「目標が見つからない」
「最近成長できていない感じがする」
「なんだか日常に無意味感を感じる」
このような方向性迷子に関する悩みの解決には、360度フィードバックを実施することが有効です。
他者からのフィードバックは、自分では見えていない重要な情報を知るきっかけになるからです。
自己理解が深まり、どの方向に進むべきかの新たな指針が手に入ります。
360度フィードバックは会社主体でおこなわれることが多いですが、会社の目的ではなく自分の目的のためにも活用できます。
この記事では、個人が360度フィードバックをおこなうための方法やコツについてお伝えするので、ぜひとも他者からのフィードバックをもらってみてください。
360度フィードバックとは
360度フィードバックとは、自分の目的のために、自分に関する情報を他者から仕入れることです。
たとえば、「成約率を2割上げるために私が取り組むべきこと」を上司に尋ねるといった具合です。
会社と個人における360度フィードバックでは、以下の違いがあります。
- 会社主体の360度フィードバック:会社から課された目標に関する情報を集める
- 個人主体の360度フィードバック:個人が持つ目標に関しての情報を集める
いずれの360度フィードバックも、他者が持つ自分の情報を集めるという目的が共通しています。
現状を打破するための気づきやきっかけを得たいときは、360度フィードバックを試してみてください。
準備中:現状維持は悪いのか
360度フィードバックの3つの活用目的
ここでは、360度フィードバックの主な活用目的についてお伝えしていきます。
活用目的ごとに尋ねる相手や内容が変わるため、活用目的を事前に決めておきましょう。
目的①:自己理解を深める
自己理解を深めるときは、自分に関する次のような情報を他者から集めていきます。
- 好き/嫌い
- 強み/弱み
- ラク/苦痛
- 楽しい/つまらない
- 資源(人脈/お金/時間…)
自分に関する情報は自分にとって当たり前のことであり、なかなか1人で気づくことができません。
できて当然だと思っていたことでも、実は他者からすれば難しいと感じることがよくあります。
自分の傾向や他者との違いを知ることは、新しい目標や手段を決定するための材料になります。
次のようなタイミングでは、他者が知る自分の特徴や特性についての情報を集めてみるとよいかもしれません。
- 問題への解決策に悩んでいるとき
- 今後の人生の方向性を決めかねているとき
準備中:理想の自分像
目的②:効果的な目標を見つける
効果的な目標とは、自分を突き動かすことができる目標です。
目標があることと、それが自分にとって効果的であることは異なります。
自分にとって非効果的な目標であったら、次のようなデメリットが生じるでしょう。
- 退屈に感じる
- 行動が止まる
- 自信を喪失する
- 完璧主義が強まる
効果的な目標を設定するには、自分が目指すゴールと現状の自分を明確にして、ゴールに近づくために有効な方法を模索することが大切です。
行動量に伴った成果が得られないと感じたならば、周りの人に「私はなにに励めばよいのか」を尋ねてみてください。
その意見を参考に目標を調整することで、目的に対してより効果的な目標が設定できます。
例.夫婦関係を改善したい
・効果的な目標:家族との時間を増やし、本音を見つけて解決する
・非効果的な目標:家族との時間をないがしろにして、仕事に精を出す
例.売上を上げたい
・効果的な目標:お客様が求める情報を発信して興味を持ってもらう
・非効果的な目標:SNSでバズって有名になる
準備中:目標の見つけ方
目的③:他者の満足感の把握
日常的に過ごしていると、他者が自分をどう評価しているのかがわからないものです。
多くの人は本音を押し殺し、ポジティブな意見もネガティブな意見も伝え合う機会はほとんどないためです。
しかし、他者からの評価を把握できていないことは、ときに相手との関係性を疑う原因になります。
次のような不信感が膨らみ、相手や自分を信じられなくなります。
- 本当は何か不満があるのではないか
- もしかしたら呆れられているのではないか
他者との関係性に違和感を感じたならば、相手の期待を間違って捉えているサインかもしれません。
相手との信頼関係を築くためにも、その相手に定期的な360度フィードバックをおこない、関係性を修正するための情報を探してみてください。
準備中:ビジネスでの関係性の作り方
360度フィードバックを個人でおこなう方法5ステップ
ここでは、個人主導で360度フィードバックをおこなう方法についてお伝えしていきます。
STEP①:目的を明確にする
目的とは、360度フィードバックをおこなう理由のことです。
次の2つを明確にすることで、目的の正体がはっきりします。
- 現在の課題:何が課題になっているのか?
- 課題に関する理想:課題がうまくいった状態とは?
目的が明確でないと質問内容が抽象的になったり、フィードバックを受け取れなくなったりします。
効果的な360度フィードバックをするためにも、腑に落ちた目的を見つけることから始めてください。
例.営業成績が悪いという悩み
・現在の課題:営業成績を上げること
・課題に関する理想:転職に有利になる営業スキルと実績が備わっていること
・目的:他社でも活躍できるような営業スキルを身につけるために何をすべきか?
準備中:理想の描き方
STEP②:ルールを明確にする
360度フィードバックの実施ルールをつくり、行動を具体化していきます。
実施ルールでは次の5つのことを決めます。
- いつ:実施時期、終了時期
- 誰に:フィードバックを求める相手
- なにを:フィードバックで得たい情報
- どうやって:フィードバックを求める方法
- なんのために:フィードバックの活用目的
360度フィードバックを先延ばしにしないためにも、「いつやるのか」を最初に決めることをおすすめします。
相手の都合が分からないという場合は、「いつまでに終わらせるのか」だけでも決めるとよいでしょう。
例.上司への360度フィードバック
・いつ:実施日8/3、終了日8/10
・誰に:直属の上司に
・なにを:自分が取り組むべき課題に関する情報を
・どうやって:紙の質問シートを使って
・なんのために:早く独り立ちをするために
STEP③:フィードバックシートを用意する
フィードバックシートとは、360度フィードバックの情報を書き留めるためのものです。
具体的には、以下の項目を決めておくとよいでしょう。
- 質問方法:インタビュー調査、質問紙調査
- 記憶媒体:紙、データ
- 設問構造:大分類、中分類、小分類
- 質問内容:質問文
- 評価方法:5段階評価、自由記述
出典:https://freeasy24.research-plus.net/blog/15
STEP④:実施する
インタビュー調査で360度フィードバックをおこなう場合は、あなたに対しての意見を直接聴くことになります。
耳の痛いことを言われることがあるので、その心づもりで挑む必要があります。
また、あくまで360度フィードバックの目的は情報収集です。
「私とあなたのどちらが正しいのか」というような水掛け論にならないように気を付けましょう。
何らかの心理的なハードルがあって実行できない場合は、コーチのような他者の協力を得ることを検討してみてください。
準備中:コーチングとは
STEP⑤:振り返る
360度フィードバックで情報を集めたら、得た情報の活用について検討します。
言われたことをすべて実行する必要はありませんし、真に受ける必要もありません。
あくまでも「他者の意見の1つ」として、集めた情報と向き合います。
情報を活用する際のポイントは、現状と理想との間にあるギャップに注目することです。
そのギャップにあるもっとも重要度の高い課題と関連する情報を、優先的に活用してみてください。
自分1人で情報を精査できない場合は、誰かと一緒に検討してみてもよいかもしれません。
準備中:振り返りの方法
360度フィードバックを成功させる5つのコツ
ここでは、滞りなく360度フィードバックをおこなうためのコツをお伝えしていきます。
コツ①:心理的安全性を確保する
フィードバックをもらう相手に対して、心理的安全性を確保することが成功につながります。
心理的安全性とは、「自分の発言が自分や相手に損害を与えない」という感覚のことです。
率直に意見を言える関係性でないと、本音を聞けずに意味のある情報を引き出せません。
例.質問:私の悪いところを教えてください
・心理的安全性がないときの答え:特にありません
・心理的安全性があるときの答え:無理だと思ったら行動を止めて悩み続けること
心理的安全性を確保するためには、オリエンテーションに工夫を施してみてください。
たとえば次の3つの工夫は、心理的安全性を確保するために役立ちます。
- 無名でもよいという匿名性の説明
- 外には絶対漏らさないという守秘義務の説明
- どのような意見も受け入れる準備ができているという関係性の説明
準備中:アドバイスを受け取れない人の心理とは
コツ②:誘導感がない質問文を用意する
質問文によって、答えを誘導させてしまうことがあります。
たとえば、次のうちどちらの質問文のほうが自由に答えやすいでしょうか。
- 質問①:3月の慰安旅行に参加する意志はありますか?
- 質問②:決算で忙しい3月に慰安旅行に参加する意志はありますか?
おそらく、前者の方が自分の意志を尊重して答えられると感じた人が多いと思います。
後者からは、「参加したいとは言わないよね?」という上からの圧力を感じたのではないでしょうか。
質問文で誘導しないためには、次の3つのことに注意してみてください。
- 口調や態度などを一定に保つ
- 意見をもらうごとに感謝する
- できる限り簡潔な文章で尋ねる
コツ③:マインドをセットする
インタビューをしたり、得た情報を活用したりする際は、あなたのマインドが影響を及ぼします。
「私は悪くない」というマインドで360度フィードバックを実施したら、自分に欠けている要素を直視できずに、責任転嫁することばかりを考えてしまいます。
有益な情報を得ることも、情報を活かして日常に変化を与えることもできません。
360度フィードバックを成功させるためには、「自分の何を変えればよいのだろうか」という自己変容が前提となるマインドを持ちましょう。
現状の自分の能力と課題に向き合い、自らの変化や成長を促すためのヒントを探すということです。
そのようなマインドセットができたならば、効果的な情報の取得や活用が可能になります。
準備中:他責思考の直し方
コツ④:具体的になるまで質問する
360度フィードバックの目的は、自分が前進するためのヒントを得ることです。
その目的を果たすためには、フィードバックに対して「それはなぜ」まで突き止める必要があります。
フィードバックの背景が分からない限り、意味のない目標を立てる可能性が高まるためです。
例.パートナーへの360度フィードバック
・意見:もっと家事に割く時間を増やしてほしい
・それはなぜ:家族の関係性をもっと深めたいから
・目標:今から少しでも家族団らんの時間を設ける
上辺の言葉だけで目標を設定してしまうと、相手の本心とあなたの解釈に食い違いが生じてしまいます。
解釈のズレを起こさないためにも、意見の中にある本質的な主張を見つけられるように具体化するための質問をしてみてください。
例.「もっと家事に割く時間を増やしてほしい」を具体化する質問
・質問1:どうなったら成功なの?
・質問2:最悪の未来はどんな状態?
・質問3:今のままだとどうなるの?
・質問4:これからまずは何から始めたらよい?
コツ⑤:自己変容による影響を考える
フィードバックで得た課題のどれから取り組むかで悩んだら、課題解消による影響を考えることが有効です。
具体的には次の3つのことに対して、短期的・長期的の2つの視点で検討してみてください。
- 現状のままだとどうなるのか
- 課題を克服したら自分はどうなるのか
- 課題を克服したら周りはどうなるのか
自分や周囲がポジティブな恩恵を授かれると理解できれば、自己変容への意欲も高まります。
「もっと他にやるべきことがあるのではないのか?」と悩まないためにも、今の自分にとって重要な課題を見つけましょう。
準備中:モチベーションの高め方
360度フィードバックの質問事例
ここでは、2つの事例から360度フィードバックでの質問文についてお伝えしていきます。
それぞれの事例では対象を1人ずつに絞っていますが、より多くの人に尋ねてみるのもよいでしょう。
事例①:夫婦関係の改善
★設定
「現在の課題は 『夫婦関係の改善』。妻が私に対して感じている素直で率直な意見から今後の目標を見つけようと思います。妻にどんな質問をすればよいでしょうか?」
★質問例
- あなたが理想とする夫婦関係とは?
- あなたが理想とする夫像とは?
- 私に対して、どんなところが良いと思いますか?
- 私に対して、どんなところが改善されたら嬉しいですか?
- 私があなたにもっとできることはありますか?
- 私があなたにもっとしてはいけないことはありますか?
- 私と一緒にいると、どんな気持ちになりますか?
- 私と一緒にいて、楽しいと思う瞬間はどんなときですか?
- 私と一緒にいて、困る・不満に思うことはどんなことですか?
- 私がもっとあなたにできることは、どんなことだと思いますか?
- 私がもっとあなたにしてはいけないことは、どんなことだと思いますか?
事例②:部下との関係性の改善
★設定
「現在の課題は 『部下との関係性の改善』。最近、部下が私の言うことに抵抗感を示すため、関係性の改善が必要だと考えます。部下が私に対して感じている素直で率直な意見から今後の目標を見つけようと思います。部下にどんな質問をすればよいでしょうか?」
★質問例
- あなたが理想とする上司像とは?
- 上司としての対応で、良いと思うところは?
- 上司としての対応で、改善してほしいところは?
- 私があなたにもっとできることは?
- 私があなたにもっとしてはいけないことは?
- 私の指示や指導に対して、抵抗感を感じるときはどんなときですか?
- 私の指示や指導に対して、抵抗感を感じないようにするために、私ができることは?
- 私の上司としての対応で、あなたが特に改善してほしいところは?
- 私の指示や指導に対して、抵抗感を感じたとき、私はどんなことをしていると思いますか?
- 私の指示や指導に対して、抵抗感を感じないようにするために、私ができることは?
- どんなときに安心して仕事ができますか?
- どんなときに仕事で不安を感じますか?
個人的に360度フィードバックをおこなう3つのメリット
個人的に360度フィードバックをおこなうことで、どのような利益が得られるのでしょうか。
ここでは、個人がおこなう360度フィードバックによるメリットをお伝えしていきます。
メリット①:効果的な目標を見つけられる
「理想的な未来のために今何に取り組むべきか」を見定めるためには幅広い視点を持ち、慎重に検討する必要があります。
直感だけでは重要度を見誤ってしまい、理想的な未来から遠ざかる努力をしてしまうかもしれないからです。
たとえば、起業してもお金を稼げていないとき、直感で次のように原因と目標を決めてしまうことがあります。
- 原因:採用している方法が間違っているから
- 目標:より確実で効率的な方法論を見つけ出すこと
しかし、お金を稼げない原因には方法論だけではなく、次のような要素が挙げられます。
- 運
- 人間性
- 実行力
- 知識量
- スキル練度
実際にどの要素が原因なのかを明らかにするためには、既に成功している先達からフィードバックをもらった方が確実です。
理想的な未来のためにがんばっても成果を得られていないならば、努力の方向性が間違っているからかもしれません。
360度フィードバックをおこない多くの情報を集めて、より効果的な目標を検討してみることをおすすめします。
準備中:目標の設定方法
メリット②:成長スピードが早まる
360度フィードバックで得た情報を実践することは、成長スピードを早める効果が期待できます。
次の2つの変化によって、新しい気づきが得られるためです。
- いつもとは全く異なる行動をする
- 同じ行動でも意識するポイントを変える
私たちは成長したい欲求を持っていますが、現状維持バイアスにより新しいパターンを試すことを敬遠してしまう傾向があります。
360度フィードバックはその現状維持バイアスを打ち破るきっかけになりやすいため、成長を後押しする行動をより積極的におこなえるようになります。
例.営業成績を上げたい人による360フィードバック
得た情報:営業しているときお客様を見ていないように感じる
新たな行動:商品や自分ではなく、お客様に焦点を当てた営業をしてみる
検証される内容:今までの営業スタイルのメリットとデメリット
準備中:自己成長とは
メリット③:目的を共有できる
360度フィードバックを実施することで、フィードバックをしてもらう相手と自分の理想や目的を共有できます。
それにより、自分の本音や願望を伝えることができ、相手との関係性を改善するきっかけになるでしょう。
たとえば、あなたの上司はいつも傲慢で、部下の指導もろくにせず自分の作業ばかりをしているとします。
そんな上司が、「本当は部下を一人前に育てたいと思っており、自分にできることを知りたい」と360度フィードバックをおこなっていたら、上司との関係性は全く別のものに変わるはずです。
私たちはよく、相手の行動だけで相手の性格や考え方を断定して、心を閉ざしてしまうことがあります。
しかし、そのほとんどは単なる憶測にすぎません。
360度フィードバックで相手と本音を共有できれば、憶測部分が書き換えられて関係性を改善できる可能性が高まります。
どんな人からフィードバックをもらうとよいのか
個人的に360度フィードバックをおこなうときは、誰に質問するかが特に重要になります。
ここでは、次の人物はどんな課題のフィードバック相手として向いているのかをお伝えしていきます。
- 家族
- 会社関係者
- 人材支援者
対象①:家族
家族を360度フィードバックの対象とするならば、次のような課題が向いています。
- 家族関係の改善
- 自分の強みや弱みの発見
- 直したほうがよい性格的な問題の発見
あなたの素の状態をもっとも理解しているのが家族です。
家族関係はもちろんのこと、態度や振る舞いについての情報も多く持っています。
仕事に関しても、特に人間関係の問題であれば新しい気づきを得るためのきっかけになるでしょう。
対象②:会社関係者
会社関係者を360度フィードバックの対象とするならば、次のような課題が向いています。
- 家族関係の改善
- 仕事に関する問題の発見
会社員としてのあなたをもっとも理解しているのが会社関係者です。
上司はあなたが躓いている課題を理解しており、なにが良くて何が悪いのかの情報を持っています。
部下はあなたとの関係性に関する課題を理解しているため、マネジメントの改善点を知っているかもしれません。
仕事に関する課題に躓いていたり、目標が設定できなかったりする場合は、何をがんばるべきかのヒントを360度フィードバックで集めてみてください。
対象③:人材支援者
人材支援者とは、メンター・コンサルタント・ティーチャー・コーチなどのことです。
人材支援者を360度フィードバックの対象とするならば、次のような課題が向いています。
- 強みや弱みなどの性質に関する情報
- 今後の仕事人としての方向性に関する情報
- 理想の仕事人になるための課題に関する情報
人材支援者はなんらかの専門家です。
メンターやコンサルなら、専門的なスキルに関する課題の発見に役立つでしょう。
コーチであれば、性格や行動・思考の傾向に関する課題の発見に役立ちます。
家族や会社関係者などは今後の関係性や今までの関係性などが反映されやすく、本音を引き出すことが難しいことがあります。
より客観的な意見が欲しいなら、人材支援者への360度フィードバックがおすすめです。
360度フィードバックをおこなうときの4つの注意点
ここでは、360度フィードバックをおこなうときの注意点をお伝えしていきます。
注意点①:本来の目的のために活用する
360度フィードバックとは、自分にとっての重要な課題を乗り越えるための手段です。
しかし、360度フィードバックで得た情報には、あなたの欠点が含まれています。
たとえば夫婦関係を改善するための360度フィードバックでは、次のような欠点が書かれるかもしれません。
- 汚い、臭い
- いつもルールを守らない
- 口うるさくて話したくない
- 言葉が暴力的でいつも傷つく
- 偉そうな態度で接してきて怖い
このような情報を得たとき、きっと傷つき、怒り・悲しみ・無力感などを抱くでしょう。
ですが、その感情に任せて「相手を恨む」「自己否定する」というような、本来の目的とは異なる活用をしないように注意してください。
あくまで本来の目的は、理想的な未来と現状のギャップを埋めることです。
情報を客観的に分析し、冷静に今後の方針を立てるための材料として活用しましょう。
準備中:不安や恐怖をエネルギーへと変える方法
注意点②:自分のためにおこなう
360度フィードバックの目的は、自分のためであったほうがよいでしょう。
自分のための360度フィードバックでなくなると、どこか他人事のようになり、他責思考が働きやすくなるためです。
「家族のため」「部下のため」という誰かのための目的もあるかもしれませんが、それは家族や部下を大切にしたいという「自分のため」です。
誰かのために360度フィードバックを実施しようとしている場合は、次の手順をおこなってみてください。
- 解決したい問題の最良のシナリオを想像する
- それが自分の人生においてどのような影響を及ぼすのかを検討する
注意点③:自己変容のためにおこなう
360度フィードバックでは、良い結果を出すために自分が影響できることを探ります。
たとえば営業成績を上げたいなら、営業スキルや清潔感などが自分の影響を及ぼせる対象です。
上司の教え方が悪いとか自分のセンスがないなどの要素も原因として挙げられますが、自分でコントロールできない原因を特定しても結果を変えられません。
360度フィードバックをおこなうときは、自分がコントロールできることで、欲しい成果に結びつきやすい要因を特定することが大切です。
注意点④:活用には抵抗感が生じる
360度フィードバックでよい案が生まれたとしても、だからといってスムーズにその案を実行できるわけではありません。
具体的には次のようなケースです。
- 夫に感謝を伝えようとしても、言葉にしようとすると苦しくなる
- 清潔感を出すために美容に力を入れようとしても、なかなか続かない
- 部下の意見を聞いてから判断を下そうとしても、それを無駄だと感じてしまう
新しい行動を継続して選択するためには、スキルや知識が足りなかったり、精神的な課題が隠れていたりすることがあります。
新しい案を実行できない場合は、次の2つで分類してみてください。
- やろうとしてもできない→できるようになるまで練度を上げる
- できるけど苦しくなる→メンタルブロックを取り除く
準備中:精神的な成長を遂げる5ステップ
まとめ
360度フィードバックとは、理想的な未来と現状とのギャップを見つけるために、自分では気づけない情報を他者の協力により収集することです。
次の3つのいずれかを目的にして活用すると、新しいヒントが見つかるでしょう。
- 目標設定
- 自己理解の探求
- 他者との関係性の構築
ただし、相手との関係性や心理的安全性、適切な質問方法や情報の活用方法など、360度フィードバックを成功させるには高度なスキルが求められます。
個人的に360度フィードバックをおこなうことに苦戦しているならば、次の2つの自己投資を検討してみてください。
- コーチに依頼して自分の思考を整理する
- コンサルティングに依頼してノウハウを教わる
準備中:コンサルとコーチの違い