比較することで自信をなくし、挑戦を投げ出したくなった経験は多くの人があるのではないでしょうか。
しかし、比較することは自分にとっての成功を目指すうえで役立つ手段でもあります。
比較を一切しないことを目指すのではなく、比較癖と向き合うときは次の2つのことを目標にすることをおすすめします。
- 役立つ比較の頻度を増やす
- 役立たない比較の頻度を減らす
この記事では、役に立ちづらい比較をやめる方法についてお伝えしていきます。
比較によって前進する意欲が低下しているときは、ここで紹介する情報を取り入れてみてください。
比較癖を解決する3つの方針
ここでは、比較癖を解決する方針をお伝えしていきます。
比較癖をやめるときは、どの方針で解決を目指すのかを決めてみてください。
方針①:役立たない比較の頻度を減らす
役立たない比較とは、自分のための行動を止める結果に結びつきやすい比較のことです。
★役立たない比較頻度の特徴
・やる気を低下させる感情が生じる(悲しみ、怒りなど)
・自分の願望の実現を妨げる行動を促す(目標放棄、他者妨害)
他者比較へのネガティブなイメージは、主にこの役立たない比較によるものです。
しかし、比較にはよい面もあり、すべての比較をやめてしまうと向上心がなくなり流される日常を送りやすくなります。
比較をやめるときは「役立つ比較」「役立たない比較」に分け、「役立たない比較」の頻度だけを減らすことをおすすめします。
方針②:役立つように比較対象を変える
役立つ比較とは、自分のための行動が促されるような比較のことです。
★役立つ比較の特徴
・希望や自己効力感を生じさせる
・自分の願望の実現に必要な行動を促す
役立つ比較と役立たない比較の主な違いとして、比較対象が挙げられます。
- 役立つ比較対象:スキルや環境など変えられるもの
- 役立たない比較対象:才能や遺伝など変えられないもの
役立つ比較をするには、前に進むために必要な情報が得られる対象を設定しなければなりません。
「自分の何」と「誰の何」を比較するのかによって、役に立ちやすいかどうかが変わります。
まずは、比較すると役立ちやすい対象を見つけられるようになりましょう。
方針③:役立たない比較後の行動を変える
上記の2つの方針を徹底しても、無意識的に役立たない比較をしてしまうものです。
比較して落ち込む回数はゼロにならないため、役立たない比較によるダメージを受けすぎない工夫も重要になります。
この方針でのもっとも重要なポイントは、役立たない比較をしたことに気づくことです。
★役立たない比較のシグナル
・不快な感情
・短絡的な行動の増加
ネガティブな比較であるとを自認できないと、ずるずると悩みのループにはまりつづけて時間的にも精神的にも損害が大きくなります。
「比較後の行動を変える」という方針は本質的な改善にはなりませんが、即効性が高いためまずはここから着手してみるとよいかもしれません。
役立たない比較の頻度を減らす方法5選
ここでは、役立たない比較の頻度を減らす方法についてお伝えしていきます。
頻度改善①:自己肯定感を高める
自己肯定感が高いと、比較する必要性が減ります。
比較による安心感を得る必要がなくなり、周りではなく自分だけを見るようになるためです。
自己肯定感を高めるためには、自分の存在と外側の問題を分けて考えることから始めてみてください。
- 自分の存在:私という人間としての価値
- 外側の問題:収入、スキル、才能、環境など
自己肯定感が低い人は、自分の存在価値の根拠を外側の問題、主に成果物で測ろうとします。
しかし、実際はどんな成果物がであろうとなかろうと、1人の人間としての価値は変動しません。
何かがあるから価値があるのではなく、存在しているだけで価値があるのです。
- 成果物に依存した自己肯定:高収入だから私には価値がある
- 成果物に依存した自己肯定:収入がなくなっても私には価値がある
自己肯定感が高まれば、他者の成功も喜べるようになり、自分が幸せになるための行動に集中できるようになります。
自己肯定感を上げるためには、以下のことを実施してみてください。
- 不安の正体を検討/検証する
- 自分を大切にする時間を持つ
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 自分軸による目標を設定する
- ネガティブな思考をポジティブに変える(リフレーミング)
準備中:否定的な目標は悪いのか
頻度改善②:チームとして認識する
1つの椅子を取り合うライバルだと捉えると、自分と他者の優劣が気になり比較するようになります。
優劣に一喜一憂して、嫉妬や絶望などを何度も繰り返し感じることになるでしょう。
★他者への認識
・他者は敵だ:スタメンを争っているライバルだ
・他者は仲間だ:チームが勝利するための味方だ
1つの椅子を取り合うマインドも大切ですが、実際には同じ土俵で戦う機会はそう多くありません。
特に仕事において協力し合うことが重要であり、一見すると優劣があってもそれぞれの役割を全うしているものです。
- 優劣:営業スキルが低い、家事ができない、スピーチが上手い
- 役割:落ちこぼれとしての役割、励まし鼓舞する役割、前に引っ張る役割
他者をチームの一員として認識する範囲が広いほど、すべてに勝つ必要性がなくなっていきます。
誰かと比較して落ち込んだら、その相手と自分を包括するようなチームを意識してみてください。
例.チームの範囲
・範囲が狭い:個別の人間
・範囲が広い:地球人、日本人、同じ会社、同じビジョン
準備中:意味づけ力を培う方法
頻度改善③:自分軸の理想を明確にする
私たちは外側の価値観によって、次のようなことが幸せだと植えつけられてきました。
- 結婚すること
- 出世すること
- お金をたくさん稼ぐこと
しかし、幸せの形は人によって異なり、誰かが他者の幸せを規定できるものではありません。
そして人によって幸せは異なるのですから、多くの比較は無意味になります。
他者より優れたから幸せになるわけでも、劣ったから不幸になるわけでもないのです。
★幸せの認識方法
・他者比較:周りよりお金があるから私は幸せなはずだ
・自己認識:私が大切にしたいものを大切にできているから幸せだ
自分軸の理想を明確にすることは、外側の価値観への関心が和らぎ、自分の人生を歩むきっかけになります。
みんな目指している方向性が違うと理解するためにも、まずは自分はどんな人生に充実感を感じるのかを内省してみてください。
準備中:目標の見つけ方
頻度改善④:比較するきっかけを減らす
私たちは意図せずに比較してしまうものですが、その多くはパターン化されています。
★よくある比較パターン
・SNSを見ると比較する
・失敗をすると比較する
・収入額を見ると比較する
・芸能ニュースを見ると比較する
「比較そのものをやめる」のではなく「比較のきっかけとなる行動をやめる」ことを目標にすることで、比較する頻度は大幅に低下します。
自分の比較パターンに気づくためにも、「役立たない比較」をしたらその前後の行動を振り返ってみてください。
準備中:失敗の乗り越え方
頻度改善⑤:比較する目的を明らかにする
明確な目的を持って比較している人はそう多くありません。
なんとなく比較せずにはいられずに、自動思考のように反射的に比較してしまうものだからです。
★目的意識と比較
・目的意識のある比較:課題を解決するために比較して情報を集めよう
・目的意識のない比較:するすると起業に成功してズルい
・目的意識のない比較から抽出:私は起業に成功してどうなりたいのだろうか?
無意識的に比較してしまう場合は、比較する目的を明確にしてみてください。
「そんなものが欲しかったのか」と頭で理解することで、気持ちが冷めて比較する意欲を失います。
また、次のことを明確にしておくことは、「比較に振り回される」のではなく「比較を活用できるようになること」に役立つでしょう。
- どんな目的の比較なら役立つのか
- どんな目的の比較だと役立たないのか
準備中:理想の描き方
役立つように比較対象を変える方法5選
ここでは、役立つ比較をするために対象を変える方法についてお伝えしていきます。
対象改善①:レンズを切り替える
レンズを切り替えるとは、全体や一部分というように見る範囲を切り替えるということです。
- 全体を見る:世界における私、業界における私、展望レンズ
- 一部分を見る:クラスにおける私、家族における私、遠望レンズ
どちらのレンズが優秀であるということではなく、使い分けることが大切です。
レンズを切り替えるためにも、今はどのような視点で比較しているのかを自認することから始めてみてください。
★レンズによる感覚の違い
A.全体を見る(見える範囲が広い)
・私はちっぽけで無力である
・私は恵まれており捨てたもんではない
B.一部分を見る(見える範囲が狭い)
・私はユニークな存在だ
・私は無能なのだと劣等感を抱く
・私は優れているのだと天狗になる
対象改善②:マイルストーンを設定する
マイルストーンとは目標の過程にある小さな目標であり、チェックポイントのようなものです。
今の自分を比較するときのよくある落ち込みパターンは、次のような遠い存在を対象にすることが挙げられます。
- 理想の自分:完璧で最終形態な自分
- 最先端の他者:その領域における達人級の他者
遠くの存在との比較は憧れによるモチベーションになりますが、それは自分とその対象を切り分けている場合に限定されます。
「自分もがんばればすぐそこにたどり着ける」という思考があると、自分の至らなさばかりに焦点が当たって落ち込む原因になるのです。
そこでマイルストーンが役立ちます。
次のようなマイルストーンと現状の自分を比較することで、前進具合と必要な課題を炙り出せるためです。
- 1歩先の自分や他者:1つ先のマイルストーン
- 1歩後ろの自分や他者:1つ後ろのマイルストーン
ただし、定期的に遠くの存在と自分を比較することは、視野が広がり殻を破るきっかけになります。
最終目標と直近目標のどちらにも比較するメリットデメリットがあるため、目的に応じて使い分けることが大切です。
- 最終目標との比較:成長具合を感じづらい、多くの課題が見つかる、視野が広がる
- 直近目標との比較:成長具合を感じやすい、優先すべき課題が見つかる、視野が狭まる
準備中:振り返りの方法
対象改善③:自分の強みと役割を認識する
何を比較すればいいのか分からないとき、私たちは分かりやすい評価基準を使います。
たとえば学校内であれば、次のような評価基準で優劣をつけようとするでしょう。
- テストの点数
- 日頃の授業態度
- 成果物の完成度
- 身体能力の高さ
- 外見の整い具合
これは「優れた人気者」という椅子を取り合うための評価基準です。
「Aさんと比べて私は優れた人気者である」と、自分の人気者具合を評価するための指標だということです。
もちろん、「優れた人気者」を目指しているのであれば、その比較方法はあながち間違っていません。
しかし、多くの場合は「優れた人気者」という役割を目指していないのに、その比較をして落ち込んでしまいます。
★役割と評価基準
A.人気か否か
・役割:クラスの人気者
・評価基準:クラスメイトからチヤホヤされるか
B.過ごしやすいか否か
・役割:一般的な生徒
・評価基準:クラス内に友達が1人以上いるか
意味のない比較をして落ち込まないためには、自分が担いたい役割とそれに必要な評価基準の明確化が必要です。
まずは自分の強みと担いたい役割を認識して、自分ならではの評価基準を作ってみてください。
単純に誰かと比較して劣っているからダメなのではなく、その役割は自分に向いているのか、今の役割でありたいと思えているのかこそが重要です。
準備中:評価されるのが怖い
対象改善④:比較する相手の情報量を増やす
他者と比較するとき、次のように結果だけに注目してしまう傾向があります。
- スリムな体の相手とぽっちゃりした私
- 漫画家になれた相手とパート暮らしの私
- 1億円稼げてる相手と500万円稼いでいる私
結果に注目する比較は、「どのようになりたいか」と理想や目標を設定することには有効です。
しかし、結果だけを見て差異を生み出す原因を特定しようとすると、次のような挑戦しない言い訳を作り出します。
- 遺伝的に劣っているからダイエットしない
- 実家が貧乏だから漫画家なんて目指せない
- そのチャンスは時代遅れだから起業しない
理想や目標を設定した後は、結果ではなく過程に注目するようにしてください。
自分と成功者の過程を比較すれば向き合うべき課題が見つかり、有意義な比較になります。
その結果を生み出すための努力や苦しみを知ることは、相手を嫉妬しないためにも有効です。
準備中:ロールモデルの見つけ方
対象改善⑤:上方比較と下方比較を使い分ける
比較には大きく分けて2つの種類があります。
- 上方比較:自分より優れた相手と比較する
- 下方比較:自分より劣った相手と比較する
どちらの比較方法もメリットデメリットがありますが、比較して落ち込みやすい人は上方比較を多用して「自分は劣っている」と思い込む傾向があります。
しかし実際は上には上がいて下にも下がおり、それを理解することは劣等感や焦りを解消するきっかけになるでしょう。
どちらかの比較に偏るのではなく、どちらの比較も平等におこなってください。
自分の現状を客観的に捉えられるようになり、過度に焦らず目先のやるべきことに集中できるようになります。
準備中:焦りの解消方法
役立たない比較後の行動を変える方法5選
ここでは、役立たない比較をした後の行動を変える方法についてお伝えしていきます。
行動改善①:感謝する
比較による不快な感情を手放すためには、感情に支配されるのではなく、感謝してみることをおすすめします。
感謝をすることで状況を客観視することができ、視野が広まり気持ちが落ち着くためです。
納得していなくても、まずは「ありがとう」と口にしてみてください。
私たちは最初に放った言葉を肯定するように思考が働きやすいため、感謝できるポイントを無意識的に探ってくれます。
些細な感謝ポイントが1つでも見つかれば、不快な感情による支配を部分的に解消できます。
行動改善②:思考を手放す
役立たない比較をしたら、その思考を手放すことも有効です。
その思考を続けても得られるものは少なく、むしろ時間や精神的ダメージなどの損失の方が大きいためです。
役立たない思考を続ける無意味さを明確にしておくことは、思考を手放すことを容易にします。
たとえば次のような考えは、役立たない思考を手放す理由になり得るでしょう。
- 比較しても何も進まない
- 比較よりもやるべきことが他にある
- 自分に傷をつけて何になるんだろう
思考を続けるか否かの選択権は常に自分にあり、簡単ではありませんが次の自分の行動をコントロールできます。
行動をコントロールすることはスキルの1種であるため、繰り返し実践して練度を高めてみてください。
行動改善③:薪として活用する
比較によって不快な感情が生じたからといって、必ずしもその後の行動がネガティブになるわけではありません。
難しいかもしれませんが、すべての感情は薪になりエネルギーへと転換できるためです。
実際に、嫉妬や憎しみの感情をエネルギーとして、前進するスピードが上がった経験のある人は多いのではないでしょうか。
不快な感情を薪として活用するためには、次の2つの要件があります。
自分の可能性を信じること:私はがんばればできる人間だ
未来は不確実であると信じていること:成功する未来も失敗する未来も存在する
不快な感情を薪として使えるようになれば、目標に向かって早く前進できるようになるでしょう。
ただし、薪をくべすぎるとどこが前なのかを見失って、誰かに自分の価値を証明することを目的にしがちになる点には注意してください。
準備中:目標の設定方法
行動改善④:別の角度から言い換える
比較によって不快な感情が生じたとき、それはなぜなのかを検討してみてください。
不快な感情とは理想と現状のギャップが生み出すものであり、自分にとっての願望を見つける手がかりになります。
例.漫画家への嫉妬に隠れた願望
・お金をたくさん稼げてうらやましい
・多くの人に影響していることがうらやましい
・自分の好きなことで生活できてうらやましい
・自分の得意を活した仕事ができてうらやましい
また、嫉妬には願望以外にも自分への期待が隠れていることがあります。
例.漫画家への嫉妬に隠れた期待
・私もがんばれば同じ成果を出せる
・その行動は私にとっては簡単そうに見える
願望も自分への期待も、自分の人生の可能性を広げるためのヒントになります。
比較したら不快な感情を味わうだけではなく、自己理解の機会として捉えてみることをおすすめします。
準備中:理想の自分像
行動改善⑤:ポジティブとネガティブを平等に挙げる
役立たない比較の多くは、自分にとってネガティブな要因を見つけることを目的にしています。
「私は足りない」「私はできていない」を数えて、「私はダメなんだ」「あの人はズルい」という結論にたどり着いてしまうのです。
ネガティブな要因の発見を目的にしていると気づいたら、ポジティブな要因を見つけるためにも比較を活用してみてください。
ネガティブな要因もあるけど、ポジティブな要因もたくさんあると認識できれば、「まぁこんなものか」と現状を受け入れやすくなります。
平等で冷静な比較をおこなうためにも、メモを使ってポジティブ要因とネガティブ要因を書き出していくことをおすすめします。
準備中:自責思考をやめるには
比較するよくある理由5選
ここでは、比較してしまう理由を紹介していきます。
自分の比較理由を内省するときの参考になれば幸いです。
理由①:元気がないから
疲れているときは比較しやすくなり、そのときにおこなう比較は大抵役に立ちません。
元気がないときは、次の傾向が顕著になり役立たない比較をおこないやすくなるためです
- 疲れているときは、反射的な行動をとりやすい
- 疲れているときは、悲観的な思考になりやすい
比較癖がある場合は、自分の健康状態をチェックする習慣を身につけてみてください。
自身の健康状態を認識・改善することで、無意識的な比較に振り回されなくなります。
- 健康状態の認識:元気がないから悪く比較しているだろう
- 健康状態の改善:元気な状態が多くなり比較する頻度が減る
準備中:元気になる方法
理由②:安心感が欲しいから
現状に不安を感じているとき、安心感を得るために比較することがあります。
たとえば次のような目的を果たすための比較です。
- 自己評価を客観的に把握したい
- 私がこの立場でいいのかを確かめたい
- 成功するための課題を見つけて希望を持ちたい
不安は行動を止めやすいため、その対処として比較することはよいかもしれません。
ただし、不安に振り回されやすい人は安心しすぎても行動が止まる傾向があることに注意が必要です。
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
理由③:自己正当化したいから
自分が怠惰なわけではないことを証明することを目的に、他者と比較することがあります。
「結果が出ないのは努力以外の要素が原因だ」と分かれば、劣った現状に納得して夢を諦められるためです。
しかし、自己正当化を目的にした比較の多くは、「努力をしないための言い訳探し」として活用されています。
不快な感情や苦しい努力を回避するための手段として、「裕福な家庭だから東大に行けるんだ」と被害者になろうとするのです。
何かを諦めるための根拠として、自己正当化による比較は有効な手段になるかもしれません。
ですが、もしも単に苦しみたくないだけならば、自己正当化をするよりも先に実現したい願望を検討してみることをおすすめします。
準備中:自己正当化の直し方
理由④:パワーバランスを把握したいから
グループでは、人それぞれに役割が振り分けられます。
リーダーが2人いるとグループ内が混乱するように、重複した役割はあまりよい結果にならないためです。
この役割を振り分けるとき、自分はどの立ち位置なのかを判断する必要があります。
その判断をすることを目的に比較するのが、パワーバランスの把握です。
初対面の人に職歴や出身校などを尋ねる人はよくいますが、これは話題作りだけではなく、自分がどの役割を担うべきかを検討するための行動でもあります。
マウント行為も役割を決めようとする行動であるため、マウントをされたら「この人はその立場を担いたいんだな」と冷静に分析してみるとよいかもしれません。
例.Aさんのグループと役割
・会社内:他の人は私より経験が豊富だから見習いとしての役割を担おう
・家庭内:他の人は私よりも力が弱いから自分が前に出る役割を担おう
理由⑤:自分だけが活躍できる領域があると信じているから
強みとなる才能を活かすことが、ずば抜けた成功をするためには欠かせません。
これはビジネスでよく言われることですが、これを曲解して「才能を活かせれば努力の必要がない」と捉える人がいます。
そして「現状は才能を活かした領域なのか」を確かめるために、常に他者と比較して自分の向き不向きを測ろうとするのです。
しかし、実際は努力せずに頂点に立てる領域なんて存在しません。
頂点に立っている人も、初めから頂点に立っていたわけではないはずです。
そもそも、早熟型と晩熟型の2つの成長タイプが存在します。
才能を活かせているか否かを、単純な他者比較だけで確認することは困難でしょう。
才能があるから成功するのではなく、才能をその領域で活かせるから成功しやすくなるのです。
自分の才能を活かしたいと感じたら、自分の強みを見極めるとともに、自分の強みをどう活かすべきかを模索することをおすすめします。
準備中:強みと弱みの関係性
比較をやめるための5つのワーク
ここでは比較をやめるためのワークを紹介していきます。
比較をやめるために何から始めればよいか分からないときは、ここにあるワークを試してみてください。
ワーク①:理想の人生を描く
自分にとっての幸せを明確にすることで、比較せずに済むようになります。
自分にとっての幸せは、他人とは異なる評価基準で測る必要があるためです。
理想の人生を描くには、次のステップを試してみてください。
- 材料を探して視野を広げる
- 未来をたくさん描いてみる
- 理想の人生を描いてみる
理想の人生は日々更新されていくものです。
1つの理想に絞るのではなく、自分が今トキメク人生を探るためにおこなってください。
準備中:理想の人生
ワーク②:他人を受け入れる
不明確な不安感は比較することを促します。
自分に価値がなければ居場所がないと感じて、自分の価値を測って安心しようとするためです。
しかし、比較によって安心しても、その安心は一時的なものです。
しばらく経つと不安になり、また誰かと自分を比較してしまうでしょう。
根本的な解決をするには、どんな自分でも受け入れられるという安心感が必要です。
他者に自分を受け入れられたという成功体験が有効であり、そのためにもまずは他者を受け入れることから始めてみてください。
ただし、すべての人を受け入れることも、すべての人に受け入れられることも現実的ではありません。
「自分が大切だと感じる相手の存在を受け入れること」に注力することをおすすめします。
準備中:成功体験の作り方
ワーク③:思い込みを書き換える
私たちは、現実で起きたできごとを解釈してから思考や行動を選択します。
たとえば成績が不安になり他者と比較する場合、次のような解釈が挙げられるでしょう。
- 現実:テストの成績は50点
- 解釈:50点は親に怒られるかも。でもこれが平均点なら怒られないはず
人によって解釈の仕方は異なりますが、その理由は主にその人が持つ固定観念や信念によるものです。
思い込みやビリーフとも言われており、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 50点は低い点数の部類だ
- 勝たなければ価値はない
- 私は常に親のご機嫌をとらなければならない
- 親に才能がないと見捨てられたら生活できなくなる
本質的に比較をやめるには、この思い込みを検証してみることが必要です。
思い込みにそれほど現実味がないと分かれば、比較する必要性が失われていきます。
ただし、この思い込みは何層にも重なっており、核心に迫るには深い内省が求められます。
まずは「なぜ私は比較をしたのだろうか」を自問自答を繰り返して、比較をしなければならないと感じさせる思い込みを見つけてみてください。
準備中:精神的な成長を遂げる5ステップ
ワーク④:比較する項目を区別する
負けず嫌いな人は「すべてに勝たなければならない」と思い込み、比較しないと不安になってしまいます。
これは自分にとって大切な評価基準が曖昧なためです。
しかし、すべてに勝たなければならないことは実際には多くありません。
勝つべきことと勝たなくてもよいことがあり、自分軸でそれらを区別することが大切です。
- 勝つべきこと:勝たないと理想を実現できない
- 勝たなくてもよいこと:大敗しなければ理想の実現に影響しない
無暗やたらに比較をしてしまう場合は、比較した項目をメモするようにしてみてください。
そのメモを後で振り返り、自分にとって大切な基準を検討することで、比較すべきものとそうでないものの区別がつくようになります。
自分にとって大切な基準を検討するときは、以下のワークで自分が持つ価値観を明確にしておくことをおすすめします。
- 自分史を振り返る
- 価値ワードを観察する
- 価値ワードからピンとくるものを選ぶ
- 選んだものから重要順で上位5個挙げる
- 上位5個の価値に意味を定義する
準備中:価値観の見つけ方
ワーク⑤:比較を中断するルーティンを作る
人の行動の多くはパターン化されており、習慣やルーティンとも言われています。
このルーティンを活用することで、役立たない比較を簡単に中断できるようになります。
ルーティンを作るには、「特定の行動=思考をやめる」を何度も繰り返すことが有効です。
たとえば、「『まぁいいか』とつぶやいたら目の前の作業に戻る」というようなルーティンが考えられるでしょう。
ルーティンの獲得には時間がかかりますが、1人で簡単に実行できるおすすめのワークです。
比較を中断する以外にもさまざまなことに活用できるため、ぜひともお試しください。
準備中:習慣化の方法
個人事業主が他者比較によって苦しむケース
ここでは、個人事業主が他者比較によって苦しみやすいケースについてお伝えしていきます。
ケース①:私にはセンスがない
「私にはセンスがない」とは、個人事業主としてのビジネスの才能が劣っているという感覚です。
自分より早く大きく稼ぐ人と比べて、「私はビジネスセンスがない」と自信をなくし行動する意欲が低下してしまうようなケースです。
たしかに厄介なマインドブロックを持っていると、安定した利益が出るまでに何年も要することがあります。
しかし、それがビジネスに失敗する決定的な理由になることはなく、たいていは内省し行動することで稼げるようになるものです。
また、早く大きく稼げたからといって、その人がその後もずっと稼ぎ続けられるわけでも、自分の好きな稼ぎ方で働けるわけでもないでしょう。
「成功するまで前に進み続ける覚悟があるのか否か」が問題であり、周りとの優劣の違いは自分のビジネスが成功するか否かを決める要素ではないのです。
稼げるようになるまでに立ち塞がる課題の数や大きさは人によって異なります。
「私にはセンスがない、だからやめよう」と短絡的に考えるのではなく、「個人事業主として成功したいのか」を自問自答してみてください。
長い時間と労力をかけてまで欲しい未来ではないなら、個人事業以外の選択をしたほうがよいかもしれません。
準備中:成功や成長に欠かせないマインドとは
ケース②:私には事業をする資格がはない
自分の商品を売るとき、「私は商品を売らないほうがよいのでは?」と感じることがあります。
自分よりも先行く人がおり、「私よりもその人の商品の方がいいはずだ」と自信を失っているようなケースです。
自分が売る商品よりもお客様にピッタリなものがあるならば、それをおすすめすることはよいアイデアかもしれません。
「もっといい商品があった」と後になって思われることは、不満につながり信頼関係を損なう可能性があるためです。
しかし、忘れてはならないのは、誰の商品を買うかを決める権利はお客様にあるということです。
お客様と交わした約束を守れるのであれば、あなたの商品を売っても詐欺にならず、その商品を選んだお客様の責任でしかありません。
また、どんな商品を買いたいかは「商品性能」だけではなく「売り手の中身」も考慮されます。
見知らぬヒーローよりも知っている凡人に頼みたいというニーズもあるため、「自分より優れている人がいるから自分は商品を売ってはならない」は成立しないのです。
とはいえ、それでも売るのが苦しいと感じると思います。
その場合は、「自分の商品をもっと広めたい」と思えるまで、気持ちがラクになる程度に売値を下げてみるとよいでしょう。
準備中:お金のブロックの外し方
ケース③:みんな単に努力が足りないだけ
指導業をしていると、成果を出せない人を自分や優等生と比較して苛立ちを覚えることがあります。
「単に努力していないだけじゃん」というように、傍から見れば明らかな欠点に注目して成果を出せない責任を自分が被らないようにするケースです。
指導業においてもコーチング業においても、やる気を出すことは基本的にお客様の責任です。
「商品の購入=成功の確定」ではなく、商品をいかに活用するかこそが成功と失敗の分かれ目になります。
とはいえ、この道理に納得するかは人によって異なります。
そもそも「絶対に稼げるようになる」と伝えて商品を売っているなら、売り手の責任も大きいでしょう。
いずれにしても、自分とお客様との比較は課題こそ見えても、自分の責任の小ささを主張するにはあまり有効ではありません。
ですので、このような苛立ちをお客様に感じたら、次の行動をすることをおすすめします。
- そのお客様の課題も解消できる商品へとブラッシュアップする
- その課題を持つお客様には売らないようにセールスを一新する
「みんな単に努力していないだけ」と、人によっては自己正当化して納得できる人もいます。
しかし、自分の商品で成果を出せていない人が多いのであれば、自分の商品や売り方を一度見直してみてはいかがでしょうか。
準備中:モニターの集め方
まとめ
誰かとの比較をやめるには、次の3つの方針が挙げられます。
- 方針①:役立たない比較の頻度を減らす
- 方針②:役立つように比較対象を変える
- 方針③:役立たない比較後の行動を変える
どの方針でも、「自分が比較をする理由」を把握することが大切です。
比較する理由が解消できない限り、その行動とは異なる問題行動が生じてしまいます。
人によって効果的な方法が異なるため、より多くの検証をして自分に合う方法を見つけてみてください。
もしも1人では内省や継続が難しい場合は、コーチングやカウンセリングのような専門家に相談してみることをおすすめします。
準備中:コンサルとコーチの違い