」のではなく「自分を知る」ために自分の判断基準を探求してみましょう。
・現状維持:今の基準を保持すると決める
・手放す:今の基準を別の新たな基準に入れ替える
・修正:今の基準の度合いを調整する

境界線⑤:根拠の妥当性を実際に検証する
「AはBである」と考える根拠を検証することで、新しい考え方をする余地が生まれます。
根拠の多くは思い込みや机上の空論であり、実践的な経験が不足しやすいためです。
例1.犯罪者に対して「人生終わったね」という意見
・AはBである:犯罪を犯したら人生が終わる
・根拠:そう親に教わったから→それは本当なの?
例2.精神病によって退職したことに悲観する
・AはBである:精神病は改善しない
・根拠:改善例を知らないから→例外はないの?
例3.私の商品は誰も買わない
・AはBである:販売者の実績で買うか否かを決める
・根拠:私はそうだから→他の人も同じ考えなの?
二極化思考に気づいたら、その根拠について疑ってみてください。
根拠への反例を見つけられれば、「AはBだけではなくCもDもある」と広い視野で物事を捉えられるようになります。
★根拠と具体例
二極化思考は1つの具体例で全体を決める「一般化」を用います。
複数の具体例をたくさん見つけることで、根拠の検証になり一般化が改善されるでしょう。
ただし、自分の意見を肯定する情報を集めようとする確証バイアスには注意が必要です。

曖昧さに慣れる方法
ここでは、二極化思考を改善するために曖昧さに慣れる方法をお伝えしていきます。
曖昧さ①:打率を見積る
曖昧である状況を受容するには、見通しを持つことが有効になります。
白黒つけるタイミングを把握することで焦らなくなり、決めつけを保留できるためです。
例.この方法で成功するの?
・タイミング未設定:成功するか早く教えて!教えてくれないなら何もしない
・タイミング設定:10回試してから決める!試しきるまで判断は保留
見通しを持つときは、「単体の結果」ではなく「打率」を得られるタイミングを明確にしてみてください。
単体の結果だけでは外れ値に遭遇しやすく、二極化思考を強化する恐れがあります。
例.恋人との関係性
・単体の結果での判断:喧嘩したから私たちは相性が悪い
・打率での判断:半年で3回喧嘩したが仲直りできたから相性は悪くない
曖昧さ②:失敗耐性をつける
「失敗しても大丈夫」という感覚を抱ければ、曖昧な状態に対してストレスが生じづらくなります。
失敗に伴う損失が大きいと考えているからこそ、白黒をはっきりつけないと気が済まないためです。
例1.成功か失敗か
・失敗したら多額の借金を背負うことになる→成功しなければならない
・失敗しても何も失わない→成功も失敗も受容できる
例2.結婚するかしないか
・この人以外とは結婚できない→絶対に結婚しなければ
・他にも機会はたくさんある→相手にどう思われてもあまり気にしない
例3.敵か味方か
・敵は私の命を脅かす→敵でないかを確実に見定めなければ
・敵であっても何も起きない→本当の敵はめったに存在しない
白黒つけたくなったら、黒に潜む恐れを検討してみてください。
その恐れと折り合いをつけることで、失敗耐性が向上して曖昧さを受け入れられるようになります。
★失敗耐性を上げる方法
・自己肯定感を高める:失敗しても私の価値は揺るがない
・失敗の成功体験を積む:いろんな失敗をしたが問題は起きなかった
・失敗による損失を再評価する:この失敗をしても致命傷にはならない
・失敗から得られる利益を再解釈する:失敗するほど成長できる

曖昧さ③:理想の自分像を目指す
理想の自分像をイメージすることで、曖昧さへの耐性が向上します。
物事を俯瞰できるようになり、直感的な一般化を阻止できるようになるためです。
例1.子供に暴言吐かれた
・直感的な一般化:親に暴言を吐くなんてありえない!叱らなければ
・理想の自分像:理想の私だったらまずはその背景を共有するだろう
例2.セールスを断られた
・直感的な一般化:断られたということは私の商品はダメなんだ
・理想の自分像:理想の私だったら1度断られたくらいで挫けないだろう
自分の二極化思考に気づいたら、理想の自分像だったらどう考えるかを検討してみてください。
「have to」ではなく「want to」にまで視野が広がり、新しい選択肢を見つける手がかりになります。
- have to:~すべき、~しなければならない
- want to:本当は~したい、~ありたい

曖昧さ④:現状の最良を明確にする
現状の最良を明確にすることで、完璧な成果物への期待を手放せるようになります。
「それはないものねだりである」と理解でき、今ある手札でやりくりすることに焦点を当てられるためです。
例1.起業に成功したい
・二極化思考:絶対に成功できる方法を見つけたい
・現状の最良:絶対に成功できる方法はすぐに見つからないから、とりあえず今ある案を実行して改善していこう
例2.一切喧嘩をしない夫婦になりたい
・二極化思考:一切喧嘩をしない夫婦になる方法を見つけたい
・現状の最良:喧嘩をしない方法なんて分からないから、喧嘩した原因と1つずつ向き合っていこう
欲しい結果を見定めたら、「その結果を得るために今できること」に集中してみてください。
「完璧な方法」ではなく「何もしない自分」を評価基準にして、今ある手札を分析してみましょう。
「成功or失敗」ではなく「やるorやらない」というコントロール可能で現実的な選択をできるようになります。
★確実な成功
問題に対する「確実な解決方法があるはずだ」という認識は、曖昧で不確実な選択をすることを阻害します。
確実な方法を探すのも1つの手ですが、それがすぐに見つかるとは限りません。
見つからない場合は「今ある手札で勝負すること」に切り替えるためにも、確実な解決方法を一旦諦めて「解決策を見つけるための冒険をする」と決断してみてください。

曖昧さ⑤:挑戦を楽しむスキルを上げる
曖昧な状態を受け入れるには、その状態を楽しめるようになるのも1つの手です。
簡単に結論が出ない状況への解釈を変えることで、ストレスよりも報酬感が上回る可能性があります。
例.成功確率30%のプロジェクト
・ストレス大の解釈:失敗したら大目玉を食らう、みんなからバカにされる
・報酬大の解釈:成功したら儲けもの、次につながる大きな経験ができる
結果を手放してプロセスに没入するマインドを得ることで、挑戦自体を楽しめるようになります。
歯切れの悪い曖昧な状況にストレスを感じたら、今の状況を客観的に捉えて新しい意味を見出してみてください。
★二極化思考とモチベーション
二極化思考が顕著な人は、結果に固執する傾向があります。
成功や独自性を確信できない限りモチベーションが上がりづらく、プロセスや成長に意味を見出しづらいです。
「どうせ失敗する」「大した挑戦ではない」とモチベが下がったら、次の2つのことを検討して実行する意義を探してみてください。
・この挑戦は何につながる布石なのか
・この挑戦で満たされる価値観は何か

トラブルを防止するために行動を変える方法
ここでは、二極化思考によるトラブル防止のための方法をお伝えしていきます。
行動①:よく寝る
寝不足になると、視野が狭まり短絡的な思考をするようになります。
自身の論理的矛盾にも気づきづらくなり、二極化思考での判断を肯定しやすくなるでしょう。
二極化思考に悩んでいるときは、まずは睡眠時間の確保から始めてみてください。
不眠であるうちは、どのような方法も二極化思考を改善する役には立ちません。

行動②:大きなお世話をやめる
相手のための行動を手放すことで、二極化思考によるトラブル行動を阻止できます。
「二極化思考で判断すること」と「行動を起こすこと」はイコールではないためです。
例.道にゴミを捨てる瞬間を目撃したときの思考と行動
・二極化思考:道にゴミを捨てるということは悪い人だ、ありえない
・行動:注意する、静観する、無視する
トラブルを引き起こすよくある理由は、相手に貢献しようとすることです。
相手を無理に正そうすることで、価値観を押し付ける形になり抵抗感が強まってトラブルに発展します。
例.子供に勉強を促す親の心理
・役割:子供の仕事は勉強することだ
・不安:このままでは子供が後悔してしまうかも
・価値観:安定した職に就くためにも勉強をさせなければ
自身の善悪の判断を変えないとしても、その判断を押しつけるかを検討する余地はあるでしょう。
たとえ相手のためだとしても、大きなお世話にならないために次の3つのことを工夫してみてください。
- 伝え方:この言葉や態度で受け入れてもらえるか
- 優先順位:何を伝えるべきか、何から伝えるべきか
- タイミング:今伝える必要があるか、いつ伝えると受け入れやすいか

行動③:言葉の選び方に注意する
言葉を適切に選ぶことで、他者とのトラブルを防止できます。
思考は言葉になりやすく、悪意がなくとも押し付けられたと受け取られやすいためです。
★二極化思考によくある口癖
・絶対に~
・普通は~
・~するべき
・一般的には~
・~なんてありえない
★トラブルになりづらい言葉
・私は~だと思う
・~かもしれない
・~のように感じる
・~という側面もある
自分の言葉の癖に気づくことは難しいため、他者に尋ねたり、ボイスレコーダーで記録したりしてみてください。
挑戦と振り返りを何度も繰り返すことで、トラブルに発展しづらい言葉選びが身に付きます。

行動④:主張する前に一度まとめる
思考を整理するステップを作ることで、自身の二極化思考に気づきやすくなります。
「本当にそれは今伝えるべき内容か」を確かめられるため、無暗な発言を阻止できるでしょう。
★主張前にまとめる方法
・ボイスレコーダーで記録して自分で聞く
・AIチャットサービスで検討する(認知の歪みを指摘してもらう)
・文章で伝えたいことをまとめる(主張、理由、根拠、具体例など)
「相手へのアドバイス=自分に責任が生じる」ということを認識してみてください。
無暗に指摘や主張をするのではなく、本当に相手のためになるか否かを確かめることをおすすめします。
- 自分のために主張する:言わないと気が済まない、自身の善の押し付け、不安の解消
- 相手のために主張する:相手が抱えている課題の解決に役立つ情報提供

行動⑤:マインドフルネスを取り入れる
二極化思考のスイッチが入ったら、その思考を言葉にしたい衝動に駆られます。
これを少ないストレスで我慢をするには、マインドフルネスがおすすめです。
「思考を手放して今に集中するスキル」を向上させることで、二極化思考が発動しても囚われなくなります。
★マインドフルネス瞑想
マインドフルネスを向上する最も有名な方法は、マインドフルネス瞑想です。
3週間程度続けることで成果を実感しやすく、アンガーマネジメントにも有効に働きます。
実施方法はyoutubeで無料で確認できるため、ぜひ挑戦してみてください。

二極化思考の個人事業主がよく持つ悩み
ここでは、二極化思考傾向が強い個人事業主が陥りがちな悩みについてお伝えしていきます。
ケース①:稼げない=人間失格
「この道を選んでよかった」と確信する根拠の1つが、売上の大きさです。
生活の充実度がいくら高くとも、最低限の売上がないと生活が苦しくなるだけではなく、人との交流も億劫になります。
まともに税金も納めずに社会のお荷物になった感覚になり、そんな自分を許せなくなってしまうのです。
★最低限の売上
・生活に困らない程度の売上規模
・友人や家族、自分自身に対して恥ずかしくない程度の売上規模
「稼げない自分は人間失格だ」とレッテルを貼り、常に自分を叱責してしまいます。
視野を広げるための余裕も気力もなくなり、負のループから抜け出せなくなるでしょう。
★負のループ
①失敗する
②自分を叱責する
③自信をなくす
④動けなくなる→失敗する
しかし、個人事業は会社員とはまたベクトルが異なる難易度が高い挑戦です。
実際に、個人事業主・フリーランス・起業家のほとんどが継続して稼げておらず、むしろ稼げないことの方が普通だと言えます。
そのため、「稼げない=人間失格」は誤った認識です。
この二極化思考を改善するためにも、「稼げるor稼げない」で二分するのではなく、「稼げない→稼げる」の道筋を立てて進捗を確認するようにしてみてください。
★「稼げない→稼げる」の道筋を立てる
前進したか後退したかで現状を判断してみましょう。
前回よりも前に進んでいるのか、このまま進めば稼げるようになるのかを客観的に振り返ることで、安心して目の前のタスクに集中できるようになります。
そのためにも、目標を達成するための計画を立てることが大切です。

ケース②:絶対に成功する方法論があるはず
ビジネス戦略を考えるとき、「成功するor失敗する」のいずれかで考えてしまいます。
かならず成功すると確信できない限り、それは絶対失敗すると認識して、挑戦を見送るようなケースです。
しかし、100%成功するビジネスの方法論は存在しません。
魔法の杖を探し続けると、いつまで経っても計画段階から抜け出せなくなりジリ貧な生活になるでしょう。
★計画段階から抜けられなくなる負のループ
①目標設定:お金を稼ぐぞ!
②結果予測:でも失敗しそう…
③情報収集:何かいい方法があるはずだ!
④絶望:どうすればいいのか分からない…
⑤一筋の希望:すべてを教えてくれそうな高額商材を買おう!
目の前の方法論に自信を持てないときは、何があったら挑戦できそうなのかを検討してみてください。
成功を確信できなければ行動できない原因と向き合うことで、「成功or失敗」の二極化思考を手放せます。
★挑戦できるよくある条件
・保証をもらう:他者にその方法で大丈夫と言ってもらう、教わる
・結果を手放す:成功ではなくスキルを伸ばすことを目的に切り替える
・閾値を設定する:成功確率が〇〇%以上なら行動する
・焦りを解消する:あと1年は余裕がある、最初は稼げないのが当たり前

ケース③:成果が出ないから私には才能がない
「成果=自分の才能」という考えをすると停滞しやすくなります。
最初から成功しようと焦り、しかし失敗して自信をなくすことで立ち直れなくなるためです。
★よくある「成果=自分の才能」の二極化思考(失敗=才能がない)
・提案文が1つも通らなかったから私は誰にも求められていないんだ
・提供商品が満足されなかったから私にはビジネスの才能がないのだ
・ターゲットはみんな「私の商品」ではなく「〇〇さんの商品」を買うべきだ
客観的にみれば論理的矛盾が分かりますが、主体者は視野が狭まりその矛盾に気づきづらい状態です。
1つの失敗で全体を判断してしまい、自ら選択肢を減らしてしまいます。
★二極化思考による選択肢の削減
・「今できない」のだから「今後もできるようにならない」
・「目の前の人が求めていない」のだから「みんなに求められていない」
「どうせ失敗するから無駄だ」という決めつけに気づいたら、その根拠を客観的に検討するための工夫をおこないましょう。
人に相談したり思考を紙に書き出したりすることで、論理的矛盾が明確になり自信を取り戻しやすくなります。

ケース④:実績がないから私の商品は売れない
自分の商品を売るとき、誰もが実績のない状態です。
そのため、実績を作ることを目指すのですが、次のような負のループによく陥ります。
- 売りたい
- でも売れない
- なぜなら実績がないからだ
- なら実績が欲しい
- でもそもそも売れないから実績を作れない→売りたい
ここで注目すべきことは、「実績がない=売れない」という二極化思考です。
実際は今ある実績だけでは確率が低いだけであり、多少の工夫と母数を増やすことで売れる可能性があります。
にもかかわらず「売れる↔売れない」の二極化で考えているため、無力感や無意味感に支配されて「売ってもどうせ無駄」と悩み続けてしまうのです。
★使える実績
・自分のエピソード(自分が〇〇を解決できた経験がある)
・他者への支援結果(私が支援したらAさんは〇〇を解決できた)
・自分が費やした自己投資(お金・時間・手段)
・商品を作るためのコスト(お金・時間・手段)
失敗への耐性が低い人ほど、売れる確率を二極化して考えてしまいます。
売れそうもないなと感じたら、まずは母数を増やして今の打率を導き出すことに専念してみてください。

まとめ
二極化思考を改善するには、次の3つの方針をお試しください。
- 方針①:境界線を見直す
- 方針②:曖昧さに慣れる
- 方針③:行動のみを変える
二極化思考の改善の最初の一歩は、自分が規定している境界線を解明にすることです。
二極化で考えてしまう理由が分からないままでは、「二極化思考=悪」という偏った思考から改善を試みてしまいます。
★基準を明確にするための問い
・なぜそれが良いのか
・なぜそれが悪いのか
・本当にその基準に達していないと×なのか
・その基準さえ達していれば〇になるのか
二極化思考を改善するには、「二極化思考の改善」ではなく「自分を探求する」という目的でおこないましょう。
二極化で考えてしまう「主観的な合理」を見つけて再検証することで、ようやく二極化思考を手放せる余地が生まれます。